92 / 161
第二章 ダンジョン都市ティリアン
第二十五話 影の支配者
しおりを挟む
「はぁ……やっと二十万だ……」
あれから何日経過したのだろうか……二十日か?それとも三十日か?――もう分からなくなってしまった。
そんな状態になるまで俺はひたすらLV上げというものを続けたのだ。
こういう単純作業はやればやるほど、次第に最適化されるものである。
最初は〈身体強化〉〈雷強化〉〈風強化〉でエンシェントドラゴンの首元に近づき、剣を振って倒すというものだった。だが、エンシェントドラゴンとの距離がそれなりにあるので、最初の一撃はどうしても反応されてしまい、首の鱗を破壊するのが精一杯だった。〈空間操作〉を使うのが一番効率が良いのだが、それだと魔力の自動回復が間に合わなくなってしまう。
だが、色々と試行錯誤をした結果、一番効率が良かったのは〈身体強化〉〈雷強化〉を使った状態で〈重力操作〉を使うことだ。〈重力操作〉では俺の重力の向きをエンシェントドラゴンの首元にした。それにより、魔力の回復がギリ間に合う最高の状態で、エンシェントドラゴンもギリ反応できないという速度を維持できたのだ。
「じゃ、じっくり見るか」
俺のステータスは誰が相手であろうともまともな戦いにならないのではないかと疑いたくなるぐらいには強くなった。
ー--------------
名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.130
体力 139100/177800
魔力 209000/209000
攻撃 171200
防護 152000
俊敏性 181000
・鑑定LV.MAX
・言語翻訳LV.MAX
・身体強化LV.MAX
・剣術LV.MAX
・アイテムボックスLV.MAX
・気配隠蔽LV.MAX
・気配察知LV.MAX
・魔法合成LV.MAX
魔法
・火属性
・水属性
・風属性
・土属性
・光属性
・闇属性
ー--------------
「これなら魔王もサクッと倒せるかもな」
だが、油断は禁物だろう。そして、力に溺れてしまわないように、今後はより一層力の使い方には気を付けようと決めた。
「では、ここから出るか。〈空間操作〉!」
俺は〈空間操作〉で地上に転移した。
この魔法は神様から他人にはあまり見せない方がいいと言われているので、転移場所は人目のつかない路地裏にした。
「よっと……あ」
転移した先には、ボロボロの服を着て、鉄の首輪をつけたコバルトブルーの髪を持つ五歳ほどの女の子がいた。
そして、その女の子を担ぐ一人の黒いローブの男もいる。
「な、まさか衛兵か!? いや、こんなガキが衛兵なわけがないか。まあ、見たからには死ね……と言いたいところだが大人しく捕まってくれるなら殺さないでや――」
「黙れよ」
俺はこいつのくそ発言に静かにキレると極小の〈雷速砲〉でこいつの心臓を消し飛ばした。そして、素早く女の子を回収した。
「ひ、ひぇ……」
女の子は目の前で人が死んだせいか、怯えてしまった。
「あ、僕は怖くないよ。怖くな~い。怖くな~い。ほら、これ食べる?」
俺はしゃがみ込むと、〈アイテムボックス〉から串焼きを取り出し、女の子に差し出した。
「!? はむっ」
女の子は俺の手元にある串焼きに目を輝かせると、その串焼きを頬張った。
その様子がめちゃくちゃ可愛くて癒される。
「……それにしてもこの子はもしかして誘拐されたのか?」
さっきの様子からして、恐らくそういうことだろう。
「う~ん……取りあえず衛兵に渡すか。だが、流石にボロボロの服を着た女の子を連れて街を歩くのは視線がなあ……と言う訳で〈空間操作〉!」
俺は〈空間操作〉で衛兵の詰所がある街の入り口から一番近い路地裏に女の子と共に転移した。
「よっと。じゃあ行くか」
そう呟くと、俺は女の子を抱っこしながら衛兵の詰所に向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「――ということがありました」
俺は衛兵の詰所で何があったのかを話した。さっきの女の子は衛兵に渡し、今は身元の確認をしているとのことだ。
「……なるほどな……どうやらやつらと関係がありそうだな……」
衛兵は腕を組みながらため息をついた。
