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第一章 冒険者活動始めました
第六話 事情を話す
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支部長室の中は真ん中に高さが低めのテーブルがあり、その両側にソファが置いてある。部屋の奥には高級そうな机と椅子があり、机の上には書類が束になって置いてあった。
「そこのソファに座ってくれ」
俺はウォルフさんに促され、ソファに座った。ウォルフさんも反対側のソファに座った。
「取りあえず何があったか聞かせてくれないか?俺は何も見ていないんだ」
「分かりました」
依頼報告にかかる時間が長いことで怒られたということ、そのわびに金をよこせと脅されたこと、断ったため殴られかけたこと、それを防ぐために俺が逆に殴り飛ばしたこと。これらを俺はしっかりウォルフさんに説明した。
「なるほどな…これは百パーセントあいつらが悪いな。初めての依頼報告は慣れてないから他の人よりも時間がかかることくらいあいつらも経験してるはずなのにな…一応あいつらの言い分も聞くが、目撃者も多いし聞いても意味はなさそうだがな…」
と、ため息をついた。
(慣れていないことも理由だと思うけど、どちらかと言えば討伐証明部位が多すぎたことが原因だと思うんだけどなあ…)
ウォルフさんの言葉にそんなことを思っていると、
「これで聞かないといけないことは終わりだ。あと、これは個人的な質問なんだが確かユートは魔法を主に使うって言ってたけどその割には、やけにいい動きしてたよな?」
と、核心をつく質問を投げかけてきた。
「は、はい……」
ウォルフさんは俺が火属性と光属性の魔法が使えるということしか知らない。その為、風属性の魔法である〈風強化〉が使えるということがばれたら三属性使えることが分かってしまう。これは秘密にしておこうと思っていたことなので言うことが出来ない。
(どうしよう…〈身体強化〉が使えるとか言った方がいいのかな?)
そんなことを思っているとウォルフさんがさらなる追い打ちをかけてきた。
「そう言えばあの時風属性の魔法の〈風強化〉を使ってたよな?で、確かお前は試験の時に火属性と光属性の魔法を使っていた。これはいったい?」
ああ…言い訳が出来なくなった。別に死んでも教えないということではないのだが、やっぱ一度隠しておこうと思ったことはずっと隠しておきたいと思ってしまう性格なのだ。ただ、ウォルフさんなら教えても誰にも言うことはない…と思う。
「まあ、俺は三属性使うことが出来るんですよ。まあ、誰にも教えないでくださいね。お願いしますよ」
と、俺は懇願した。
「なるほど…分かった。誰にも教えないと誓おう。それにしても三属性使えるなんて…お前の将来が楽しみだな。それに…まだ何か隠しているみたいだしな」
完全に図星だったので俺はめっちゃ動揺してしまった。
「いえ、そんなことはないですよ」
と否定した。すると、
「ああ、やはり隠しているな。これに関しては俺の持つスキルの一つ、〈真偽〉のおかげだな。嘘をついているかどうかしか分からない地味なものだが冒険者を引退して冒険者ギルドの職員になってからはかなり重宝しているんだ。今も『何か隠しているか?』の問いに『そんなことはない』とお前が答えたことで確信に至ったんだ。」
完全に自爆してしまった…それにしてもそんなスキルもあるのか…聞いた感じ結構便利そうだ。
「ただ、その様子を見ると教えたくはないのだろう?まあ、無理に聞くことはないから安心してくれ。と言ってもさっき無理やり聞いてしまった感があるから説得力がないかもな…」
ウォルフさんはそう言うと少し俯いた。
「そう思っていませんから安心してください」
俺はとっさにウォルフさんを擁護した。
「ああ、ありがとう。これで話は終わりだ。さて、受付の方に戻るとするか」
俺はその言葉にうなずくとウォルフさんとともに受付の方に戻った。
受付の所には三メートルだけ飛ばされた男二人が担架で外に運ばれている所だった。意識は戻ってるようだが、めっちゃうなっていた。
