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第三章 エルフの里
第二十三話 ノア強化作戦
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「さてと。後はノアの為に体温調節の服も買わないとな。最近暑くなってきたし」
俺は空を見上げながら、そう呟いた。
「そうね。今私が着ている服と同じ機能を持っているものが欲しいわね。ただ、どこに売っているかしら?」
「ああ。それなら知っている。だが、ノアのサイズのやつってあったかな……」
あの店には子供服もあったが、数は少なく、魔道具になっているものはなかった気がする。
「そうなのね……あ、里にあった気がする」
クリスは何かを思い出したような顔をすると、そう言ったた。
「そうか。じゃあ、里に行ったらノアに着せてあげてくれ」
「分かった。ノアちゃん。帰ったら涼しくなる服を着せてあげるね」
クリスはノアの頭を撫でながらそう言った。
「うん。楽しみ」
ノアは嬉しそうな顔をしながら、クリスに甘えていた。
「う~ん……これからどうするか。暫くはやることはないから暇だよな……あ!」
俺は手をポンと叩いた。
「あのさ、ノアをめちゃくちゃ強化して、俺がいないときに狙われたも無事でいられるようにしない?」
やり方としては、ティリアンのダンジョンに行き、そこにいる強い魔物を俺が瀕死寸前まで追い込んでから拘束する。そこに、ノアが攻撃して倒せば一気にレベルが上がるはずだ。
そのことをクリスに言うと、クリスは腕を組んだ。
「それはいいアイデアね。ただ、ノアちゃんがそのレベルの魔物を見たら恐怖で動けなくなっちゃって、討伐どころじゃなくなっちゃうと思うわ」
「た、確かにその通りだな。ノアのことを全く考えてなかった……てか、こんな幼子に生き物を殺す感触を覚えさせるのもダメだな」
「あ、そっち? 私たちでは五歳の時から弓矢でホーンラビットを狩るんだけど……ユートは随分過保護ね」
「まあ……そうだな。確かに狩りをさせるのは大事だな」
忘れていた。この世界は結構殺伐とした世界なんだった。そんな世界で生き物を殺す覚悟を持たせずに育ててしまったら、いざ魔物や盗賊と戦わなくてはならなくなった時に、力を出すことが出来ず、最悪死んでしまうかもしれない。
「じゃあ、まずは威圧感のない魔物からにするか」
「そうね。幸いと言っていいものじゃないけれど、ノアちゃんはその生い立ちもあってか、精神は結構強いわ。多分フォレストモンキーぐらいなら、怯えることなく倒せると思うわ」
「ああ。剣は俺が前に使っていた白輝の剣が良さそうだな。あれなら軽いし切れ味もいいし」
「ええ。じゃあ早速行きましょう」
「分かった」
こうして、ノア強化作戦が今、立てられた。だが、本人がやりたいかどうか聞いておく必要がある。流石にやりたくもないのに、やらせるわけにも行かないからな。
「ノア、自分の身が守れるように強くなりたいか? 魔物を倒すのはつらいと思うから、断っても構わないが……」
「魔物なら昔倒したことがあるよ! スライムが建物の隙間に一杯いたから!」
「……建物の隙間にスライム?」
そんなの俺は見たことがない。と言うか、街に魔物が居るのか?
