ハズレスキル《創造》と《操作》を持つ俺はくそみたいな理由で殺されかけたので復讐します〜元家族と金髪三人衆よ!フルボッコにしてやる!~

ゆーき@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
21 / 61
第一章 街の闇

第十二話 お前らに勝ち目はないぞ

しおりを挟む
「お前らに勝ち目はないぞ。〈操作〉剣雨!」

 俺がそう言った時、三人は「何を言ってるんだ?」とでも言いたそうな顔をした。だが、その次の瞬間、上から大量の短剣が雨のように降り注ぎ、三人を襲った。

「な!? がはっ」

「が、ぐはっ」

「ぐわっ……」

 三人は全身に刺し傷を負い、戦うどころか、体を動かすことさえ出来なくなっていた。

「ふぅ……あらかじめ準備しておいて正解だったな。流石に準備していなかったらヤバかった……」

 俺は地面に倒れたこいつらを見下ろしながら、そう呟いた。

 ではここで種明かしタイムといこう。
 実は、俺は路地裏に入った瞬間に、身に着けてある〈創造〉で作った剣と鎧、そして、新たに作った鉄を素材にして、大量の短剣を作っていたのだ。
 その後、〈操作〉で短剣を十メートルほどの高さにまで上げると、建物の陰で隠しながら、ここまで持ってきたというわけだ。
 そして、こいつらが近づいてきたタイミングで、〈操作〉を使って勢いよく下に落としたというわけだ。

 結構簡単に言ったが、実際の所、これはかなり難しい技だ。
 普通、〈操作〉で同時に動かせるのは三つまでだ。それを、その十倍ほどにまで増やすというのは相当な鍛錬たんれんが必要だった。俺は、毎日家の庭や学園の中庭で特訓をして、何とか習得したのだが、それでも五年はかかった。折角の青春時代を自己を高める為だけに使ったことに、後悔したこともあったが、今は最良の選択だったと思っている。

「さて、ノアの方はどうなったかな?」

 俺はノアが向かった方向に視線を移した。
 すると、二人の女の足を持って、引きずってくるノアの姿があった。

「カイン。こっちも終わったよ。一応生け捕りにしたけど必要なかった?」

 ノアは死にかけている三人を見下ろしながら、そう言った。

「いや、ありがとう。こいつらならアジトの場所を知ってそうだしな」

 俺はノアの頭を優しく撫でながらそう言った。そして、ノアは撫でられると、目を細めて微笑ほほえんだ。

「よし、それじゃ、お前ら。アジトの場所はどこだ? 正直に言えば命だけは助けてやる。だが、言わなかったり、嘘を言ったりすれば、死よりも恐ろしいことが待ってると思え」

 俺はさやから剣を引き抜くと、女二人の目の前に突きつけた。

「くっ……なめるなよ。私がお前に屈するわけがない!」

「ええ……お前に情報は渡さないわ!」

 二人はそう叫ぶと、奥歯を鳴らした。すると、二人は突然地面に倒れ、死んだ。
 よく見ると、口から血が流れている。

「か、カイン! こいつらは何をしたの!?」

 この二人が自殺をしたことに、ノアは戸惑っていた。

「情報を渡さない為の自殺だ。狂信者な奴ほど追い詰められたら何の躊躇ためらいもなく自殺をする」

 ノアはそれを聞いて、「信じられない……」と、口元に手を当てながら呟いた。

「そうだな。だが、そうする人間も一定数いるということは覚えておいた方がいい」

 俺はそう言うと、さっき短剣の雨を降らして攻撃した男たちの方を見た。すると、こいつらも案の定、毒を飲んで自殺をしていた。

「くそっ やっぱりか」

 俺は悪態をつきながら小石を蹴った。

「まあ、こうなったら仕方ない。だが、二度も失敗したことで、やつらも動揺して、次の行動は大胆なものになると見た」

 こういう裏組織は計画が失敗しても諦めようとしない。損切と言う選択肢から目をそらす。だから、それを利用すれば、俺たちが影の支配者シャドールーラーを追い詰めることが出来るかもしれない。

「では、装備を整えたらアジトを探し出して潰すか」

「うん。やつらは私を怒らせた。だから私も潰す」

 俺たちは頷きあうと、地面に倒れている五人のふところを漁ってから、路地裏の外に出た。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ガスラー視点

「嘘だろ……何であいつらが負けるんだ!」

 俺は五影臣全員が死んだという報告を受けて、激しく動揺した。あいつらはスキルの関係上、俺より弱いが、スキルなしの戦いなら俺と互角か、それ以上の実力を持つ。

「くっそ……だがガゼルが死ぬ前に情報を伝えてくれたからな」

 ガゼルは”刻印”を刻んだ人と、半径一キロメートル以内にいれば、脳内で会話することが出来る〈念話〉のスキルを持っている。
 これのお陰で奴の戦い方を把握することが出来た。だが、奴の戦い方には疑問点が一つある。

「短剣を頭上から雨のように落として攻撃してきたとか言ってたけど、それって一体何のスキルを使ったんだ?」

 落ちて来る短剣が数本なら、〈操作〉や〈空間操作〉で説明が付く。だが、あいつは数十本も落として攻撃してきたらしい。俺とて、そんな出鱈目でたらめなスキルは聞いたことがない。

「う~ん……他に仲間がいたのか?」

 俺は他に仲間が数人いて、そいつらが上から短剣を落として攻撃したのではないかと思った。だが、あいつらへの信頼が、その考えを否定する。

「いや、あいつらが……特にあいつが協力者の気配を察知できないわけがない」

 五影臣の一人、ドリーは〈気配察知〉のスキルを持っている。このスキルは周囲にいる生き物の気配を察知するスキルだ。
 俺は、このスキルをもってしても一切察知できないスキルも聞いたことがない。例え〈気配隠蔽〉のスキルを持っていたとしても、ある程度は察知出来るのだが……

「くっそ、あの野郎……この俺をここまで悩ませやがって……必ずおれはこの手で殺してやる……おい! 全員集めろ! 全戦力をもってして、あのなめたガキを潰すぞ!」

 俺は怒りのままに、そう宣言した。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい

兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...