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第四章 勇者パーティー
第十一話 騎士団長と戦う
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「ほう……国宝の勇者聖剣と同等のオーラを感じる」
ゼウルさんは俺が持つ世界樹聖剣を見て、息を呑んだ。
「まあ、結構凄い剣ですよ。あと、この剣はまともに受けたらスパッと切れちゃいますよ」
密着しただけで木材が切れるほどの剣なので、ちゃんと忠告しておいた方が良いだろう。
「だろうな。では、行くぞ!」
ゼウルさんは一気に距離を詰めると、大剣を何度も振った。
キン! キン! キン! キン!……
十回を超えても止まらない正確な連撃に、俺は息を呑んだ。
(俺のステータスをもってしても、スキルを使わないとこれほど正確な連撃は無理だな。五回ほどで、当てる場所をミスるだろうな)
俺はそう思いながら、大剣を防ぎ続けた。
「……そろそろ良いかな?」
良い感じに戦えたと思った俺は、力を入れて、ゼウルさんをぶっ飛ばした。
「ぐあっ」
ゼウルさんは二十メートル程飛ばされたが、まだ立っている。
「流石にこれでは足りないか」
俺はそう呟くと、一気に距離を詰めた。
「はあっ」
そして、さっきよりも強い力で世界樹聖剣を振った。
「がはっ」
ゼウルさんはそのまま飛ばされると、十メートル先の地面に体を打ち付け、気絶した。
「いい感じだったんじゃないかな?」
俺は〈アイテムボックス〉に世界樹聖剣をしまうと、そう呟いた。
瞬殺せずに勝つことが出来た。これで、俺のステータスに違和感を持たれることはないだろう……多分。
「……強かったな」
意識が戻ったゼウルさんは、大剣を杖にして、近づいてくると、そう言った。
「実際の所、マジでギリギリでした。あの連撃なんて、途中から目で追えなくなり、勘で防いでいましたから。少しでも反応が遅れていたら、負けていたのは俺の方だと思いますよ」
「本当か? まだ余力を残していたように見えるんだが?」
うん。鋭いね。流石は騎士団長だ。まあ、その言葉に肯定するつもりはないけどね。
「気のせいだと思いますよ。それで、この後はどうするんでしたっけ?」
これ以上聞かれない為に、俺は話題を変えた。
「これから私とカイルで合格者を決める。それまでは控室で待機しててくれ。合格者が決まったら、またここに呼ぶから」
「意外と決まるのは早いんですね。何回もかけて、じっくり決めるものだと思っていましたから」
勇者パーティーと言う人の命運を分けるパーティーのメンバーを決めるのに、そんな短時間で良いのか? と思ってしまう。
「じっくり決めるほど、実力差が拮抗していたわけでもなかったからな。それに、不合格になった人には、魔王の出現によって増加する魔物の討伐をする任務がある。あと、勇者パーティーが欠けたときの補欠としての役割もある」
「そうなんですか……と言うか、何で勇者パーティーの人数は六人なのですか?」
足手まといにならなければ、数を増やしても問題ないと思った俺は、ゼウルさんにそう訊ねた。
「実は、勇者には聖剣術という特殊なスキルが宿っているんだ。そして、そのスキルの効果の一つに、他者の身体能力を上昇させるものがあるんだ。そして、その人数制限は六人だ。ここまで言えば分かるよな?」
「なるほどな。確かにそれなら納得だ」
俺は腕を組みながら頷いた。それにしても聖剣術か……見るからに剣術の上位互換っぽいな。
そんなことを思ていると、観客席から降りたシャノンが駆け寄ってきた。
「凄いね。まさか騎士団長に勝っちゃうなんて」
シャノンは興奮しながらそう言った。
「まあ、運が良かっただけだよ」
俺は頭を掻きながらそう言った。
「それでも、勝ったのは事実。それは誇るべき。謙遜はしなくていいわ」
「……そうだな。ありがとう」
「ふふっ で、聞きたいことがあるんだけど、さっきの剣は何? 国宝級のものじゃない?」
「ああ。それは俺も気になっていた。一度だけ見た勇者聖剣に匹敵するオーラを感じたぞ」
「ああ。あれは世界樹聖剣だよ。トリエストさんから託されたんだ」
