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第一章 冒険者活動始めました
第二十八話 この肉、魚は絶品だ
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「は~よく寝た」
昨日はなんだかんだ一時間くらいさまよってようやく良さそうな宿を見つけたのだ。風の精霊亭という宿で、一泊食事つきで一万八千セルと、かなりお高い。ただ、その分宿の中には護衛がいたり、部屋が前に泊まった緑林亭よりも少しだけ広い。
俺はベッドから起き上がると、靴を履き、ローブを羽織った。昨日神の涙が襲ってきたことと、一度狙った相手はしぶとく追い続けるということを考慮して、フードをかぶることにした。前の世界ならこの格好は怪しいと言われて通報されるが、この世界なら一定数いるので特に問題はない。
この宿は三階建てで、一階に食堂、二、三階が宿泊部屋となっている。俺は朝食を食べるために三階から一階へ階段で降りた。一階では多くの人が食事をとっており、その大半が高級そうな服を着ていた。
(ここってやっぱ高級宿だよな…)
それなりの出費だが、身の安全を考慮しての選択だし、稼ぎ的には痛手というわけでもない為後悔はない。
席に座ると、十分ほどで食事が届けられた。
「こちらは米、氷魚の刺身、野菜のスープです」
今更だが、何故ご飯や白米ではなく米と言うのだろうか?
まあ、恐らく米を伝えた勇者がやらかしたのだろう。俺としては呼び方についてはそこまで気にはしないので問題はない。
(それにしてもようやく魚が食べられる…か)
ずっと肉だらけの生活をしていたので、魚が恋しくなってきた今日この頃。しかも刺身という魚料理の中で一番好きなものだ。
俺はフードをとると、さっそく氷魚の刺身を食べてみた。
「ああ…美味いな……」
氷魚の刺身は赤身魚で、マグロに近い味がする。醤油がないのが残念だが、それでもおいしい。そして、気がついたら完食していた。
「あー美味かった」
俺は余韻に浸りつつもフードをかぶり、店を出た。
(どうするか…この街にいても神の涙とやらに襲われる危険性があるからな…)
当初の予定としてはこの街で時間のかからない依頼を受けたり、街を散策したりして、夕方にこの街を出て途中で野宿をし、明日の昼頃にグランに到着することにしようと思っていた。ただ、この街に長くいたら神の涙に襲われる危険性が高いと思った俺は今すぐにでも出発しようと思っている。
「じゃ、帰るか…と、その前に昼飯買ってくか」
グランで買った串焼きの在庫がないことを思い出した俺は冒険者ギルドの前にある屋台に行くことにした。
「お、いい匂いがしてきたな」
冒険者ギルドの周辺には肉を焼くいい匂いが漂っていた。俺はいくつかある屋台の中で、一番人が多く集まっている屋台へ向かった。
(やっぱ美味しいものを食べたいしな…)
人が多いということはその分期待値も高まる。なので俺は人が多い所を選んだのだ。
「はい。まいどあり」
ここにあったのは森虎の串焼きだ。店主の話によるとこの辺では中々現れないBランクの魔物で、知り合いの冒険者から高値で取引したものだと言われた。そして、売れ行き的に明日には完売してしまうとのことだ。
俺はそれを五本買って〈アイテムボックス〉に入れた。これは一本七百セルとかなりお高い。まあ、きっと値段通りの味だと思うので期待しておこう。
「よし、ここを出るとするか」
俺は街の門に向けて歩き出した。
「……ただ走り続けるっていうのも暇だな~」
俺は今いつも魔物を倒す時と同じように〈身体強化〉を使って走り続けていた。大体時速四十キロメートルくらいだろうか?なんか改めて使うと前より速くなっている気がする。恐らくステータスが上がっているのが原因だろう。
