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第四章 勇者パーティー
第十八話 女性二人と茶会する
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「話しが終わったから、予定通り、勇者が召喚されるまではダンジョンに籠るか」
「そうね。連携を良くしながら、個人の強さを上げる為にも頑張らないとね」
「色々と準備が必要そうだしな。あ、ポーターはどうする?」
「そ、それはアイテムボックスを持つ俺がやるよ」
「そう言えばLV.MAXだったな。頼もしいぜ」
「と言う訳で、明日の朝十時にダンジョンの前に集合するか」
「そうですね。みんなで頑張りましょ」
城を出た俺たちは、その場で友人のようなノリで予定を決めてから分かれた……のだが、シャノンとフェリル様に呼び止められた。あれ? シャノンは分かりけど何故フェリスも?
そんなことを疑問に思っていると、二人が同時に口を開いた。
「「話したいことがあるの」」
見事なシンクロに俺は内心驚いた。
「え~と……どのような話なのですか?」
「それはここで話さない方が良いでしょう」
「私も。ここで話さない方が良いですね」
よく分からないが、何やら二人から大事なお話があるようだ。
「シャノンも彼に話したいことがあるのね。なら、私の家のテラスに行きましょう。あそこなら誰も盗み聞きには来ないわ」
「分かったわ。フェリル」
二人はそう言うと、仲良く王城に戻って行った。
「仲いいなあの二人」
俺は二人の仲の良さにほっこりしつつも、二人の後を追った。
「ここがテラスか……」
物語の中にあるような光景がそこには広がっていた。
一つの小さめの白いテーブルと、それを囲うようにある三つの白い椅子。そして、その向こう側にはお花畑が広がっていた。
「じい。誰にも聞かれたくないから下がりなさい」
「承知しました。またいつでもお呼びください」
紅茶を注いでいた老執事は俺を一瞬だけ睨みつけてから頭を下げると、そのまま部屋の外に出て行った。何か悪いことしたかな?
それにしてもこの光景。
ドレス姿の女性と騎士服姿の女性の茶会に黒いローブを着た男性と言う名の異物が混入しているようにしか見えない。
「ここに俺は場違いだよなぁ……」
俺は思わずそう呟いた。
「あ、気にしなくてもいいですよ。そもそもハイエルフはエルフの里の王族。格で言えば、男性であるあなたの方が上なんですよ」
フェリス様にそう言われて、俺は種族をハイエルフと偽っていることを思い出した。
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
俺はニコッと笑うと、椅子に座った。
「まずはフェリルから話して」
「あ、譲ってくれるの? ありがと。では、話すわね。あなたは自分のステータスを偽装していないかしら?」
そう聞かれた瞬間、俺は思わず動揺してしまい、顔が一瞬強張ってしまった。
その一瞬を、王女であるフェリル様が見逃すはずがない。
「やっぱり偽装していたのね。それで、別に本当のステータスを見せて欲しいわけではないの。私はただ、あなたがどうして本当のステータスを隠しているのか知りたいの」
フェリス様は俺の目を見て、真剣な表情でそう言った。
流石は第二王女。人の話を聞く姿勢も素晴らしい……て、俺が偉そうに言えるわけがないな。
「……信用できない。誰かが情報を漏らす可能性が大いにある。それでは足りないか?」
俺は真面目な顔になると、そう言った。
「理由は全て話してほしい。理由を小出しにする必要は無いわ」
「……俺のステータスを知られたら、危険な奴として暗殺されるに決まっている。圧倒的な強さを持つ者は、策略によって排除されるのが自然なんだ」
俺は俯くと、そう言った。
政治?何それ美味しいの?とでも言いそうな人間である俺でさえも想像できる権力者の闇だ。王族であるフェリス様なら当然分かるだろう。
そう思いながら、俺はフェリス様の顔を見た。
「……そうなるのは、気に入らないことがあれば躊躇なくその力をふるう人だよ。気に入らない言葉に力で返し続ければ、いずれそうなる。逆に、武力行使をしない限り、極力手を出さない人ならば、そんなことにはならないわ」
フェリスル様はそう言うと紅茶を飲んだ。
「……確かにフェリスの言うことは正しい。だが、だからと言って、今更見せるメリットもないしな。まあ、いずれ見せるかもな」
俺はそう言うと紅茶を飲んだ。
「それで構わないわ。無理に聞こうとは思わない。これで、私からの葉足は終わり。次はシャノンね」
「はい。私が話したいのは、ユートが別れ際に私に使った魔法についてです」
シャノンにそう言われた瞬間、俺は無意識にシャノンを睨みつけてしまった。
だが、それに動揺することなく、シャノンは話を進めた。
「あれ、結構凄い魔法ってことになっているから、人前では使わない方が良いわよって忠告しに来たの」
「分かった。ありがとう。あと、睨みつけてすまんな」
俺は感謝し、そして謝罪をした。
「いいのよ。言われたくないことは、多くの人が持っているものなのよ」
シャノンはそう言うと、紅茶を飲んだ。
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「色々と準備が必要そうだしな。あ、ポーターはどうする?」
「そ、それはアイテムボックスを持つ俺がやるよ」
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「と言う訳で、明日の朝十時にダンジョンの前に集合するか」
「そうですね。みんなで頑張りましょ」
城を出た俺たちは、その場で友人のようなノリで予定を決めてから分かれた……のだが、シャノンとフェリル様に呼び止められた。あれ? シャノンは分かりけど何故フェリスも?
そんなことを疑問に思っていると、二人が同時に口を開いた。
「「話したいことがあるの」」
見事なシンクロに俺は内心驚いた。
「え~と……どのような話なのですか?」
「それはここで話さない方が良いでしょう」
「私も。ここで話さない方が良いですね」
よく分からないが、何やら二人から大事なお話があるようだ。
「シャノンも彼に話したいことがあるのね。なら、私の家のテラスに行きましょう。あそこなら誰も盗み聞きには来ないわ」
「分かったわ。フェリル」
二人はそう言うと、仲良く王城に戻って行った。
「仲いいなあの二人」
俺は二人の仲の良さにほっこりしつつも、二人の後を追った。
「ここがテラスか……」
物語の中にあるような光景がそこには広がっていた。
一つの小さめの白いテーブルと、それを囲うようにある三つの白い椅子。そして、その向こう側にはお花畑が広がっていた。
「じい。誰にも聞かれたくないから下がりなさい」
「承知しました。またいつでもお呼びください」
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「ここに俺は場違いだよなぁ……」
俺は思わずそう呟いた。
「あ、気にしなくてもいいですよ。そもそもハイエルフはエルフの里の王族。格で言えば、男性であるあなたの方が上なんですよ」
フェリス様にそう言われて、俺は種族をハイエルフと偽っていることを思い出した。
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
俺はニコッと笑うと、椅子に座った。
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そう聞かれた瞬間、俺は思わず動揺してしまい、顔が一瞬強張ってしまった。
その一瞬を、王女であるフェリル様が見逃すはずがない。
「やっぱり偽装していたのね。それで、別に本当のステータスを見せて欲しいわけではないの。私はただ、あなたがどうして本当のステータスを隠しているのか知りたいの」
フェリス様は俺の目を見て、真剣な表情でそう言った。
流石は第二王女。人の話を聞く姿勢も素晴らしい……て、俺が偉そうに言えるわけがないな。
「……信用できない。誰かが情報を漏らす可能性が大いにある。それでは足りないか?」
俺は真面目な顔になると、そう言った。
「理由は全て話してほしい。理由を小出しにする必要は無いわ」
「……俺のステータスを知られたら、危険な奴として暗殺されるに決まっている。圧倒的な強さを持つ者は、策略によって排除されるのが自然なんだ」
俺は俯くと、そう言った。
政治?何それ美味しいの?とでも言いそうな人間である俺でさえも想像できる権力者の闇だ。王族であるフェリス様なら当然分かるだろう。
そう思いながら、俺はフェリス様の顔を見た。
「……そうなるのは、気に入らないことがあれば躊躇なくその力をふるう人だよ。気に入らない言葉に力で返し続ければ、いずれそうなる。逆に、武力行使をしない限り、極力手を出さない人ならば、そんなことにはならないわ」
フェリスル様はそう言うと紅茶を飲んだ。
「……確かにフェリスの言うことは正しい。だが、だからと言って、今更見せるメリットもないしな。まあ、いずれ見せるかもな」
俺はそう言うと紅茶を飲んだ。
「それで構わないわ。無理に聞こうとは思わない。これで、私からの葉足は終わり。次はシャノンね」
「はい。私が話したいのは、ユートが別れ際に私に使った魔法についてです」
シャノンにそう言われた瞬間、俺は無意識にシャノンを睨みつけてしまった。
だが、それに動揺することなく、シャノンは話を進めた。
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