壁にたたきつけられた男の方はその場で応急処置を受けているようだ。ただ、意識は戻っていない。
「あの~あいつら大丈夫ですかね?」
「ああ、大丈夫だ。仮にもこいつらはBランク冒険者だ。あの様子ならもう大丈夫だろう。まあ、そこで転がっているやつは一生残る傷を負っていると思うけどな」
「そ、そうですか…」
我ながらとんでもないことしたな……まあ、あいつらに同情するつもりはさらさらないけどな。
「あと、お前にはあいつらから慰謝料をもらえると思うぞ」
「そうなんですか。どのくらいもらえますか?」
「そうだな~一人七万セルで計二十一万セルと言ったところだな。そこから街の衛兵から事後処理料を取られるから実際にお前がもらえるのは十八万セルと言ったところだな。多分明日にはもらえると思うぞ」
「俺一切怪我してないんですけど…むしろ向こうが重症なんですけど…」
「多分お前が怪我してあいつらが無傷とかだったら二百万セルになると思うぞ」
(まじかよ…凄え…)
だったらわざとくらうとかもありだったか?俺は〈回復〉が使えるから怪我しても問題なさそうだし…
俺がいいことを考えていると、
「ぐふっ…クソガキが…俺をこんな目に合わせやがって…後で殺してやる…せいぜいいつ殺されるか分からないという恐怖に怯えて過ごすんだな……」
一番強く殴られたやつが意識を取り戻した。あの怪我でもう意識を取り戻すなんてすごいタフだな…
ただ、今の言葉。特にクソガキの所にはイラっと来たのでなんか言い返してやろうと思ったら、横からとんでもない殺気を感じて萎縮した。
「おいお前…反省の色も見せずにユートを脅すとは…しかも俺の前で…いい度胸してんなあ!次来たらどうなるかじっくり考えるといい」
ウォルフさんが男に怒鳴りつけた。見てるこっちも怖い。そんな怒号をまともにくらった男はと言うと、
「は…はいぃ……」
あれだけ威勢があったくせに急にちっちゃくなって怯え、がたがたと震えだした。
「こいつは元気だから牢屋に放り込んどけ」
すると近くに控えていた重装備の人たちが男を雑に運んで行った。
「あ。あの人達は?」
「あいつらが衛兵だ。主に街の治安を守るためにいる」
(なるほど…前の世界でいうところの警察みたいなものか…)
この世界の方がトラブルも多そうだし大変そうだ。
「おっと、ずいぶんと長く引き留めてしまったな。もう夜だし今日は色々あっただろ?ゆっくり休めよ」
「分かりました」
俺はウォルフさんにお礼を言うと冒険者ギルドを後にした。
そのまま宿に向かおうと思ったが、
「あ、魔石売るの忘れてた」
色々あって忘れてたが何とか思い出し、横にある素材解体所の中に入った。
「そこのソファに座ってくれ」
俺はウォルフさんに促され、ソファに座った。ウォルフさんも反対側のソファに座った。
「取りあえず何があったか聞かせてくれないか?俺は何も見ていないんだ」
「分かりました」
依頼報告にかかる時間が長いことで怒られたということ、そのわびに金をよこせと脅されたこと、断ったため殴られかけたこと、それを防ぐために俺が逆に殴り飛ばしたこと。これらを俺はしっかりウォルフさんに説明した。
「なるほどな…これは百パーセントあいつらが悪いな。初めての依頼報告は慣れてないから他の人よりも時間がかかることくらいあいつらも経験してるはずなのにな…一応あいつらの言い分も聞くが、目撃者も多いし聞いても意味はなさそうだがな…」
と、ため息をついた。
(慣れていないことも理由だと思うけど、どちらかと言えば討伐証明部位が多すぎたことが原因だと思うんだけどなあ…)
ウォルフさんの言葉にそんなことを思っていると、
「これで聞かないといけないことは終わりだ。あと、これは個人的な質問なんだが確かユートは魔法を主に使うって言ってたけどその割には、やけにいい動きしてたよな?」
と、核心をつく質問を投げかけてきた。
「は、はい……」
ウォルフさんは俺が火属性と光属性の魔法が使えるということしか知らない。その為、風属性の魔法である〈風強化〉が使えるということがばれたら三属性使えることが分かってしまう。これは秘密にしておこうと思っていたことなので言うことが出来ない。
(どうしよう…〈身体強化〉が使えるとか言った方がいいのかな?)