「あれからどのくらいLV上がったか?」
馬車の護衛でそれなりの数の魔物を倒した。冒険者ギルドの受付嬢曰く、ゴブリン五十匹=オーク一体分のLVアップということなのでかなり期待できる……はず。
俺は走りながらステータスを見た。
ー--------------
名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.33
体力 4700/5900
魔力 9800/9800
攻撃 6100
防護 4800
俊敏性 7000
スキル
・鑑定LV.MAX
・言語翻訳LV.MAX
・身体強化LV.8
・剣術 LV6
・アイテムボックスLV.MAX
魔法
・火属性
・水属性
・風属性
・土属性
・光属性
ー--------------
「1しか上がらないか……」
まあ、何となく予想していたことなので「そうだよな~」と思ってしまう自分がいる。
どうやら走るスピードが上がったのは俊敏性が上がっただけでなく、〈身体強化〉のLVが上がったことも原因の一つのようだ。
俺はステータスを見るのを止めると、また走ることに集中した。
「ここらで昼飯にするか」
何時間もぶっ通しで走ったのでかなり体力を消費したし、お腹もすいてきた。
俺は立ち止まると、〈アイテムボックス〉から森虎の串焼きを一先ず三本取り出した。高かったので、どれほど美味しいのか楽しみだ。
「いただきまーす」
俺はまず一口食べた。
「う、美味い……」
肉は柔らかくて食べやすい。そして肉の中には肉汁がたっぷりと詰まっている。味は牛肉のような感じだが、ちょっと違う。
俺はあっという間に三本を食べきると、そのまま〈アイテムボックス〉から残り二本も取り出し、食べた。
「は~美味しかった…」
この世界は料理のレパートリーは俺が見てきた限りだと前の世界よりも少ないが、味に関して言えばこの世界の方が美味しいと思った。俺はもう少し買えばよかったと思ったが、過ぎたことなので仕方ない。
食べ終わった俺は〈身体強化〉を使い、いざ出発しようと思った時、道沿いにある森から音がした。気配は全く感じられない。ただ、人が「ふぅ」と息をつく音を〈身体強化〉のおかげでギリギリ拾うことが出来たのだ。LV8で僅かに聞こえるくらいなのだからLV7では恐らく聞こえなかっただろう。
まあ、何となくだがコソコソ隠れて俺のことを見張っていることから察するに、碌な人間ではないのだろう。
「おい!そこで何をしている!」
と、俺は叫んだ。
昨日はなんだかんだ一時間くらいさまよってようやく良さそうな宿を見つけたのだ。風の精霊亭という宿で、一泊食事つきで一万八千セルと、かなりお高い。ただ、その分宿の中には護衛がいたり、部屋が前に泊まった緑林亭よりも少しだけ広い。
俺はベッドから起き上がると、靴を履き、ローブを羽織った。昨日神の涙が襲ってきたことと、一度狙った相手はしぶとく追い続けるということを考慮して、フードをかぶることにした。前の世界ならこの格好は怪しいと言われて通報されるが、この世界なら一定数いるので特に問題はない。
この宿は三階建てで、一階に食堂、二、三階が宿泊部屋となっている。俺は朝食を食べるために三階から一階へ階段で降りた。一階では多くの人が食事をとっており、その大半が高級そうな服を着ていた。
(ここってやっぱ高級宿だよな…)
それなりの出費だが、身の安全を考慮しての選択だし、稼ぎ的には痛手というわけでもない為後悔はない。
席に座ると、十分ほどで食事が届けられた。
「こちらは米、氷魚の刺身、野菜のスープです」
今更だが、何故ご飯や白米ではなく米と言うのだろうか?
