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第四章 勇者パーティー
第十三話 合格発表
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「ユートさん。闘技場の中央に集まってください」
「あ、分かったー」
二時間程で、騎士が呼びに来てくれた。
俺は返事をすると、走って闘技場の中央へ向かった。さっきのように、一番最後に着くのは嫌だからな。
だが……
「早すぎだろみんなぁ……」
俺が着いた時には、既にみんな集合していた。
「俺が呼ばれたのが一番最後だったパターンだな」
だからしょうがないと言い訳しながら、俺はみんなの元へ向かった。
そして、全員が集まったところで、国王、ドレスト様、ゼウルさん、カイルさんが俺たちの前に立った。
その瞬間、俺たちは一斉に片膝をついて、頭を下げた。今回は、ちゃんと遅れずに頭を下げることが出来た。
「それでは、合格者を発表する。一人目、バール・フォン・フェルスティア。二人目、ディール・フォン・フェルスティア。三人目、フェリル・フォン・ハラン。四人目、シャノン・フォン・フェリオール。五人目、バルザック。六人目、ユート」
(良かった。ちゃんと俺の名前があった……)
俺は自分の名前があることに、心の底から安堵した。
「てか、あのくそ兄弟いるのかよ。あと、ハランって王族じゃねーか! あ、シャノンいる。あ、平民もいる……)
俺は合格者にツッコミを入れまくった。
「面を上げよ。合格者は私とドレスト。不合格者はゼウルとカインの前に行くように」
俺は顔を上げ、立ち上がると、その場に留まった。
「お前たちは、人類を守る盾であり矛だ。その力を、魔王討伐の為に使って欲しい。まずは、皆で自己紹介をするがよい」
こうして、俺達は自己紹介をすることになった。
「私の名前はバール・フォン・フェルスティア。ハラン王国に忠誠を誓うガルド公爵の次男です。どうぞ、お見知りおきを」
「私の名前はディール・フォン・フェルスティア。ハラン王国に忠誠を誓うガルド公爵の三男です。どうぞ、お見知りおきを」
「私の名前はフェリル・フォン・ハラン。ハラン王国の第二王女です。皆さん、よろしくお願いしますね」
「私の名前はシャノン・フォン・フェリオール。ディーン帝国に忠誠を誓うガドラン子爵の三女です。よろしくお願いします」
「俺の名前はバルザック。ディーン帝国所属のSランク冒険者だ。よろしく頼む」
「俺の名前はユート。レティウス様より準男爵の爵位を授かております。これからよろしくお願いします」
それぞれの挨拶が終わったところで、国王が再び口を開いた。
「これから勇者パーティー所属カードを渡す。受け取ったら、裏にある黒い丸に血を垂らしてくれ。ドレスト」
「承知しました」
すると、国王の横にいたドレスト様が、俺達に白金に輝く名刺サイズのカードを手渡してくれた。
勇者パーティー所属カードには、中央に名前、その上に勇者パーティーと書かれていた。
俺はそれをひっくり返すと、裏にある黒い丸に、カードと一緒に渡された針を使って血を一滴垂らした。
「これでよし」
俺は満足げに勇者パーティー所属カードを見つめると、〈アイテムボックス〉にしまった。
「これで話は終わりだ。五日後の午前九時から、今後の話をするので、王城に来て欲しい。先程渡した勇者パーティー所属カードを見せれば、王城に入ることが出来る。では、気を付けて帰ってくれ」
国王はそう言うと、ドレスト様と共に、この場を去って行った。
「俺も帰えるか~」
俺は体を伸ばすと、宿へ帰――ろうとしたのだが、右肩を掴まれ、止められてしまった。
振り返ると、そこにはバールが居た。
「待て、勇者パーティー全員で話があるから」
他の四人も、その言葉に頷いた。
「……分かりました」
俺は返事をすると、元の場所に戻った。
すると、フェリル様が口を開いた。
「まず、私たちは互いの実力を正確に知っておく必要があります。そうしないと、最悪私たちは全滅します。それは、歴史が証明していますから。あと、これからは敬語はなしで話しましょう。敬語は情報の伝達速度が遅いと言いますからね」
「そうですね――いや、そうだな。で、実力はどうやって見るんだ?」
バールの問いに、フェリル様――いや、フェリルが答える。
「取りあえず、互いのステータスを見せ合いましょう。まずは、この中で一番強いと思われるユートさんから」