「ん? やつらとは誰のことなんですか?」
「ああ、実はこの街には影の支配者という違法奴隷組織があるんだ。それで、その男の発言から考えるに、そいつらで間違いないはずだ。それに、女の子に首輪が付いていたからあの子は奴隷で確定。そして、その男がコソコソ隠れていたんだから合法の奴隷でもないと言う訳だ」
「……そうか」
奴隷に合法も違法も関係ないと叫びたくなったが、ここは異世界なので、前の世界の常識は通用しない。
そのことを思い出した俺は衛兵の言葉に落ち着いた態度で頷いた。
「では、これで話は終わりだ。女の子を助けてくれたこと、感謝する。あの組織は元々明日作戦会議をして、その後直ぐに滅ぼすつもりだったから安心してくれ」
そう言うと、衛兵は頭を下げた。
「いえ、まあ、たまたま遭遇しただけですからね。では、さようなら」
俺は手を振るとドアへ向かった。そして、ドアノブに手をかけ、そのまま外に出ようとした時、そのドアから
ドアから一人の衛兵が入ってきた。その後ろには清潔な服に着替え、首輪も外されたさっきの女の子がいた。
「あれ? どうした?」
俺と話をしていた衛兵が気づいて、近づいてくる。
そこに、今入ってきた衛兵は困ったような顔を浮かべながら後ろにいる女の子を俺の前に立たせた。
俺が訝しんでいると、女の子が金色の眼で俺のことを見つめながら小さな口を開いた。
「お兄ちゃんについていきたい!」
あれから何日経過したのだろうか……二十日か?それとも三十日か?――もう分からなくなってしまった。
そんな状態になるまで俺はひたすらLV上げというものを続けたのだ。
こういう単純作業はやればやるほど、次第に最適化されるものである。
最初は〈身体強化〉〈雷強化〉〈風強化〉でエンシェントドラゴンの首元に近づき、剣を振って倒すというものだった。だが、エンシェントドラゴンとの距離がそれなりにあるので、最初の一撃はどうしても反応されてしまい、首の鱗を破壊するのが精一杯だった。〈空間操作〉を使うのが一番効率が良いのだが、それだと魔力の自動回復が間に合わなくなってしまう。
だが、色々と試行錯誤をした結果、一番効率が良かったのは〈身体強化〉〈雷強化〉を使った状態で〈重力操作〉を使うことだ。〈重力操作〉では俺の重力の向きをエンシェントドラゴンの首元にした。それにより、魔力の回復がギリ間に合う最高の状態で、エンシェントドラゴンもギリ反応できないという速度を維持できたのだ。
「じゃ、じっくり見るか」
俺のステータスは誰が相手であろうともまともな戦いにならないのではないかと疑いたくなるぐらいには強くなった。
ー--------------
名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.130
体力 139100/177800
魔力 209000/209000
攻撃 171200
防護 152000
俊敏性 181000
・鑑定LV.MAX
・言語翻訳LV.MAX
・身体強化LV.MAX
・剣術LV.MAX
・アイテムボックスLV.MAX
・気配隠蔽LV.MAX
・気配察知LV.MAX
・魔法合成LV.MAX
魔法
・火属性
・水属性
・風属性
・土属性
・光属性
・闇属性
ー--------------
「これなら魔王もサクッと倒せるかもな」
だが、油断は禁物だろう。そして、力に溺れてしまわないように、今後はより一層力の使い方には気を付けようと決めた。
「では、ここから出るか。〈空間操作〉!」
俺は〈空間操作〉で地上に転移した。
この魔法は神様から他人にはあまり見せない方がいいと言われているので、転移場所は人目のつかない路地裏にした。
「よっと……あ」
転移した先には、ボロボロの服を着て、鉄の首輪をつけたコバルトブルーの髪を持つ五歳ほどの女の子がいた。
そして、その女の子を担ぐ一人の黒いローブの男もいる。
「な、まさか衛兵か!? いや、こんなガキが衛兵なわけがないか。まあ、見たからには死ね……と言いたいところだが大人しく捕まってくれるなら殺さないでや――」
「黙れよ」
俺はこいつのくそ発言に静かにキレると極小の〈雷速砲〉でこいつの心臓を消し飛ばした。そして、素早く女の子を回収した。
