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第一章 冒険者活動始めました
第四十四話 俺のテント大きいんだよな…
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暫く歩いたところでザクさんが立ち止まり、あたりを見回してから俺たちの方へ振り返った。
「よし。ここで夜営にしよう。テントは建てられそうな所に各自で建ててくれ」
俺たちはその言葉と共に一斉にテントを建てるべく動き出した。
しかし、ここは木と木の間隔が長くて三メートル、短いと一メートルほどしかない。他の人はギルドから借りたテントなのでその間隔に納まるのだが、俺のテントは四メートルくらい間隔が空いていないと建てることが出来ない為、今の状態では建てることが出来ない。
「う~ん…木を切り倒すか…そして、地面に倒れる前に〈アイテムボックス〉に入れれば迷惑をかけないな…いや、直接〈アイテムボックス〉に入れちゃえばいいのか」
いいアイデアが浮かんだ俺は早速目の前にある木を〈アイテムボックス〉に入れた。おかげでテントを建てるには十分なスペースを確保ことが出来た。
「お、結構いいな…あ、地面に埋まってた根が急になくなったから陥没しちゃったな…」
これではテントが建てられないので俺は〈地面操作〉を使って平面にし、その上に〈アイテムボックス〉から取り出したテントを建てた。
「ふぅ…終わった~」
俺は冒険者ギルドで渡された干し肉を食べながらテントの中でくつろいでいた。
干し肉は、長持ちさせることを目的として作られた肉なので、今までに食べてきた肉と比べると味は若干劣るが、それでも普通に美味しかった。
これは食事で食べるものというよりは、おやつに食べるような感じがする。
俺は干し肉を食べ終えたが、まだ物足りなかったので〈アイテムボックス〉から塩パンを取り出して食べた。塩パンは前の世界でも好きなパンとしてパン屋に行く機会があったら必ずと言っていいほど買っていた。あの塩気がたまらなく好きなのだ。
今食べている塩パンもそれに負けないぐらい美味しい。ここ最近は肉しか食べていなかった為、今後は適度にパンも食べるとしようと思っているので、マリノを出る前にもう一度買っておこうと思う。
俺は塩パンも食べ終わると、〈アイテムボックス〉からコップを取り出し、〈水球〉で水を入れて飲んで、一息ついてからテントの外に出た。
外に出ると、すでに大半の人はテントを建て終えて、焚火の準備をしていた。
「あ、焚火忘れてた…」
ただ、焚火は既に必要数作り終わったらしく、俺は焚火作りに参加しないでのんびり食事をとっていた自分を心の中で責めた。
「この人数なら夜の見張りも楽そうだなぁ…」
前は四人でやった為、一人二時間半くらい見張りをしなければならなかったが、ここには三十人以上いる為、五人ずつで見張りをしてもこの前より寝る時間は多くなる。そう思っていると、全員の夜営の準備が終わったからか、ザクさんが集合を促した。
「よし。それで、夜の見張りなんだが、それは各パーティーごとに決めてくれ。その方が何かと都合がいいだろ」
というわけで前と負担は同じになってしまった。いや、早朝にオークを討伐するんだったら見張りの時間は少し短くなる。まあ、睡眠時間もそれに伴い短くなるので意味はないが…
「それで、見張りの順番はどうする?俺は順番はどうでもいいんだけど」
「俺も別にいつでもいいんだけどな」
「俺も」
「私も」
てな感じで赤き龍の三人は俺と同じく順番にこだわりがない人たちだった。
「夕飯何がいい?」と聞かれて「なんでもいい」と答えられるのが一番困るのと同じような感じだ。
流石にこのままでは決まらないので、
「じゃあ俺が一番目をやることにする」
と言った。するとそれに応じるように他のみんなも
「じゃあ二番目をやるか」
「私三番」
「俺は四番目だな」
さっきまでの決まりそうにない雰囲気から一転して一瞬で順番が決まった。そこら辺は流石パーティーだなって思った。
「えーと…見張りの順番はみんな決まったようだな。今日はもう遅いし早めに寝てくれ。あ、ユートはこっちに来てくれ。オーク討伐について大事な話があるから」
オーク討伐についての話で何故俺だけが呼ばれるのだろうか?よく分からないが取りあえず俺はその言葉に頷いた。ただ、何故か周りの人たちは納得したような表情を浮かべていた。
「あの~大事な話って何ですか?」
「ああ、お前にはこれから俺と共に偵察に行ってほしいんだ。今のオークの戦力がどれほどなのか。そしてオークキングがいるのかどうかを知る為にな」
「分かりました」
てな感じで俺の睡眠時間はめっちゃ減りそうだ。
見張りについてだが、三人が気を利かせてくれたおかげで俺はやらなくてもよくなった。
「じゃ、行くぞ。それなりに早く行くから遅れるなよ」
「分かった」
俺は〈身体強化〉を使うと、ザクさんの後をついて行った。
十分ほど走ったところで前方から「グルル」という鳴き声が聞こえてきた。恐らくオークだろう。ただ、気配も一緒に確認してみると、これは二百体どころではないと分かった。恐らくその倍はいると思われる。
