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第四章 勇者パーティー
第十話 シャノン戦
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闘技場には右手に剣を持ち、少し緊張しながら立っているシャノン。そして、白金の鎧を着て、大剣を両手で握りしめているガタイのいい男性が居た。因みに彼がこの国の騎士団長だ。
そして今、戦いの火ぶたが切られた。
「はあっ!」
シャノンは開始早々素早く距離を詰めると、騎士団長の手首めがけて剣を振った。
キン!
だが、上手く大剣によって防がれてしまった。
「〈火球〉!」
剣を防がれることは想定内だったのか、シャノンは間髪入れずに〈火球〉を騎士団長の顔めがけて撃った。
「はあっ!」
騎士団長は〈火球〉を大剣で防ぐと、そのままシャノンに切りかかった。
キン!
シャノンが騎士団長の大剣を受け止めた。だが、騎士団長の方が力は上だった。
「はあっ!」
騎士団長はさらに力入れて、シャノンをぶっ飛ばした。
「くっ」
シャノンは態勢を立て直そうとするが、騎士団長の追撃には間に合わず――
「……負けました」
大剣がシャノンの首筋に突き付けられたことで、勝負がついた。
「惜しかったな……」
〈火球〉を撃った後に、さらに追撃をしていれば、もしかしたら勝てたのではないか?と俺は思った。
「はぁ~強かったわ」
シャノンは満足気な表情で俺の隣に座った。
「負けた割には結構嬉しそうだな」
「そうね。負けちゃったけど、今の戦いは私にとってとてもいい経験になったわ。それに、この試験は勝つことが合格条件ではないからね。流石に騎士団長や宮廷魔法師長に勝つのはこの中でも多くて二、三人ね」
「まあ、確かにな」
騎士団長はこの国最強の騎士。宮廷魔法師長はこの国最強の魔法師だ。そんな二人が、負けることなんてそうそうないだろう。
「俺はどっちと戦うのかな……」
俺は笑みを浮かべると、そう呟いた。
そして、ついに俺の番が来た。
今の所、騎士団長の戦績は五勝ゼロ敗。宮廷魔法師長の戦績は五勝一敗だ。
「さて、俺の相手は……騎士団長か」
闘技場に入った俺は、闘技場の中心にいる騎士団長を見て、そう呟いた。
「流石に世界樹聖剣は使わない方がいいよなぁ……」
あの剣を使ったらすぐに勝負がついてしまうと思った俺は、〈アイテムボックス〉から白輝の剣を取り出した。
「お前がユートか。俺の名はゼウル・ノムスタ。この国の騎士団長だ。受験者の中で一番強いお前の実力、見せてもらうぞ」
騎士団長――ゼウルさんは威圧感を出しながらそう言った。
「俺の名前はユートです。流石に一番強いは言いすぎだと思いますよ……」
「シャオニンを倒したお前が弱い訳ないだろう」
「何故それを? ウォルフさんには言うなと言っておいたのだが……」
まさか約束を破ったのか?
そう思っていると、ゼウルさんが口を開いた。
「かまをかけただけだ。あの周辺でシャオニンを倒せそうなのは数人しかいないからな」
「マジか……」
ウォルフさんが約束を破っていないことにはほっとした。だが、自分のやらかしに、俺は頭を抱えそうになった。
「まあ、誰にも言うつもりはないから安心しろ。宰相は気づいていると思うがな」
ゼウルさんはそう言うと大剣を構えた。
俺も、白輝の剣を構えた。
そして、戦いの火ぶたが切られた。
「はあっ!」
今まで先制してこなかったゼウルさんが、初めて先制で攻撃してきた。
「はっ!」
俺は大剣を白輝の剣で受け止めた。
「力はデフォルトのシャオニンより上っぽいな」
「そうか。そいつは光栄だなっ!」
ゼウルさんは一気に力を込めてきた。だが、その程度で俺が飛ばされる訳がない。
「はあっ!」
俺は白輝の剣を振った。それに当たったゼウルさんは、数メートル程後ろに飛ばされた。
「とんでもねー力だな。だが、分かった。お前の本当の剣はそれではないな? 使い慣れてはいるようだが、どこかぎこちない。ついさっきまで別の剣を使っていたような感じだな」
「……すげぇな。完全に図星だよ」
俺は目を見開くと、そう言った。
俺はこの試験が始まるまでの五日間も、エルフの里に戻って世界樹聖剣を振っていた。
「じゃあ、見破ったご褒美に見せてくれるよな?」
ゼウルさんは楽しそうに笑った。
「そうだな。見せてやるよ」
俺はそう言うと白輝の剣を〈アイテムボックス〉にしまった。そして、そこから〈世界樹聖剣〉を取り出すと、構えた。
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そして今、戦いの火ぶたが切られた。
「はあっ!」
シャノンは開始早々素早く距離を詰めると、騎士団長の手首めがけて剣を振った。
キン!