まあ、恐らく米を伝えた勇者がやらかしたのだろう。俺としては呼び方についてはそこまで気にはしないので問題はない。
(それにしてもようやく魚が食べられる…か)
ずっと肉だらけの生活をしていたので、魚が恋しくなってきた今日この頃。しかも刺身という魚料理の中で一番好きなものだ。
俺はフードをとると、さっそく氷魚の刺身を食べてみた。
「ああ…美味いな……」
氷魚の刺身は赤身魚で、マグロに近い味がする。醤油がないのが残念だが、それでもおいしい。そして、気がついたら完食していた。
「あー美味かった」
俺は余韻に浸りつつもフードをかぶり、店を出た。
(どうするか…この街にいても神の涙とやらに襲われる危険性があるからな…)
当初の予定としてはこの街で時間のかからない依頼を受けたり、街を散策したりして、夕方にこの街を出て途中で野宿をし、明日の昼頃にグランに到着することにしようと思っていた。ただ、この街に長くいたら神の涙に襲われる危険性が高いと思った俺は今すぐにでも出発しようと思っている。
「じゃ、帰るか…と、その前に昼飯買ってくか」
グランで買った串焼きの在庫がないことを思い出した俺は冒険者ギルドの前にある屋台に行くことにした。
「お、いい匂いがしてきたな」
冒険者ギルドの周辺には肉を焼くいい匂いが漂っていた。俺はいくつかある屋台の中で、一番人が多く集まっている屋台へ向かった。
(やっぱ美味しいものを食べたいしな…)
人が多いということはその分期待値も高まる。なので俺は人が多い所を選んだのだ。
「はい。まいどあり」
ここにあったのは森虎の串焼きだ。店主の話によるとこの辺では中々現れないBランクの魔物で、知り合いの冒険者から高値で取引したものだと言われた。そして、売れ行き的に明日には完売してしまうとのことだ。
俺はそれを五本買って〈アイテムボックス〉に入れた。これは一本七百セルとかなりお高い。まあ、きっと値段通りの味だと思うので期待しておこう。
「よし、ここを出るとするか」
俺は街の門に向けて歩き出した。
「……ただ走り続けるっていうのも暇だな~」
俺は今いつも魔物を倒す時と同じように〈身体強化〉を使って走り続けていた。大体時速四十キロメートルくらいだろうか?なんか改めて使うと前より速くなっている気がする。恐らくステータスが上がっているのが原因だろう。
「あれからどのくらいLV上がったか?」
馬車の護衛でそれなりの数の魔物を倒した。冒険者ギルドの受付嬢曰く、ゴブリン五十匹=オーク一体分のLVアップということなのでかなり期待できる……はず。
俺は走りながらステータスを見た。
ー--------------
名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.33
体力 4700/5900
魔力 9800/9800
攻撃 6100
防護 4800
俊敏性 7000
スキル
・鑑定LV.MAX
・言語翻訳LV.MAX
・身体強化LV.8
・剣術 LV6
・アイテムボックスLV.MAX
魔法
・火属性
・水属性
・風属性
・土属性
・光属性
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「1しか上がらないか……」
まあ、何となく予想していたことなので「そうだよな~」と思ってしまう自分がいる。
どうやら走るスピードが上がったのは俊敏性が上がっただけでなく、〈身体強化〉のLVが上がったことも原因の一つのようだ。
俺はステータスを見るのを止めると、また走ることに集中した。
「ここらで昼飯にするか」
何時間もぶっ通しで走ったのでかなり体力を消費したし、お腹もすいてきた。
俺は立ち止まると、〈アイテムボックス〉から森虎の串焼きを一先ず三本取り出した。高かったので、どれほど美味しいのか楽しみだ。
「いただきまーす」
俺はまず一口食べた。
「う、美味い……」
肉は柔らかくて食べやすい。そして肉の中には肉汁がたっぷりと詰まっている。味は牛肉のような感じだが、ちょっと違う。
俺はあっという間に三本を食べきると、そのまま〈アイテムボックス〉から残り二本も取り出し、食べた。
「は~美味しかった…」
この世界は料理のレパートリーは俺が見てきた限りだと前の世界よりも少ないが、味に関して言えばこの世界の方が美味しいと思った。俺はもう少し買えばよかったと思ったが、過ぎたことなので仕方ない。
食べ終わった俺は〈身体強化〉を使い、いざ出発しようと思った時、道沿いにある森から音がした。気配は全く感じられない。ただ、人が「ふぅ」と息をつく音を〈身体強化〉のおかげでギリギリ拾うことが出来たのだ。LV8で僅かに聞こえるくらいなのだからLV7では恐らく聞こえなかっただろう。
まあ、何となくだがコソコソ隠れて俺のことを見張っていることから察するに、碌な人間ではないのだろう。
「おい!そこで何をしている!」
と、俺は叫んだ。
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