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第四章 勇者パーティー

第三話 シャノンの苦悩

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「あなた強いわね。まさか剣で私に勝つなて……」

 シャノンは剣を見つめると、そう呟いた。

「まあ、最近特訓しているからな。それに、これでも勇者パーティーに推薦されたんだ。弱いわけがないよ」

 俺は〈アイテムボックス〉に白輝の剣をしまうと、そう言った。

「今までたくさんの強者を見てきたけど、あなたほど出鱈目な人はいなかったわ。Sランク冒険者の私を片手間にあしらうなんて」

 シャノンはそう言うとため息をついた。

「いや、結構ギリギリだったぞ。判断一つ誤れば、負けていたのは俺の方だ」

 流石に余裕でしたと言う訳にはいかないので、俺はそう言ってごまかした。

「気遣う必要は無いわ。あなたが余力を残していたことぐらい分かる。これでもSランク冒険者だからね」

 シャノンは無理やり作ったような笑顔を見せると、そう言った。

「そうか……だが、シャノンの剣技は俺よりもずっと上だった。俺はただ、レベル差で勝っただけだ。シャノンなら、きっと勇者パーティーになれるよ」

 シャノンの剣術はかなり良かった。シャオニンには劣るが、それでもSランク冒険者と呼ぶにふさわしい剣術だと俺は思っている。

「そう言ってくれると嬉しいわ。それじゃ、私は先に行くね。他の貴族に挨拶しないといけないから……」

 シャノンは面倒くさそうにため息をつくと、王都に向かって走り出した。

「うん。俺たちももう少し休んだら行くか」

「そうね」

「はーい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 シャノン視点

 最初にユートを見た時は、弱そうに見えた。だから、盗賊に襲われている所を見た私は、全ての盗賊の位置を把握するよりも先に全速力で向かった。
 だけど、ユートはあの盗賊を炎で灰にした。あれほどの炎は私が全魔力を込めて〈獄炎地獄インフェルノ〉を使わないと使うことは出来ないだろう。だが、ユートはそれをいとも簡単に使っていた。それどころか、その炎に耐える強度を持った〈結界シールド〉を同時に張っていた。あんなことをやれば、この国の宮廷魔法師長でも魔力切れで倒れてしまう。
 でも、彼は何事もなかったかのように昼食を食べていた。

 その後、私は彼と勝負をした。
 私は、彼の得意な魔法を撃たせない為に、素早く近づいて、剣を振った。
 その瞬間、私は勝ったと思った。でも、私の剣は容易く受け止められ、逆に蹴りをくらって飛ばされてしまった。
 その後は一方的に追い詰められ、負けてしまった。

(あんな人、Sランク冒険者の中にいたかしら?)

 Sランク冒険者は一つの国に二、三人ほどしかいない。その為、私が知らないはずがないのですが……

(ユート、ユート……ユート……あ、もしかしてレティウス様が推薦したCランク冒険者……)

 公爵家のレティウス様には推薦権がある。その貴重な推薦権を使って彼が推薦したのは、あの街にいた違法奴隷組織と神の涙をまとめて消滅させたCランク冒険者だと聞いている。そのことに不満を抱く人が多かったので、印象に残っている。

(でも確かにあの強さなら頷けますね。勇者パーティーで彼ほどふさわしい人はいないでしょう)

 剣と魔法の両方で世界最強クラス。そして、人柄もよい。彼のような人と夫婦になれたらきっと幸せになれるだろう……

「……はっ! いえいえ。彼にはもう妻と子供がいるようですしね」

 彼と一緒にいた美しい女性とかわいらしい女の子が、恐らく彼の妻と子供だろう。

「……側室でもいいから……だけど、流石に平民との結婚なんて家族が認めてくれませんよね。いくら彼が強くても平民であることに変わりはない。そして、私は貴族。私はいずれ政略結婚の駒にされるんでしょうね……」

 私は青空を見上げると、深くため息をついた。

「でも、彼のような強者とつながりを持つのは利益にもなる。彼の実力を家族に見せればきっと結婚を認めてくださるでしょう……はっ! 私は何勝手に彼が結婚を了承する前提で色々考えていたの……」

 平民には一夫多妻の習慣はない。そんな彼が、了承してくれるなんて考えない方が……

「いえ、そんなこと考えていたら望む結婚は出来ない。思いを伝えることなら何の問題にもならないわ……」

 いつか思いを伝えてみようとこの時、私は思った。
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作者からのお知らせ

今朝ファンタジー小説大賞の順位を見てみたら、43位でした!

想像以上に高かったので嬉しいです!

今後どのように変動するのか楽しみです。
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