異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

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第一章 冒険者活動始めました

第五十九話 特訓の成果

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「ふぁ~……よく寝た……」

 俺は体を伸ばしながらそう言った。
 昨日は特訓(?)を二時間ほどやったので、次はLVを一だけ上げて防護がどのくらい上がるのか見てみるとしよう。
 俺はローブを羽織り、靴を履くと部屋を出て、一階に降りた。
 一階では数人が朝食を食べていた。人が少ないと思い、時計を見てみると今は午前六時丁度を指していた。昨日はそれなりに早く寝たので今朝起きるのも早かったのだろう。
 俺は朝食を食べる為に適当な椅子に座った。そして、十五分ほどで食事が届けられた。

「こちらは米、ミノタウロスと野菜のスープ、ポテトサラダです」

「ああ、ありがとう」

 俺は食事を置いてもらうと礼を言った。
 ミノタウロスと野菜のスープ…ミノタウロスと言うとあの牛の顔をした人型の魔物だろう。ゲームでも割と定番の魔物だ。
 その肉と、ニンジン(に見える野菜)や、白菜(に見える野菜)が一緒にスープに入っていた。スープはミノタウロスの出汁がきいており、美味しかった。
 そして、ポテトサラダはもう前の世界で食べたものと味も見た目もほとんど変わらなかった為、一瞬「これも勇者か?」と思ったが、ピザパンのような明らかにこの世界にはなさそうなものというわけではないので、本当に勇者が伝えたものなのかは分からない。




「はぁ~食った食った……」

 ミノタウロスは牛肉のような味だった。この世界に来てからは豚肉のような味のするオークの肉を主に食べてきた為、久しぶりって感じがした。

「じゃ、昨日の成果を見る為にLVを1だけ上げてからティリアンに向かうとしよう」

 俺はそう言うと席を立ち、そのまま宿を出た。そして、トリスの森へ向かった。







「んーやっぱりLVが上がらないな~」

 森猪フォレストボアを四十頭討伐したのにLVはまだ上がらない。因みにこの時も何度かわざと突進をくらい、防護がより上がるようにした。
 これもやっぱり地味に痛かった。ただ、自分の弱い所は強くした方がいいので我慢し続けた。
 一応突進されても大丈夫か〈鑑定〉でこいつのステータスを確認してある。
 ー--------------
 名前 森猪フォレストボア LV34
 体力 3500/3500
 魔力 0/0
 攻撃 3900
 防護 3600
 俊敏性 3500
 弱点
 ・土属性
 主に一から五頭で行動する。
 獲物を見つけると一直線に突進して攻撃してくる。
 ー--------------
 まあ、これぐらいなら首に牙が刺さらない限り、基本骨が骨折するかしないかくらいで済む。更に、攻撃も上がるように、今まで倒してきた森猪フォレストボアは全てスキルも魔法も使わずに素手で倒していた。みんな牙をつかんでから地面にたたきつけ、最後に顔面めり込みパンチをすれば倒すことが出来る。



「お、LVが上がった」

 俺は森猪フォレストボアを百体ほど倒したところでようやくLVが上がった。
 森猪フォレストボアの居場所を感知し、そこに向かう時はスキルと魔法を使ったが、討伐するときは武器含めて一切使っていない。その為、大体三時間ほどかかってしまった。

「さて、どうなってるかな?」

 俺は期待に満ちた目でステータスの防護の所を見た。
 ー--------------
 名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.54
 体力 10100/11700
 魔力 15900/15900
 攻撃 10250
 防護 8700
 俊敏性 13000
 スキル
 ・鑑定LV.MAX
 ・言語翻訳LV.MAX
 ・身体強化LV.9
 ・剣術LV.8
 ・アイテムボックスLV.MAX
 魔法
 ・火属性
 ・水属性
 ・風属性
 ・土属性
 ・光属性
 ー--------------
「お、マジで上がってる」

 防護がいつもの倍くらい上がった。ただ、あれだけ頑張ってこれはちょっと割に合わない気がする。これをやるくらいなら街と街の間を走って移動して体力と俊敏性を上げる方がよっぽどラクだ。
 まあ、今日みたいに魔物を素手で倒すのはいいトレーニングになるので気が向いたらやろうと思った。
 だが、昨日のドMじみたことは二度としたくない。あれが知り合いに知られたら……たぶん一生引きこもりになる自信がある。




「結構金稼げたな~」

 冒険者ギルドで森猪フォレストボア百八頭の討伐の報酬金六十四万八千セルを受け取った。
 これほどの量の討伐証明部位を一気に出した為、受付嬢は青ざめながら俺と受付に小山のようになっている討伐証明部位を交互に見ていた。
 しかし、受付嬢は昨日のカルダンさんと俺の戦いを知っていたらしく、俺の名前を知ってからは納得したような顔で報酬金を渡してくれた。

 そして、素材解体所。ここで森猪フォレストボアの魔石百二十一個と売り忘れていたオークの魔石五十五個、オークキングの魔石一個を売った。
 こっちではよく商会なんかが数百個をまとめて買うことがあるらしく、そこまで驚かれることはなかった。
 因みに買取金額は森猪フォレストボアが三十六万セル、オークが十三万セル、オークキングが一万セルだ。おかげで今の俺は千万セル以上の金を持っていることになる。その内の半分以上は白輝の剣目当てで襲ってきた冒険者のものなのだが……

「う~ん……ただ使い道がないんだよな~」

 宿と食事にしか最近は金を使っていない。この世界の娯楽についてウォルフさんと雑談した時に聞いていたのだが、美術品の収集や武闘大会の観戦など、俺向きのものはなかった。
 そもそも剣や魔法で戦うことが今の俺からしてみれば娯楽のようなものだった。

「ん~だったら魔道具とか買ってみるのもよさそうだな」

 気配隠蔽の魔道具とかは普通に使ってみたいと思った。どこに売っているのかは分からないが、この国の王都に行けばいいのがありそうだ。

「じゃ、そろそろ行くか…」

 今は午前十時。今から行けば午後二時にはティリアンに着くと思っている。


 俺は門から外に出ると、〈身体強化〉と気づいたら魔力回復速度が魔力消費量を上回っていた〈風強化ブースト〉を使ってティリアンに向けて走り出した。
 もし、上回っていたことをグランから出る時に気づいていたらもう少し早くティリアンに着けたのだが、俺はそのことについては考えないで置いた。
 だって虚しくなるから……
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