(まじかよ…)
俺は気を引き締めて走るのに集中した。
「よし。ここで夜営にしよう。テントは建てられそうな所に各自で建ててくれ」
俺たちはその言葉と共に一斉にテントを建てるべく動き出した。
しかし、ここは木と木の間隔が長くて三メートル、短いと一メートルほどしかない。他の人はギルドから借りたテントなのでその間隔に納まるのだが、俺のテントは四メートルくらい間隔が空いていないと建てることが出来ない為、今の状態では建てることが出来ない。
「う~ん…木を切り倒すか…そして、地面に倒れる前に〈アイテムボックス〉に入れれば迷惑をかけないな…いや、直接〈アイテムボックス〉に入れちゃえばいいのか」
いいアイデアが浮かんだ俺は早速目の前にある木を〈アイテムボックス〉に入れた。おかげでテントを建てるには十分なスペースを確保ことが出来た。
「お、結構いいな…あ、地面に埋まってた根が急になくなったから陥没しちゃったな…」
これではテントが建てられないので俺は〈地面操作〉を使って平面にし、その上に〈アイテムボックス〉から取り出したテントを建てた。
「ふぅ…終わった~」
俺は冒険者ギルドで渡された干し肉を食べながらテントの中でくつろいでいた。
干し肉は、長持ちさせることを目的として作られた肉なので、今までに食べてきた肉と比べると味は若干劣るが、それでも普通に美味しかった。
これは食事で食べるものというよりは、おやつに食べるような感じがする。
俺は干し肉を食べ終えたが、まだ物足りなかったので〈アイテムボックス〉から塩パンを取り出して食べた。塩パンは前の世界でも好きなパンとしてパン屋に行く機会があったら必ずと言っていいほど買っていた。あの塩気がたまらなく好きなのだ。
今食べている塩パンもそれに負けないぐらい美味しい。ここ最近は肉しか食べていなかった為、今後は適度にパンも食べるとしようと思っているので、マリノを出る前にもう一度買っておこうと思う。
俺は塩パンも食べ終わると、〈アイテムボックス〉からコップを取り出し、〈水球〉で水を入れて飲んで、一息ついてからテントの外に出た。
外に出ると、すでに大半の人はテントを建て終えて、焚火の準備をしていた。
「あ、焚火忘れてた…」
ただ、焚火は既に必要数作り終わったらしく、俺は焚火作りに参加しないでのんびり食事をとっていた自分を心の中で責めた。
「この人数なら夜の見張りも楽そうだなぁ…」
前は四人でやった為、一人二時間半くらい見張りをしなければならなかったが、ここには三十人以上いる為、五人ずつで見張りをしてもこの前より寝る時間は多くなる。そう思っていると、全員の夜営の準備が終わったからか、ザクさんが集合を促した。
「よし。それで、夜の見張りなんだが、それは各パーティーごとに決めてくれ。その方が何かと都合がいいだろ」
というわけで前と負担は同じになってしまった。いや、早朝にオークを討伐するんだったら見張りの時間は少し短くなる。まあ、睡眠時間もそれに伴い短くなるので意味はないが…
「それで、見張りの順番はどうする?俺は順番はどうでもいいんだけど」
「俺も別にいつでもいいんだけどな」
「俺も」
「私も」
てな感じで赤き龍の三人は俺と同じく順番にこだわりがない人たちだった。
「夕飯何がいい?」と聞かれて「なんでもいい」と答えられるのが一番困るのと同じような感じだ。
流石にこのままでは決まらないので、
「じゃあ俺が一番目をやることにする」
と言った。するとそれに応じるように他のみんなも
「じゃあ二番目をやるか」
「私三番」
「俺は四番目だな」
さっきまでの決まりそうにない雰囲気から一転して一瞬で順番が決まった。そこら辺は流石パーティーだなって思った。
「えーと…見張りの順番はみんな決まったようだな。今日はもう遅いし早めに寝てくれ。あ、ユートはこっちに来てくれ。オーク討伐について大事な話があるから」
オーク討伐についての話で何故俺だけが呼ばれるのだろうか?よく分からないが取りあえず俺はその言葉に頷いた。ただ、何故か周りの人たちは納得したような表情を浮かべていた。
「あの~大事な話って何ですか?」
「ああ、お前にはこれから俺と共に偵察に行ってほしいんだ。今のオークの戦力がどれほどなのか。そしてオークキングがいるのかどうかを知る為にな」
「分かりました」
てな感じで俺の睡眠時間はめっちゃ減りそうだ。
見張りについてだが、三人が気を利かせてくれたおかげで俺はやらなくてもよくなった。
「じゃ、行くぞ。それなりに早く行くから遅れるなよ」
「分かった」
俺は〈身体強化〉を使うと、ザクさんの後をついて行った。
十分ほど走ったところで前方から「グルル」という鳴き声が聞こえてきた。恐らくオークだろう。ただ、気配も一緒に確認してみると、これは二百体どころではないと分かった。恐らくその倍はいると思われる。
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俺は気を引き締めて走るのに集中した。
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