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第一章 冒険者活動始めました
第四十五話 オークの集落の偵察
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「な…」
俺はこの光景を見て絶句していた。
高めの木の上から見下ろす先には丸太の塀で囲まれた巨大なスペースがあった。広さは大体四百メートルトラックの中のスペースくらいはある。そして、その中には大きな小屋が十個ほどあり、その中に防具を付けたオークが入っていった。あちこちにかがり火がたかれており、その光によって大量のオークが動いまわっているのが分かった。その中には他のオークより少し小さいが、杖を持っているやつがいた。〈鑑定〉を使ってみると、
ー--------------
名前 オーク・メイジ LV.32
体力 5000/5000
魔力 3200/3200
攻撃 1500
防護 3000
俊敏性 1500
魔法
・火属性
稀に生まれる特別なオーク。
オークと習性は同じだが、魔法が使える。
ー--------------
と表示された。
(オーク・メイジってやつは魔法が使えるのか……)
それが何十体もいるとなるとかなり厄介だ。そして、これだけのオークがいるならザクさんが言ってたオーク・キングとやらもいるような気がする。
「これは予想以上……いや、あれから一日経ってればこれくらい増えていてもおかしくはないか……」
ザクさんは驚きつつも納得した表情で呟いていた。
どうやらオークの繁殖能力はとんでもないようだ。確かにそのペースで増えるのならば早めの討伐が望ましい。
「あの~ここからちょっと魔法でつついて数を減らした方がいいですかね?」
ここから〈氷槍〉を撃てばかなり減らせるだろうと思ったのだが、
「いや、その場合逃げられる可能性がある。これだけの数がいればどれだけ頑張っても数十体は逃げられてしまう。そうなったらまたオークの集落が出来る可能性が非常に高い」
と言われて俺の意見は却下された。まあ、確かにこの数を一体も残さずに全滅できるかと聞かれても頷くことは出来ないのでその意見には納得出来た。
「だから明日この集落を囲むようにして攻め込むつもりだ。取りあえずオークは約四百体いることが分かった。その内の五十体はオーク・メイジだな…オーク・キングは分からないが集落がある時点で一体いることは確定だな」
「そうですか…これで偵察は終わりですか?」
「いや、オーク・キングの位置を把握しておいた方がいいからもう少し偵察するぞ」
「分かった」
俺たちは木から降りるとオークの集落を反時計回りに回りながら気配を探った。
(う~ん…強そうな魔物の気配は感じないな…)
オークが大量にいるせいで気配が探りずらい。音も大勢ののオークの鳴き声のせいで分からない。そもそもオーク・キングと声が違うのかすらも分からないのであまり音で探すのに意味はない。こうして半ばあきらめていた所で、明らかに違う。強い魔物の気配を感じた。
「ザクさん、多分この辺にオーク・キングがいると思います」
「ああ、何となくだが俺も気配を感じた。お前もそう言うんだったら間違いはなさそうだな」
そう言うなり俺たちは再び木の上に登った。
「ザクさん。絶対あいつがオーク・キングですよね?」
「ああ、間違いない」
二十メートルほど先にある小屋の前に身長四メートルほどの体の大きいオークがいた。鉄の大剣を持ち、筋肉も少しついている。そして、頭には小さめの角が二つくっついてる。
明らかに他のオークとは比べ物にならないように見える。俺は〈鑑定〉を使って確認してみた。
ー--------------
名前 オーク・キング LV.45
体力 7000/7000
魔力 0/0
攻撃 8900
防護 8800
俊敏性 2500
スキル
・威圧LV.6
・統率者LV.8
オークの中に極めて稀に生まれる。オークの最上位種。
〈統率者〉でオークを手足のように指揮する
ー--------------
(なるほどな…)
何となくこれくらいの強さだろうとは思っていた。だが、これほどの数のオークを指揮できる理由を俺は同じ種族だからだと思っていたが、まさか〈統率者〉なんていうスキルを使って指揮していたのは予想外だった。
「よし、オーク・キングの住む小屋はあれで確定だろう。この木に目印をつけてから帰るとしよう」
そう言うとザクさんは木から降り、その木に懐から取り出した赤い布ひもを縛り付けた。
「よし、これで終わりだ。ユート、降りてこい。帰るぞ」
「分かった」
俺は木から降りるとザクさんと共に夜営の所へ戻った。
「あ、ユート。戻ってきたのか」
夜営の所に戻ると、今はカイが見張りをしていた。
「なあ、オークはどんな感じだったんだ?」
「ああ、結構多かったぞ。四百体はいたな。あと、オーク・キングも見つけてきた」
「マジか……そんなに増えているのはちょっと予想外だな……まあ、ユートがさっきみたいにド派手に魔法をドカーンって撃っちゃえば問題なさそうだな」
カイはオークの数に驚いていたが笑う余裕があるなら多分大丈夫だろう。
「じゃ、俺は寝るとするよ。お休み」
「ああ、お休み」
俺は自分のテントに戻ると直ぐに意識を手放した。
