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第四章 勇者パーティー
第八話 くそ貴族ってこんな感じ
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試験当日――
「クリス、ノア。行ってくる」
「合格することを祈っているわ」
「パパ、頑張ってね!」
勇者パーティー最終試験当日を迎えた俺は、王城の門の前で二人と別れ、王城の門をくぐった。試験場には本人しか入れないので、仕方ない。
「では、私が案内いたします」
「ありがとう」
門をくぐった俺は、騎士の案内でコロシアムへと向かった。
「はぁ~めっちゃ緊張するな……」
入試前の学生のような気分だ。心臓の鼓動もよく聞こえる。
「……あれか」
少し進んだ先に、古代ローマの円形闘技場、コロッセオのような施設が見えてきた。
「あちらが国王陛下管理の闘技場、コロシアムだ。まずは控室に案内する」
「分かった」
俺はそのまま控室へと向かった。
「時間になったら呼びに来ますので、それまではここでお待ちください」
控室に着いたところで騎士と別れた。
「ここで待てばいいのか……」
控室の中には木剣、木斧、木槍などの練習で使う為の武器が置いてあった。そして、奥にはボクシングのリング程の大きさのスペースがある。恐らくそこで動きの確認をするのだろう。
「だがここで全力は出せないんだよなぁ……」
勇者パーティーに入りたいとは言え、全力を出して騎士団長や宮廷魔法師長を瞬殺してしまったら、色々と面倒なことになるのは目に見えている。
「かと言って、手を抜いていることがバレたらダメだよなぁ……」
俺は深くため息をついた。
コンコン
すると、控室のドアをノックする音が聞こえた。
ガチャリ
そして、俺の返事を待たずに二人の男性が入って来た。二人ともイケメンで、軍服のような服を着ている。
「何者だ?」
俺は少し警戒しながら二人のことを見た。
「下賤な平民よ。跪け。私の名はバール・フォン・フェルスティア。ハラン王国に忠誠を誓うガルド公爵の次男だ」
「私の名はディール・フォン・フェルスティア。ガルド公爵の三男だ」
二人は俺のことを見下すような目つきで見ながらそう言った。
(あーこれ典型的なくそ貴族だな。あと、俺は平民じゃねーし。ちょっと前まで忘れてたけど、準男爵なんだよな、俺)
部屋に入ってくるときのことも相まって、二人の株価は大暴落だ。だが、俺より圧倒的に上の爵位の貴族の息子である以上、こちらも礼儀正しく返さなければならない。変に無礼なことをして、勇者パーティーに入れなくなったら面倒だ。
「バール様とディール様ですか。お初にお目にかかります。私の名前はユート。レティウス公爵様より、準男爵の爵位を与えられております」
俺は礼儀正しく挨拶をした。すると、二人は驚いたように目を見開いた。
「おっと貴族だったのか……それは失礼。平民と言ったことは謝ろう」
バール……様は上から目線でそう言った。
「ありがとうございます」
俺は頭を下げて礼を言った。
「だがな。お前のようなCランク冒険者如きがこの試験を受けるんじゃねぇよ。今すぐ辞退しやがれ」
バール様……いや、バールは声を荒げると、俺の胸倉をつかんだ。
「暴力行為はおやめください。あと、あなたがおっしゃった言葉が、誰かに聞かれてたりしたらどうしますか?」
〈気配察知〉で誰もいないことは分かっているが、公爵の息子に下手に手を出したら面倒くさいことになると思った俺は、そう言ってみた。
「気配を探れば近くに人がいないことぐらい直ぐに分かる。痛い目にあわされたくなかったら、さっさと辞退するんだな」
ディールもそう言うと、俺のすねを蹴った。まあ、全然痛くはないけど。
(反撃するのなら、徹底的にやった方が良いな)
相手を出来るだけ傷つけず、心も壊さず、俺に対する恐怖心のみを植え付ける方法……よし。こうするか。
「最終警告です。これ以上何かするのなら、正当防衛として、あなた方に反撃しても構いませんよね?」
「別に構わないぞ。出来るわけないけどなっ!」
バールは鼻で笑うと、俺に殴りかかってきた。
「言質は取ったからな」
俺はそう呟くと、二人まとめて控室の壁に吹っ飛ばした。
「がはっ」
「ぐふっ」
壁に叩きつけられた二人は背中をさすり、咳をしながら俺のことを睨みつけた。
「ごほっ ごほっ……暴行罪で訴えてやる……」
「はぁ……」
バールの自己中心的な言葉に、俺はため息をついた。
「言質は取っただろう? あと、まだ何かするってんなら――」
ここで、俺は〈重力操作〉を使い、こいつらを動けない程度に抑えつけた。
「容赦はしないぞ? 少なくとも俺は国一つ潰せるからな」
最後に殺気を飛ばした。
====================
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「クリス、ノア。行ってくる」
「合格することを祈っているわ」
「パパ、頑張ってね!」
勇者パーティー最終試験当日を迎えた俺は、王城の門の前で二人と別れ、王城の門をくぐった。試験場には本人しか入れないので、仕方ない。
「では、私が案内いたします」
「ありがとう」
門をくぐった俺は、騎士の案内でコロシアムへと向かった。
「はぁ~めっちゃ緊張するな……」
入試前の学生のような気分だ。心臓の鼓動もよく聞こえる。
「……あれか」
少し進んだ先に、古代ローマの円形闘技場、コロッセオのような施設が見えてきた。
「あちらが国王陛下管理の闘技場、コロシアムだ。まずは控室に案内する」
「分かった」
俺はそのまま控室へと向かった。
「時間になったら呼びに来ますので、それまではここでお待ちください」
控室に着いたところで騎士と別れた。
「ここで待てばいいのか……」
控室の中には木剣、木斧、木槍などの練習で使う為の武器が置いてあった。そして、奥にはボクシングのリング程の大きさのスペースがある。恐らくそこで動きの確認をするのだろう。
「だがここで全力は出せないんだよなぁ……」
勇者パーティーに入りたいとは言え、全力を出して騎士団長や宮廷魔法師長を瞬殺してしまったら、色々と面倒なことになるのは目に見えている。
「かと言って、手を抜いていることがバレたらダメだよなぁ……」
俺は深くため息をついた。
コンコン
すると、控室のドアをノックする音が聞こえた。
ガチャリ
そして、俺の返事を待たずに二人の男性が入って来た。二人ともイケメンで、軍服のような服を着ている。
「何者だ?」
俺は少し警戒しながら二人のことを見た。
「下賤な平民よ。跪け。私の名はバール・フォン・フェルスティア。ハラン王国に忠誠を誓うガルド公爵の次男だ」
「私の名はディール・フォン・フェルスティア。ガルド公爵の三男だ」
二人は俺のことを見下すような目つきで見ながらそう言った。
(あーこれ典型的なくそ貴族だな。あと、俺は平民じゃねーし。ちょっと前まで忘れてたけど、準男爵なんだよな、俺)
部屋に入ってくるときのことも相まって、二人の株価は大暴落だ。だが、俺より圧倒的に上の爵位の貴族の息子である以上、こちらも礼儀正しく返さなければならない。変に無礼なことをして、勇者パーティーに入れなくなったら面倒だ。
「バール様とディール様ですか。お初にお目にかかります。私の名前はユート。レティウス公爵様より、準男爵の爵位を与えられております」
俺は礼儀正しく挨拶をした。すると、二人は驚いたように目を見開いた。
「おっと貴族だったのか……それは失礼。平民と言ったことは謝ろう」
バール……様は上から目線でそう言った。
「ありがとうございます」
俺は頭を下げて礼を言った。
「だがな。お前のようなCランク冒険者如きがこの試験を受けるんじゃねぇよ。今すぐ辞退しやがれ」
バール様……いや、バールは声を荒げると、俺の胸倉をつかんだ。
「暴力行為はおやめください。あと、あなたがおっしゃった言葉が、誰かに聞かれてたりしたらどうしますか?」
〈気配察知〉で誰もいないことは分かっているが、公爵の息子に下手に手を出したら面倒くさいことになると思った俺は、そう言ってみた。
「気配を探れば近くに人がいないことぐらい直ぐに分かる。痛い目にあわされたくなかったら、さっさと辞退するんだな」
ディールもそう言うと、俺のすねを蹴った。まあ、全然痛くはないけど。
(反撃するのなら、徹底的にやった方が良いな)
相手を出来るだけ傷つけず、心も壊さず、俺に対する恐怖心のみを植え付ける方法……よし。こうするか。
「最終警告です。これ以上何かするのなら、正当防衛として、あなた方に反撃しても構いませんよね?」
「別に構わないぞ。出来るわけないけどなっ!」
バールは鼻で笑うと、俺に殴りかかってきた。
「言質は取ったからな」
俺はそう呟くと、二人まとめて控室の壁に吹っ飛ばした。
「がはっ」
「ぐふっ」
壁に叩きつけられた二人は背中をさすり、咳をしながら俺のことを睨みつけた。
「ごほっ ごほっ……暴行罪で訴えてやる……」
「はぁ……」
バールの自己中心的な言葉に、俺はため息をついた。
「言質は取っただろう? あと、まだ何かするってんなら――」
ここで、俺は〈重力操作〉を使い、こいつらを動けない程度に抑えつけた。
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