異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

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第一章 冒険者活動始めました

第三十七話 ステータスの上がり方(仮説)

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「よし、ここら辺で野宿をしようかな」

 ストーム・キャットを倒した俺はあの後、昼食を走りながら食べて喉に串焼きのくしを刺しかけるというハプニングに見舞われながらも、日が暮れるまでぶっ通しで走り続けた。その為、立ち止まったとたんに疲労がドッと押し寄せてくる。そのまま座り込みたい気分だが、まずはテントを建てるのが最優先だ。
 しかし、この辺りでテントを建てられそうなのが道の上しかない。道から外れた場所は石や木の根などででこぼこしている。

「んーどうすっかな~」

 石や木の根は消せば何とかなるのだが、それでも地面の土はどうしようもない。土を操作する魔法なんてあるわけが…いや、〈土壁アースウォール〉ってやつがあったな。
 俺は早速〈土壁アースウォール〉を横向きに作ってみた。すると、なんと僅か数秒で道の横に平らな地面が出来ました。

「よし!」

 我ながらいいアイデアだ。ていうかこれを使えば壁も屋根も作れるんだからテントいらなくね?と思ったりもしたが、テントには便利な機能が付いているのでその辺を考慮したらやっぱりテントの方がいいという結論になった。
 俺はここで初めてのテント設置を始めることにした。テントって建てるのが難しいイメージがあるので一時間くらいかかるかな?と思いながら〈アイテムボックス〉からテントの入った袋を取り出した。

「テントの建て方を教わってないんだよな~?」

 ウォルフさんからは「しまう時はテントの上にある黒いボタンを押しながらつぶせばいいよ」としか言われてない。まあ、それしか言わないということはもしかしたら建てるのが簡単な可能性も十分にある。
 俺は簡単であることを祈りながらテントを袋から取り出した。すると…

「うわっ凄ぇな……」

 袋から取り出した途端にテントが「バッ」という音と共に広がり、特に俺が手出しすることもなく一瞬でテントの設置が完了したのだ。こんなの前の世界でも見たことがない。

「異世界ってスゲー」

 異世界ではこれが常識なのだろうか?それともウォルフさんのテントが特別なだけなのだろうか?まあ、俺は確実に後者だと思っている。
 テントは前の世界でも見たことのある四角錐の形をしている。俺は疲れていたこともあり、直ぐに中に入った。

「お~結構広いな」

 広さは大体四畳くらいの大きさだ。恐らくだが大きさ的にニ、三人用だと思う。

「一人で使う分には全然問題ない広さだな。ていうか布団買うの忘れてたな…」

 準備万端のはずだったのにまさか忘れるとは……かなりショックだ。まあ、致命的な忘れ物ではなかったのはせめてもの救いだろう。


 そろそろ夕飯にしよう。
 俺は〈アイテムボックス〉からオークの串焼きを取り出して口に放り込みながらステータスを見た。
 ストーム・キャットというドジだが強い魔物を倒したのでLVはかなり上がっていると思う。
 ー--------------
 名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.42
 体力 4100/8100
 魔力 12100/12100
 攻撃 7800
 防護 6500
 俊敏性 9100
 スキル
 ・鑑定LV.MAX
 ・言語翻訳LV.MAX
 ・身体強化LV.8
 ・剣術LV.7
 ・アイテムボックスLV.MAX
 魔法
 ・火属性
 ・水属性
 ・風属性
 ・土属性
 ・光属性
 ー-------------
「おお…凄ぇ……」

 魔力だけならついにシンさんに勝つくらいまで強くなった。こんな短期間でここまで強くなれる俺は改めてチートだなぁと思った。それと共に俺はステータスの上がり具合に差があることに気が付いた。

「体力、魔力、俊敏性はかなり上がるけど攻撃と防護はその三つと比べるとあまり上がらないな…」

 俺はこれを見てとある仮説を立てた。それは、

『より鍛えた箇所ほどステータスは上がりやすい』

 ということだ。

 俺は街から街を移動する時や、森の中も走って移動する。その為、俊敏性と、長く走ることから体力も上がりやすかったのだろう。
 一方俺の場合、〈身体強化〉を使っているのでいつも剣で倒す魔物何かはほとんど力を入れなくても倒せてしまう為、攻撃は伸びが少し悪いのだと思う。防護はそもそも攻撃を受けることがほとんどない。それが防護の伸びが悪い理由なのだろう。
 ただ、この仮説にも少し穴がある。それは、魔力が最も高いことだ。
 確かにそれなりに使ってはいるが、強い魔物以外はほぼ剣で倒している。それなのに魔力がここまで上がるのは分からない。もしかして相性とかがあるのだろうか……
 上がりにくいステータスのうち、攻撃の方は積極的に剣を使えば何とかなるのだが、防護の方はわざと攻撃を受けるというのは嫌なのでどうしようもない。今日みたいな強い魔物と戦えば多分防護も上がると思うが…




「ふぅ…美味かった」

 食事を終えた俺はいつものように〈アイテムボックス〉からコップを取り出して〈水球ウォーターボール〉で水を入れて飲んだ。

「う~ん…眠くはないけどやることもないしな~」

 外はもう真っ暗だが、それでも大体7時くらいだ。前の世界みたいに空いた時間を潰すためのゲームがない為凄い暇だ。

「あ、そういえば新しい魔法って使えるようになってるかな?」

 そう思って魔法の所を確認してみると、しっかり各属性一つずつ覚えていた。

「ん~と…〈火壁ファイアウォール〉、〈氷槍アイスランス〉、〈風壁ウインドウォール〉、〈地面操作アースコントロール〉、〈解毒キュアポイズン〉か……」

 今すぐ試したいところだが、暗い中やってもどんな感じか分からないので明日やることにした。

「もう寝ようかな?」

 寝るにはまだ早いが、夜に魔物にたたき起こされる可能性があることを思い出し、少しでも睡眠時間を確保しておこうと思った。

「じゃ、おやすみなさい」

 俺は直ぐに意識を手放した。
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