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第一章 冒険者活動始めました

第二十二話 サルトは強い(?)

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 話し声と顔を照らす日の光で俺は目を覚ました。目をこすりながらあたりを見回していると、

「あ、ユートおはよう」

「サルトより早かったな」

 ライザとニナが朝食として、昨日倒したオークの肉を食べている光景が目に入った。
 朝に弱いと言われていたサルトはまだ夢の中にいるようだ。

「おはよう。俺も朝食を食べるとするか」

「よし。じゃあこの肉を食べろ」

 そう言ってライザが手渡したのは昨日討伐したオークの肉を木の枝にさして焼いたものだ。豚肉のような香りが食欲をそそる。

「ああ、ありがとう」

 俺は礼を言うと、オークの焼肉をもらい、さっそくかぶりついた。

「ああ…うまいな」

 火で焼いただけの肉で食べたことのあるやつだと森狼フォレストウルフがいるが、それは獣臭さがどうしても抜けず、腹がメチャクチャすいていれば美味しいと思えるくらいだった。でもこっちは獣臭さがなく、味も森狼フォレストウルフよりいいのでかなり高評価だ。それでもやはりしっかり調理されたものと比べると味に物足りなさを感じる。

(まあ、自分で討伐したやつだからコスパはいいんだけどな~)

 材料費は驚異のゼロセルだ。そう考えれば結構よく感じる。




「は~美味かった」

 オークの串焼きを完食した俺たちは野営の片づけを始めた。ちなみにサルトはまだ寝ている。
 流石に我慢できなくなったのか、ライザがため息をつきながらサルトに近づいていく。

「おい。流石に起きろ!」

 するとライザはいきなりサルトの頭を腰から外した剣のさやでたたくという中々の行動をとった。しかもそれなりに強い力だ。

「お、おい…こいつ大丈夫か?」

 何度もバシバシとたたかれているサルトを俺は気にかけた。

「いつものことだから大丈夫よ。それにそろそろ起きると思うけど…」

 いつもこんなことをしているのかとツッコミたくなったところで、

「う~ん……朝か…」

 サルトが寝ぼけながらもようやく起き上がった。

「あれ?そういえばサルトって夜の見張りの順番最後だったよね?それなのに何で寝ているの?」

 ニナの質問で、俺はサルトのやらかしに気づいた。
 ライザが目つきを鋭くさせてサルトをにらみつける。

「ご、ごめん…なさい…最初はやってたんだけど寝落ちしちゃって……」

「ていうかその時に魔物が来なくてよかったな。もし来ていたら俺たち相当やばかったぞ」

 確かにライザの言う通りだ。ただ、もしそうなったら俺がニナが近づいてきた時のように気が付いたかもだし、最悪シンさんが起こしてくれたのかもしれないが……

「ほ、本当にすいません。次は気を付けます」

 サルトはさっきのような軽い謝り方ではなく、頭を地面につけて本気で謝った。どうやらどれほど自分が危ないことをしたのか気づいたようだ。

(ていうか剣のさやでたたかれていたけど中に剣が入っている状態だったから普通怪我してるよな?)

 それなのに全く痛がらないし、怪我もしていないようだ。どうやらサルトはこの中で一番頑丈そうだ。
 どれくらい頑丈なのか〈鑑定〉で確認してみることにした。ステータスを見られることが俺からサルトへの罰(?)ということにしておこう。
 ー--------------
 名前 サルト 人族 LV22
 体力 2000/2000
 魔力 900/900
 攻撃 1600
 防護 2000
 俊敏性 2100
 スキル
 ・剣術LV.3
 ・物理耐性LV.6
 ー--------------
「うわ…凄いな…」

 と、思わずつぶやいてしまった。

「ん?なんかあったのかい?」

 サルトが今の言葉に反応して俺の方を向くが、何でもないと言ってごまかした。

(物理耐性がLV6って凄いな……)

 神様の恩恵があってもスキルLVはなかなか上がらない。なのにサルトはEランク冒険者でありながら6まで上げている。それはもはや一種の才能なのだろうか…

(あ、確かスキルは使えば使うほど上がるんだったな)

 俺の場合も〈剣術〉のスキルは始めは使わなかったので上がらなかったが、よく使うようになったらLVが上がるようになった。そのことから考えるにサルトは俺が想像出来ないくらい沢山使ったたたき起こされたのだろう。なんかある意味尊敬の眼を向けたくなる感じだ。
 その後、俺はノリでニナのステータスまで見てしまった。女性の個人情報は見てはいけない感じがしたが、見てしまったものはしょうがない。というか個人情報は男性も女性も関係なく見てはいけないものだが…
 まあ、ニナのステータスを見ると、
 ー--------------
 名前 ニナ 人族 LV21
 体力 1500/1500
 魔力 2500/2500
 攻撃 800
 防護 1500
 俊敏性 1300
 スキル
 ・言語翻訳LV.1
 魔法
 ・火属性
 ー--------------
(なるほどな…)

 魔法師らしいステータスだなと思った。
 ニナのステータスに対する反応が薄いが、これはどちらかというと先に見た三人にはステータスに対するツッコミ所があったからだ。ライザは種族がハーフ獣人族ということ、シンさんは純粋に強いということ、サルトは細身の見た目に似合わずめちゃくちゃ打たれ強いということだ。
 他人のステータスを眺めていると、

「おい。ユート!ぼーっとしている暇があったら片付け手伝ってくれないか?」

 と、ライザからお怒りの声が上がった。
 ライザの言葉で我に返った俺は慌てて焚火やテントの片付けを始めた。
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