そのことに疑問を持っていると、クリスが教えてくれた。
「貧しい人や、犯罪者が住んでいる汚染された場所、スラムでは、人間の死体を餌にするスライムが住み着いていると聞いたことがある」
「……そうか」
この世界にもスラム街があることは知っていた。だが、そこまでひどい場所だとは思わなかった。そして、そんな所でたくましく生きてきたノアに、尊敬のまなざしを送った。
「まあ、それなら問題なさそうだな。後は、ステータスを見て、伸ばすところを決めないとな」
俺はそう呟くと、ノアのステータスを見た。
ー--------------
名前 ノア 人族 LV.3
体力 50/50
魔力 170/170
攻撃 90
防護 80
俊敏性 100
スキル
・身体強化LV.1
魔法
・風属性
ー--------------
「……スキルもよさそうだし、魔法も仕えるのか」
「そうね。成長すれば、私と同じぐらいの強さになりそうね」
戦闘向きのスキルである〈身体強化〉を持ち、魔法も使うことが出来るのなら、スキルや魔法のせいで不利になることもなさそうだ。
「じゃあ、あの猿が出るマリノの森に行くぞ」
「そうね」
「分かったー!」
俺達は人目のつかない路地裏に移動すると、〈空間操作〉でマリノの森に転移した。
俺は空を見上げながら、そう呟いた。
「そうね。今私が着ている服と同じ機能を持っているものが欲しいわね。ただ、どこに売っているかしら?」
「ああ。それなら知っている。だが、ノアのサイズのやつってあったかな……」
あの店には子供服もあったが、数は少なく、魔道具になっているものはなかった気がする。
「そうなのね……あ、里にあった気がする」
クリスは何かを思い出したような顔をすると、そう言ったた。
「そうか。じゃあ、里に行ったらノアに着せてあげてくれ」
「分かった。ノアちゃん。帰ったら涼しくなる服を着せてあげるね」
クリスはノアの頭を撫でながらそう言った。
「うん。楽しみ」
ノアは嬉しそうな顔をしながら、クリスに甘えていた。
「う~ん……これからどうするか。暫くはやることはないから暇だよな……あ!」
俺は手をポンと叩いた。
「あのさ、ノアをめちゃくちゃ強化して、俺がいないときに狙われたも無事でいられるようにしない?」
やり方としては、ティリアンのダンジョンに行き、そこにいる強い魔物を俺が瀕死寸前まで追い込んでから拘束する。そこに、ノアが攻撃して倒せば一気にレベルが上がるはずだ。
そのことをクリスに言うと、クリスは腕を組んだ。
「それはいいアイデアね。ただ、ノアちゃんがそのレベルの魔物を見たら恐怖で動けなくなっちゃって、討伐どころじゃなくなっちゃうと思うわ」
「た、確かにその通りだな。ノアのことを全く考えてなかった……てか、こんな幼子に生き物を殺す感触を覚えさせるのもダメだな」
「あ、そっち? 私たちでは五歳の時から弓矢でホーンラビットを狩るんだけど……ユートは随分過保護ね」
「まあ……そうだな。確かに狩りをさせるのは大事だな」
忘れていた。この世界は結構殺伐とした世界なんだった。そんな世界で生き物を殺す覚悟を持たせずに育ててしまったら、いざ魔物や盗賊と戦わなくてはならなくなった時に、力を出すことが出来ず、最悪死んでしまうかもしれない。
「じゃあ、まずは威圧感のない魔物からにするか」
「そうね。幸いと言っていいものじゃないけれど、ノアちゃんはその生い立ちもあってか、精神は結構強いわ。多分フォレストモンキーぐらいなら、怯えることなく倒せると思うわ」
「ああ。剣は俺が前に使っていた白輝の剣が良さそうだな。あれなら軽いし切れ味もいいし」
「ええ。じゃあ早速行きましょう」
「分かった」
こうして、ノア強化作戦が今、立てられた。だが、本人がやりたいかどうか聞いておく必要がある。流石にやりたくもないのに、やらせるわけにも行かないからな。
「ノア、自分の身が守れるように強くなりたいか? 魔物を倒すのはつらいと思うから、断っても構わないが……」
「魔物なら昔倒したことがあるよ! スライムが建物の隙間に一杯いたから!」
「……建物の隙間にスライム?」
そんなの俺は見たことがない。と言うか、街に魔物が居るのか?
そのことに疑問を持っていると、クリスが教えてくれた。
「貧しい人や、犯罪者が住んでいる汚染された場所、スラムでは、人間の死体を餌にするスライムが住み着いていると聞いたことがある」
「……そうか」
この世界にもスラム街があることは知っていた。だが、そこまでひどい場所だとは思わなかった。そして、そんな所でたくましく生きてきたノアに、尊敬のまなざしを送った。
「まあ、それなら問題なさそうだな。後は、ステータスを見て、伸ばすところを決めないとな」
俺はそう呟くと、ノアのステータスを見た。
ー--------------
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攻撃 90
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ー--------------
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戦闘向きのスキルである〈身体強化〉を持ち、魔法も使うことが出来るのなら、スキルや魔法のせいで不利になることもなさそうだ。
「じゃあ、あの猿が出るマリノの森に行くぞ」
「そうね」
「分かったー!」
俺達は人目のつかない路地裏に移動すると、〈空間操作〉でマリノの森に転移した。
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