俺はこの光景を見て絶句していた。
高めの木の上から見下ろす先には丸太の塀で囲まれた巨大なスペースがあった。広さは大体四百メートルトラックの中のスペースくらいはある。そして、その中には大きな小屋が十個ほどあり、その中に防具を付けたオークが入っていった。あちこちにかがり火がたかれており、その光によって大量のオークが動いまわっているのが分かった。その中には他のオークより少し小さいが、杖を持っているやつがいた。〈鑑定〉を使ってみると、
ー--------------
名前 オーク・メイジ LV.32
体力 5000/5000
魔力 3200/3200
攻撃 1500
防護 3000
俊敏性 1500
魔法
・火属性
稀に生まれる特別なオーク。
オークと習性は同じだが、魔法が使える。
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と表示された。
(オーク・メイジってやつは魔法が使えるのか……)
それが何十体もいるとなるとかなり厄介だ。そして、これだけのオークがいるならザクさんが言ってたオーク・キングとやらもいるような気がする。
「これは予想以上……いや、あれから一日経ってればこれくらい増えていてもおかしくはないか……」
ザクさんは驚きつつも納得した表情で呟いていた。
どうやらオークの繁殖能力はとんでもないようだ。確かにそのペースで増えるのならば早めの討伐が望ましい。
「あの~ここからちょっと魔法でつついて数を減らした方がいいですかね?」
ここから〈氷槍〉を撃てばかなり減らせるだろうと思ったのだが、
「いや、その場合逃げられる可能性がある。これだけの数がいればどれだけ頑張っても数十体は逃げられてしまう。そうなったらまたオークの集落が出来る可能性が非常に高い」
と言われて俺の意見は却下された。まあ、確かにこの数を一体も残さずに全滅できるかと聞かれても頷くことは出来ないのでその意見には納得出来た。
「だから明日この集落を囲むようにして攻め込むつもりだ。取りあえずオークは約四百体いることが分かった。その内の五十体はオーク・メイジだな…オーク・キングは分からないが集落がある時点で一体いることは確定だな」
「そうですか…これで偵察は終わりですか?」
「いや、オーク・キングの位置を把握しておいた方がいいからもう少し偵察するぞ」
「分かった」
俺たちは木から降りるとオークの集落を反時計回りに回りながら気配を探った。
(う~ん…強そうな魔物の気配は感じないな…)
オークが大量にいるせいで気配が探りずらい。音も大勢ののオークの鳴き声のせいで分からない。そもそもオーク・キングと声が違うのかすらも分からないのであまり音で探すのに意味はない。こうして半ばあきらめていた所で、明らかに違う。強い魔物の気配を感じた。
「ザクさん、多分この辺にオーク・キングがいると思います」
「ああ、何となくだが俺も気配を感じた。お前もそう言うんだったら間違いはなさそうだな」
そう言うなり俺たちは再び木の上に登った。
「ザクさん。絶対あいつがオーク・キングですよね?」
「ああ、間違いない」
二十メートルほど先にある小屋の前に身長四メートルほどの体の大きいオークがいた。鉄の大剣を持ち、筋肉も少しついている。そして、頭には小さめの角が二つくっついてる。
明らかに他のオークとは比べ物にならないように見える。俺は〈鑑定〉を使って確認してみた。
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名前 オーク・キング LV.45
体力 7000/7000
魔力 0/0
攻撃 8900
防護 8800
俊敏性 2500
スキル
・威圧LV.6
・統率者LV.8
オークの中に極めて稀に生まれる。オークの最上位種。
〈統率者〉でオークを手足のように指揮する
ー--------------
(なるほどな…)
何となくこれくらいの強さだろうとは思っていた。だが、これほどの数のオークを指揮できる理由を俺は同じ種族だからだと思っていたが、まさか〈統率者〉なんていうスキルを使って指揮していたのは予想外だった。
「よし、オーク・キングの住む小屋はあれで確定だろう。この木に目印をつけてから帰るとしよう」
そう言うとザクさんは木から降り、その木に懐から取り出した赤い布ひもを縛り付けた。
「よし、これで終わりだ。ユート、降りてこい。帰るぞ」
「分かった」
俺は木から降りるとザクさんと共に夜営の所へ戻った。
「あ、ユート。戻ってきたのか」
夜営の所に戻ると、今はカイが見張りをしていた。
「なあ、オークはどんな感じだったんだ?」
「ああ、結構多かったぞ。四百体はいたな。あと、オーク・キングも見つけてきた」
「マジか……そんなに増えているのはちょっと予想外だな……まあ、ユートがさっきみたいにド派手に魔法をドカーンって撃っちゃえば問題なさそうだな」
カイはオークの数に驚いていたが笑う余裕があるなら多分大丈夫だろう。
「じゃ、俺は寝るとするよ。お休み」
「ああ、お休み」
俺は自分のテントに戻ると直ぐに意識を手放した。
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