この時、俺は思った。
今、とてつもないピンチに陥っているのではないか……と
「あ、分かったー」
二時間程で、騎士が呼びに来てくれた。
俺は返事をすると、走って闘技場の中央へ向かった。さっきのように、一番最後に着くのは嫌だからな。
だが……
「早すぎだろみんなぁ……」
俺が着いた時には、既にみんな集合していた。
「俺が呼ばれたのが一番最後だったパターンだな」
だからしょうがないと言い訳しながら、俺はみんなの元へ向かった。
そして、全員が集まったところで、国王、ドレスト様、ゼウルさん、カイルさんが俺たちの前に立った。
その瞬間、俺たちは一斉に片膝をついて、頭を下げた。今回は、ちゃんと遅れずに頭を下げることが出来た。
「それでは、合格者を発表する。一人目、バール・フォン・フェルスティア。二人目、ディール・フォン・フェルスティア。三人目、フェリル・フォン・ハラン。四人目、シャノン・フォン・フェリオール。五人目、バルザック。六人目、ユート」
(良かった。ちゃんと俺の名前があった……)
俺は自分の名前があることに、心の底から安堵した。
「てか、あのくそ兄弟いるのかよ。あと、ハランって王族じゃねーか! あ、シャノンいる。あ、平民もいる……)
俺は合格者にツッコミを入れまくった。
「面を上げよ。合格者は私とドレスト。不合格者はゼウルとカインの前に行くように」
俺は顔を上げ、立ち上がると、その場に留まった。
「お前たちは、人類を守る盾であり矛だ。その力を、魔王討伐の為に使って欲しい。まずは、皆で自己紹介をするがよい」
こうして、俺達は自己紹介をすることになった。
「私の名前はバール・フォン・フェルスティア。ハラン王国に忠誠を誓うガルド公爵の次男です。どうぞ、お見知りおきを」
「私の名前はディール・フォン・フェルスティア。ハラン王国に忠誠を誓うガルド公爵の三男です。どうぞ、お見知りおきを」
「私の名前はフェリル・フォン・ハラン。ハラン王国の第二王女です。皆さん、よろしくお願いしますね」
「私の名前はシャノン・フォン・フェリオール。ディーン帝国に忠誠を誓うガドラン子爵の三女です。よろしくお願いします」
「俺の名前はバルザック。ディーン帝国所属のSランク冒険者だ。よろしく頼む」
「俺の名前はユート。レティウス様より準男爵の爵位を授かております。これからよろしくお願いします」
それぞれの挨拶が終わったところで、国王が再び口を開いた。
「これから勇者パーティー所属カードを渡す。受け取ったら、裏にある黒い丸に血を垂らしてくれ。ドレスト」
「承知しました」
すると、国王の横にいたドレスト様が、俺達に白金に輝く名刺サイズのカードを手渡してくれた。
勇者パーティー所属カードには、中央に名前、その上に勇者パーティーと書かれていた。
俺はそれをひっくり返すと、裏にある黒い丸に、カードと一緒に渡された針を使って血を一滴垂らした。
「これでよし」
俺は満足げに勇者パーティー所属カードを見つめると、〈アイテムボックス〉にしまった。
「これで話は終わりだ。五日後の午前九時から、今後の話をするので、王城に来て欲しい。先程渡した勇者パーティー所属カードを見せれば、王城に入ることが出来る。では、気を付けて帰ってくれ」
国王はそう言うと、ドレスト様と共に、この場を去って行った。
「俺も帰えるか~」
俺は体を伸ばすと、宿へ帰――ろうとしたのだが、右肩を掴まれ、止められてしまった。
振り返ると、そこにはバールが居た。
「待て、勇者パーティー全員で話があるから」
他の四人も、その言葉に頷いた。
「……分かりました」
俺は返事をすると、元の場所に戻った。
すると、フェリル様が口を開いた。
「まず、私たちは互いの実力を正確に知っておく必要があります。そうしないと、最悪私たちは全滅します。それは、歴史が証明していますから。あと、これからは敬語はなしで話しましょう。敬語は情報の伝達速度が遅いと言いますからね」
「そうですね――いや、そうだな。で、実力はどうやって見るんだ?」
バールの問いに、フェリル様――いや、フェリルが答える。
「取りあえず、互いのステータスを見せ合いましょう。まずは、この中で一番強いと思われるユートさんから」
この時、俺は思った。
今、とてつもないピンチに陥っているのではないか……と
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