「ひ、ひぇ……」
女の子は目の前で人が死んだせいか、怯えてしまった。
「あ、僕は怖くないよ。怖くな~い。怖くな~い。ほら、これ食べる?」
俺はしゃがみ込むと、〈アイテムボックス〉から串焼きを取り出し、女の子に差し出した。
「!? はむっ」
女の子は俺の手元にある串焼きに目を輝かせると、その串焼きを頬張った。
その様子がめちゃくちゃ可愛くて癒される。
「……それにしてもこの子はもしかして誘拐されたのか?」
さっきの様子からして、恐らくそういうことだろう。
「う~ん……取りあえず衛兵に渡すか。だが、流石にボロボロの服を着た女の子を連れて街を歩くのは視線がなあ……と言う訳で〈空間操作〉!」
俺は〈空間操作〉で衛兵の詰所がある街の入り口から一番近い路地裏に女の子と共に転移した。
「よっと。じゃあ行くか」
そう呟くと、俺は女の子を抱っこしながら衛兵の詰所に向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「――ということがありました」
俺は衛兵の詰所で何があったのかを話した。さっきの女の子は衛兵に渡し、今は身元の確認をしているとのことだ。
「……なるほどな……どうやらやつらと関係がありそうだな……」
衛兵は腕を組みながらため息をついた。
「ん? やつらとは誰のことなんですか?」
「ああ、実はこの街には影の支配者という違法奴隷組織があるんだ。それで、その男の発言から考えるに、そいつらで間違いないはずだ。それに、女の子に首輪が付いていたからあの子は奴隷で確定。そして、その男がコソコソ隠れていたんだから合法の奴隷でもないと言う訳だ」
「……そうか」
奴隷に合法も違法も関係ないと叫びたくなったが、ここは異世界なので、前の世界の常識は通用しない。
そのことを思い出した俺は衛兵の言葉に落ち着いた態度で頷いた。
「では、これで話は終わりだ。女の子を助けてくれたこと、感謝する。あの組織は元々明日作戦会議をして、その後直ぐに滅ぼすつもりだったから安心してくれ」
そう言うと、衛兵は頭を下げた。
「いえ、まあ、たまたま遭遇しただけですからね。では、さようなら」
俺は手を振るとドアへ向かった。そして、ドアノブに手をかけ、そのまま外に出ようとした時、そのドアから
ドアから一人の衛兵が入ってきた。その後ろには清潔な服に着替え、首輪も外されたさっきの女の子がいた。
「あれ? どうした?」
俺と話をしていた衛兵が気づいて、近づいてくる。
そこに、今入ってきた衛兵は困ったような顔を浮かべながら後ろにいる女の子を俺の前に立たせた。
俺が訝しんでいると、女の子が金色の眼で俺のことを見つめながら小さな口を開いた。
「お兄ちゃんについていきたい!」
18
お気に入りに追加
1,702
あなたにおすすめの小説

見習い女神のお手伝いっ!-後払いの報酬だと思っていたチート転生が実は前払いでした-
三石アトラ
ファンタジー
ゲーム制作が趣味のサラリーマン水瀬悠久(みなせ ゆうき)は飛行機事故に巻き込まれて死んでしまい、天界で女神から転生を告げられる。
悠久はチートを要求するが、女神からの返答は
「ねえあなた……私の手伝いをしなさい」
見習い女神と判明したヴェルサロアを一人前の女神にするための手伝いを終え、やっとの思いで狐獣人のユリスとして転生したと思っていた悠久はそこでまだまだ手伝いが終わっていない事を知らされる。
しかも手伝わないと世界が滅びる上に見習いへ逆戻り!?
手伝い継続を了承したユリスはチートを駆使して新たな人生を満喫しながらもヴェルサロアを一人前にするために、そして世界を存続させるために様々な問題に立ち向かって行くのであった。
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様でも連載中です。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!
克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。
アルファポリスオンリー

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる