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第四章 勇者パーティー

第四話 王都に到着!

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「よし。見えた!」

 あれからノアを抱えて突っ走ったことで、日が暮れた頃に王都に着くことが出来た。

「それにしてもすげぇな。ティリアンの四倍はあるんじゃないか?」

 王都は高さ二十メートル程の城壁に囲まれている。
 俺は門の前で三十分程待った後に、ようやく王都に入ることが出来た。

「街並みはティリアンと同じような感じだな。そして、あそこにある城がいい雰囲気を出している」

 ここから少し離れた場所に、大きな西洋風の城があた。あんな大きな城は、前の世界でもなかったと思う。まあ、この世界には魔法があるので、それを上手く使って建てたのだろう。

「随分変わったね……」

 クリスは懐かしそうに街並みを眺めていた。

「ここに来たことがあるのか?」

「ええ。最後に来たのは五千年程前かしら? あの頃はまだほとんどが木造建築だったのよ。石造りだったのは王城だけだったわ。今よりは小さかったけど」

「そうなのか……」

 そんな昔からここに文明があったのは驚きだ。だが、五千年経てばもう少し発展するのではないかと思ってしまう。

「……魔法が便利すぎるからかな?」

 火属性の魔法を使えば簡単に火を起こすことが出来る。
 水属性の魔法を使えば簡単に飲み水を手に入れることが出来る。
 風属性の魔法を使えば簡単に木を切り倒すことが出来る。
 土属性の魔法を使えば簡単に地面を整えることが出来る。

 そりゃ文明が発展しない訳だ。

「まあ、排気ガスで汚染された世界に比べたらいいかもな」

 この世界の空気は澄んでいる。その理由は、森林が沢山あることと、排気ガスを出す工場が存在しないからだろう。

「さて、宿を探すか」

「そうね」

 俺はノアを抱っこした状態で宿探しを始めた。



 暫く歩いたところで、俺は一つの宿を見つけて中に入った。

「二人部屋を一つ頼む」

 俺は銀貨五枚を手渡すと、そう言った。

「かしこまりました。三階の二号室をお使いください。こちらがその部屋の鍵になります」

 宿の従業員は、丁寧に対応してくれた。

「ありがとう」

 俺は鍵を受け取ると、三階へ上がった。そして、その階の二号室に入った。

「おう。流石は高級宿だな。とにかくきれいだ」

 床には絨毯が敷かれ、壁紙も貼られている。ベッドは二つあり、その間に円形の小さな机が置かれてある。そして、ここにはシャワー室ではなく、風呂場がある。

「金は沢山あるし、なくなったらティリアンのダンジョンで討伐してきた高ランクの魔物の魔石を売ればいい」

 それにしても、一度この快適さを知ってしまったら、もう普通の宿には戻れない気がする……

「まあ、金不足になることはないしな」

 俺は開き直ると、ベッドに倒れ込んだ。

「試験は五日後の午前九時からだったよね? それまでどうする?」

 クリスがノアと遊びながらそう聞いてきた。

「そうだな……特にやることもないし、のんびり平和に過ごすか……あ、だけどその前に冒険者ギルド本部長の所に行かないとな」

 ウォルフさんから受け取った封筒の中には、”勇者パーティー最終試験書”と書かれた紙と、それまでにやっておくことが書かれた紙が入っていた。そして、その紙には冒険者ギルド本部長に会いに行けと書かれてあった。

「冒険者ギルドってトラブルしかないんだよなぁ~」

 冒険者ギルドでトラブルに巻き込まれなかったのは、片手で数えるほどしかない。

「じゃあ、私は行かない方が良いかしら?」

「いや、万が一の為にも一緒に来てくれ。それに、俺一人でも普通に絡まれるからな……」

 俺は深くため息をついた。

「……じゃ、ちょっと風呂入ってくる」

 俺はそう言うと、風呂場に入った。



「は~極楽だ~」

 俺は湯船につかると、深く息を吐いた。それにしても、風呂に入るのは本当に久しぶりだ。
 身体の芯からあったまる感じが最高に気持ちいい。
 そうやってくつろいでいると、風呂場の扉が開いた。そして、クリスが一糸まとわぬ姿で入って来た。

「ちょ……」

 俺は視線を横に向けた。

「あら? 何かあったの?」

 クリスはそう言うと、俺の隣に来た。

「おい……こういうのはまだ早いんじゃないか……」

 恋愛初心者の俺は、顔を真っ赤にさせながらそう言った。

「ふふっ もう夫婦だから早くないわよ」

 クリスはそう言うと、俺に抱き着いた。

 この日、俺は危うく一線を越えそうになった。いや、超えさせられそうになった。
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