そう言った瞬間、二人の表情がかたまった。
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ゼウルさんは俺が持つ世界樹聖剣を見て、息を呑んだ。
「まあ、結構凄い剣ですよ。あと、この剣はまともに受けたらスパッと切れちゃいますよ」
密着しただけで木材が切れるほどの剣なので、ちゃんと忠告しておいた方が良いだろう。
「だろうな。では、行くぞ!」
ゼウルさんは一気に距離を詰めると、大剣を何度も振った。
キン! キン! キン! キン!……
十回を超えても止まらない正確な連撃に、俺は息を呑んだ。
(俺のステータスをもってしても、スキルを使わないとこれほど正確な連撃は無理だな。五回ほどで、当てる場所をミスるだろうな)
俺はそう思いながら、大剣を防ぎ続けた。
「……そろそろ良いかな?」
良い感じに戦えたと思った俺は、力を入れて、ゼウルさんをぶっ飛ばした。
「ぐあっ」
ゼウルさんは二十メートル程飛ばされたが、まだ立っている。
「流石にこれでは足りないか」
俺はそう呟くと、一気に距離を詰めた。
「はあっ」
そして、さっきよりも強い力で世界樹聖剣を振った。
「がはっ」
ゼウルさんはそのまま飛ばされると、十メートル先の地面に体を打ち付け、気絶した。
「いい感じだったんじゃないかな?」
俺は〈アイテムボックス〉に世界樹聖剣をしまうと、そう呟いた。
瞬殺せずに勝つことが出来た。これで、俺のステータスに違和感を持たれることはないだろう……多分。
「……強かったな」
意識が戻ったゼウルさんは、大剣を杖にして、近づいてくると、そう言った。
「実際の所、マジでギリギリでした。あの連撃なんて、途中から目で追えなくなり、勘で防いでいましたから。少しでも反応が遅れていたら、負けていたのは俺の方だと思いますよ」
「本当か? まだ余力を残していたように見えるんだが?」
うん。鋭いね。流石は騎士団長だ。まあ、その言葉に肯定するつもりはないけどね。
「気のせいだと思いますよ。それで、この後はどうするんでしたっけ?」
これ以上聞かれない為に、俺は話題を変えた。
「これから私とカイルで合格者を決める。それまでは控室で待機しててくれ。合格者が決まったら、またここに呼ぶから」
「意外と決まるのは早いんですね。何回もかけて、じっくり決めるものだと思っていましたから」
勇者パーティーと言う人の命運を分けるパーティーのメンバーを決めるのに、そんな短時間で良いのか? と思ってしまう。
「じっくり決めるほど、実力差が拮抗していたわけでもなかったからな。それに、不合格になった人には、魔王の出現によって増加する魔物の討伐をする任務がある。あと、勇者パーティーが欠けたときの補欠としての役割もある」
「そうなんですか……と言うか、何で勇者パーティーの人数は六人なのですか?」
足手まといにならなければ、数を増やしても問題ないと思った俺は、ゼウルさんにそう訊ねた。
「実は、勇者には聖剣術という特殊なスキルが宿っているんだ。そして、そのスキルの効果の一つに、他者の身体能力を上昇させるものがあるんだ。そして、その人数制限は六人だ。ここまで言えば分かるよな?」
「なるほどな。確かにそれなら納得だ」
俺は腕を組みながら頷いた。それにしても聖剣術か……見るからに剣術の上位互換っぽいな。
そんなことを思ていると、観客席から降りたシャノンが駆け寄ってきた。
「凄いね。まさか騎士団長に勝っちゃうなんて」
シャノンは興奮しながらそう言った。
「まあ、運が良かっただけだよ」
俺は頭を掻きながらそう言った。
「それでも、勝ったのは事実。それは誇るべき。謙遜はしなくていいわ」
「……そうだな。ありがとう」
「ふふっ で、聞きたいことがあるんだけど、さっきの剣は何? 国宝級のものじゃない?」
「ああ。それは俺も気になっていた。一度だけ見た勇者聖剣に匹敵するオーラを感じたぞ」
「ああ。あれは世界樹聖剣だよ。トリエストさんから託されたんだ」
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