そんなことを思っているとウォルフさんがさらなる追い打ちをかけてきた。
「そう言えばあの時風属性の魔法の〈風強化〉を使ってたよな?で、確かお前は試験の時に火属性と光属性の魔法を使っていた。これはいったい?」
ああ…言い訳が出来なくなった。別に死んでも教えないということではないのだが、やっぱ一度隠しておこうと思ったことはずっと隠しておきたいと思ってしまう性格なのだ。ただ、ウォルフさんなら教えても誰にも言うことはない…と思う。
「まあ、俺は三属性使うことが出来るんですよ。まあ、誰にも教えないでくださいね。お願いしますよ」
と、俺は懇願した。
「なるほど…分かった。誰にも教えないと誓おう。それにしても三属性使えるなんて…お前の将来が楽しみだな。それに…まだ何か隠しているみたいだしな」
完全に図星だったので俺はめっちゃ動揺してしまった。
「いえ、そんなことはないですよ」
と否定した。すると、
「ああ、やはり隠しているな。これに関しては俺の持つスキルの一つ、〈真偽〉のおかげだな。嘘をついているかどうかしか分からない地味なものだが冒険者を引退して冒険者ギルドの職員になってからはかなり重宝しているんだ。今も『何か隠しているか?』の問いに『そんなことはない』とお前が答えたことで確信に至ったんだ。」
完全に自爆してしまった…それにしてもそんなスキルもあるのか…聞いた感じ結構便利そうだ。
「ただ、その様子を見ると教えたくはないのだろう?まあ、無理に聞くことはないから安心してくれ。と言ってもさっき無理やり聞いてしまった感があるから説得力がないかもな…」
ウォルフさんはそう言うと少し俯いた。
「そう思っていませんから安心してください」
俺はとっさにウォルフさんを擁護した。
「ああ、ありがとう。これで話は終わりだ。さて、受付の方に戻るとするか」
俺はその言葉にうなずくとウォルフさんとともに受付の方に戻った。
受付の所には三メートルだけ飛ばされた男二人が担架で外に運ばれている所だった。意識は戻ってるようだが、めっちゃうなっていた。
壁にたたきつけられた男の方はその場で応急処置を受けているようだ。ただ、意識は戻っていない。
「あの~あいつら大丈夫ですかね?」
「ああ、大丈夫だ。仮にもこいつらはBランク冒険者だ。あの様子ならもう大丈夫だろう。まあ、そこで転がっているやつは一生残る傷を負っていると思うけどな」
「そ、そうですか…」
我ながらとんでもないことしたな……まあ、あいつらに同情するつもりはさらさらないけどな。
「あと、お前にはあいつらから慰謝料をもらえると思うぞ」
「そうなんですか。どのくらいもらえますか?」
「そうだな~一人七万セルで計二十一万セルと言ったところだな。そこから街の衛兵から事後処理料を取られるから実際にお前がもらえるのは十八万セルと言ったところだな。多分明日にはもらえると思うぞ」
「俺一切怪我してないんですけど…むしろ向こうが重症なんですけど…」
「多分お前が怪我してあいつらが無傷とかだったら二百万セルになると思うぞ」
(まじかよ…凄え…)
だったらわざとくらうとかもありだったか?俺は〈回復〉が使えるから怪我しても問題なさそうだし…
俺がいいことを考えていると、
「ぐふっ…クソガキが…俺をこんな目に合わせやがって…後で殺してやる…せいぜいいつ殺されるか分からないという恐怖に怯えて過ごすんだな……」
一番強く殴られたやつが意識を取り戻した。あの怪我でもう意識を取り戻すなんてすごいタフだな…
ただ、今の言葉。特にクソガキの所にはイラっと来たのでなんか言い返してやろうと思ったら、横からとんでもない殺気を感じて萎縮した。
「おいお前…反省の色も見せずにユートを脅すとは…しかも俺の前で…いい度胸してんなあ!次来たらどうなるかじっくり考えるといい」
ウォルフさんが男に怒鳴りつけた。見てるこっちも怖い。そんな怒号をまともにくらった男はと言うと、
「は…はいぃ……」
あれだけ威勢があったくせに急にちっちゃくなって怯え、がたがたと震えだした。
「こいつは元気だから牢屋に放り込んどけ」
すると近くに控えていた重装備の人たちが男を雑に運んで行った。
「あ。あの人達は?」
「あいつらが衛兵だ。主に街の治安を守るためにいる」
(なるほど…前の世界でいうところの警察みたいなものか…)
この世界の方がトラブルも多そうだし大変そうだ。
「おっと、ずいぶんと長く引き留めてしまったな。もう夜だし今日は色々あっただろ?ゆっくり休めよ」
「分かりました」
俺はウォルフさんにお礼を言うと冒険者ギルドを後にした。
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