異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

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第四章 勇者パーティー

第一話 立派になったなぁ

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 十日後――

「では、行ってくる」

「ああ。ユート、クリスを頼むぞ」

「分かった」

 俺はみんなと別れの挨拶をしていた。
 俺は、これから王都に行き、勇者パーティーにナイル最終試験をしに行く。そして、クリスとノアも一緒に王都に連れて行くことにした。クリスは、幻術の魔道具で耳を人族の耳にしているので、〈鑑定〉を使われない限りはハイエルフとバレることはない。

「では、〈空間操作スペーショナル〉!」

 俺は〈空間操作スペーショナル〉でトリスの森に転移した。

「よっと。じゃあここから街まで歩くか」

 俺はノアを抱っこすると、そう言った。

「そうね。王都まではここからだと歩いて三日の距離にあるから、私たちなら休憩を長めにとっても二日でつけそうね」

 クリスは優しく笑った。
 王都には、トリスの街の北門を出て、そのまままっすぐ進めば、直ぐに着くことが出来る。余談だが、ティリアンへ行く時に通ったのは東門だ。

「では、行くか」

 俺達はトリスに向けて歩き始めた。



「もう嫌なんだけど。俺、面倒ごとに巻き込まれすぎじゃね?」

「これは私のせいね。私目的でこいつら来てるから」

「だが、俺が舐められやすいことが原因でもあるんだよなぁ」

 トリスに入った俺たちは今、道の真ん中でチンピラ六人を見下ろしながら、ため息をついていた。

 遡ること五分前――

「おい! 何いい女を連れてるんだよ! 何か生意気だな。ちょっと俺たちによこせよ!」

 道を歩いていた俺たちは、ガラの悪いチンピラ六人に絡まれた。
 何でこんなにも絡まれるんだろうなぁと思っていたら、こいつらの一人がクリスに手を出そうとした。

「ママをいじめるなっ!」

 すると、ノアがその男の右手をバチーンと叩いた。その瞬間、バキバキッと骨が折れる音がした。

「いでぇ!」

 ノアに右手を叩かれた男が、右手を抑えて、顔を歪ませた。

「ガキのくせに生意気な。死んで詫びれ!」

 激昂したチンピラがノアに殴りかかった。

「ノア、後は俺に任せてくれ。いや、俺にやらせてくれ」

 俺はノアの方を向いて微笑むと、殴りかかってきたチンピラの拳を握りつぶした。

「ぐああああ!」

 チンピラは顔を歪ませて、叫び声を上げた。

「おらっ!」

 その後、俺はチンピラの顔面を鷲掴みにすると、地面に叩きつけた。

「さてと、覚悟は出来ているよな」

 俺は残りのチンピラ五人を睨みつけると、そう言った。

「くっ……う、うるせえ!」

 こいつらは頭に血が上っているせいなのか、そのまま突っ込んできた。

「後悔するがいい。〈重力操作グラビティ―〉」

 俺はこいつらに百倍の重力をかけて押しつぶし、意識を奪った。

「じゃ、適当に衛兵に預けてからさっさと王都に行くか」

「そうね」

 こいつらを衛兵に預けて、さっさと王都に行こうと思った瞬間、前方から二人の男性冒険者が駆け寄ってきた。

「お、お久しぶりです。兄貴!」

「こいつらは俺達の弟子なんだ。弟子の教育が行き届いてなくてすんませんでしたー!」

 すると、二人の男性はいきなり美しい土下座をした。

「兄貴?……ん?……あ、お前らはあの時の――」

 美しい土下座を見て思い出した。こいつらは、俺が以前トリスに来た時に冒険者ギルドで絡んできた奴だ。あの百点満点のどげざは今も脳裏に焼き付いている。

「まあ、これはお前らのせいじゃない。こいつらが悪いんだ。それにしても、あの時と比べると何か雰囲気が変わったな。荒々しさが減り、代わりに優しさが増えたような気がする」

 俺は二人の変わりように目を見開いていた。

「おほめにあずかり光栄でございまっせ。兄貴」

「ああ。この腐った性格の奴らは俺達が責任をもって教育しますので、安心してください」

「そうか……後は任せたぞ」

 俺は二人の肩に手を乗せると、そう言った。

「「承知しました。兄貴!」」

 二人は立ち上がると、敬礼をした。その後、二人は転がっているチンピラを引きずって、去って行った。

「ユート、あの二人とは知り合いなの?」

「ああ。あいつは以前ここに来た時に絡んできた冒険者なんだ。まさかあんな風になっているなんて思いもしなかったけどな」

 俺は軽く説明をすると、北門へと向かって歩き出した。
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