だが、上手く大剣によって防がれてしまった。
「〈火球〉!」
剣を防がれることは想定内だったのか、シャノンは間髪入れずに〈火球〉を騎士団長の顔めがけて撃った。
「はあっ!」
騎士団長は〈火球〉を大剣で防ぐと、そのままシャノンに切りかかった。
キン!
シャノンが騎士団長の大剣を受け止めた。だが、騎士団長の方が力は上だった。
「はあっ!」
騎士団長はさらに力入れて、シャノンをぶっ飛ばした。
「くっ」
シャノンは態勢を立て直そうとするが、騎士団長の追撃には間に合わず――
「……負けました」
大剣がシャノンの首筋に突き付けられたことで、勝負がついた。
「惜しかったな……」
〈火球〉を撃った後に、さらに追撃をしていれば、もしかしたら勝てたのではないか?と俺は思った。
「はぁ~強かったわ」
シャノンは満足気な表情で俺の隣に座った。
「負けた割には結構嬉しそうだな」
「そうね。負けちゃったけど、今の戦いは私にとってとてもいい経験になったわ。それに、この試験は勝つことが合格条件ではないからね。流石に騎士団長や宮廷魔法師長に勝つのはこの中でも多くて二、三人ね」
「まあ、確かにな」
騎士団長はこの国最強の騎士。宮廷魔法師長はこの国最強の魔法師だ。そんな二人が、負けることなんてそうそうないだろう。
「俺はどっちと戦うのかな……」
俺は笑みを浮かべると、そう呟いた。
そして、ついに俺の番が来た。
今の所、騎士団長の戦績は五勝ゼロ敗。宮廷魔法師長の戦績は五勝一敗だ。
「さて、俺の相手は……騎士団長か」
闘技場に入った俺は、闘技場の中心にいる騎士団長を見て、そう呟いた。
「流石に世界樹聖剣は使わない方がいいよなぁ……」
あの剣を使ったらすぐに勝負がついてしまうと思った俺は、〈アイテムボックス〉から白輝の剣を取り出した。
「お前がユートか。俺の名はゼウル・ノムスタ。この国の騎士団長だ。受験者の中で一番強いお前の実力、見せてもらうぞ」
騎士団長――ゼウルさんは威圧感を出しながらそう言った。
「俺の名前はユートです。流石に一番強いは言いすぎだと思いますよ……」
「シャオニンを倒したお前が弱い訳ないだろう」
「何故それを? ウォルフさんには言うなと言っておいたのだが……」
まさか約束を破ったのか?
そう思っていると、ゼウルさんが口を開いた。
「かまをかけただけだ。あの周辺でシャオニンを倒せそうなのは数人しかいないからな」
「マジか……」
ウォルフさんが約束を破っていないことにはほっとした。だが、自分のやらかしに、俺は頭を抱えそうになった。
「まあ、誰にも言うつもりはないから安心しろ。宰相は気づいていると思うがな」
ゼウルさんはそう言うと大剣を構えた。
俺も、白輝の剣を構えた。
そして、戦いの火ぶたが切られた。
「はあっ!」
今まで先制してこなかったゼウルさんが、初めて先制で攻撃してきた。
「はっ!」
俺は大剣を白輝の剣で受け止めた。
「力はデフォルトのシャオニンより上っぽいな」
「そうか。そいつは光栄だなっ!」
ゼウルさんは一気に力を込めてきた。だが、その程度で俺が飛ばされる訳がない。
「はあっ!」
俺は白輝の剣を振った。それに当たったゼウルさんは、数メートル程後ろに飛ばされた。
「とんでもねー力だな。だが、分かった。お前の本当の剣はそれではないな? 使い慣れてはいるようだが、どこかぎこちない。ついさっきまで別の剣を使っていたような感じだな」
「……すげぇな。完全に図星だよ」
俺は目を見開くと、そう言った。
俺はこの試験が始まるまでの五日間も、エルフの里に戻って世界樹聖剣を振っていた。
「じゃあ、見破ったご褒美に見せてくれるよな?」
ゼウルさんは楽しそうに笑った。
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