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プロローグ
第六話 絶対絶命
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(……動けないな……)
俺は今、岩陰に隠れている。何故隠れているのかというと、ここから二十メートルほど離れた場所にブラックベアという体長五メートルほどの金色の瞳を持つ黒い熊が三体もいるからだ。
幸いなことにまだ見つかっていない為、さっきのブラックウルフのように鉄粒子を口に入れて倒したいところなのだが、それは出来ない。何故なら、ここまで上がってくる過程で〈創造〉で壁を砂にして穴を開けたり、〈操作〉で飛んだりしていたせいでそれを実行出来るだけの魔力が残っていないからだ。
(頼む……早くここから去ってくれ……)
ブラックベアは危険度Sランクの魔物だ。
その為、今の俺が戦ったらもって十秒といったところだ。
俺は早く去ってくれることを手を合わせて、祈った。
(早く去れ……て、何でこっちに来るんだよ!)
ブラックベア三体はゆっくりとこっちに近づいてくる。まだ気づかれてはいないようだが、このままでは見つかってしまう可能性が非常に高い。
(くっどうすれば……あ、いいこと思いついた!)
いい考えが思いついた俺は、早速それを実践するために〈創造〉で三センチメートルほどの薬石をいう石を作ると、粉末状にした。
薬石というのは火山でよく取れる石で、粉末状にして料理にかけることでスパイシーな味にすることが出来る。そして、これは目に入るとものすごく痛いのだ。
俺はそれを利用して、ブラックベアの内の一体の目に入れ、暴れさせる。そして、他二体が苦しんでいるブラックベアを気にかけている隙にここから逃げるというわけだ。
(さあ、頼む……)
俺は粉末状にした薬石を〈操作〉でブラックベアの目に移動させた。
ブラックベアに見つからないように緑光石は破壊してあるので、明かりとして頼りになるのはブラックベアの金色に光る瞳だけだ。
(くっ……入るか……)
予想以上に入れるのが難しくて苦戦したが、何とか一体に入れることが出来た。すると……
「グガアアア!!」
ブラックベアは暴れ出した。計画通りだ。
ただ、一つ計画通りに行かなかったことがある。それは暴れ出したブラックベアが俺の方に向かってくるのだ。
更に運の悪いことに、いきなり暴走した仲間を心配している二体のブラックベアもその後に続いてこっちに走ってくる。
「まじかよ。ふざけるな!」
俺は岩陰から飛び出すと、悪態をつきながら猛スピードで逃げ出した。
「頼む……追いかけてくるなよ……」
そう祈りながら後ろを振り返ると、ブラックベアは俺の後ろをついてきていた。だが、この感じからして三体とも俺を視認しているというわけではなさそうだ。
「だったら飛ぶか!」
俺は残りの魔力を全てで〈操作〉を使い、上に飛んだ。
その直後、ブラックベア三体は俺の真下を通過した。
「……セーフ」
俺は安心して「ふぅー」と息を吐いた。
その直後、俺は魔力切れを起こして地面に落下した。
この時、俺は〈創造〉で作った鉄の鎧を着ている。
その為、地面に落ちた瞬間に「ガシャン」と、大きな音が洞窟内に鳴り響いた。
「グル?」
その音に二頭のブラックべアが反応し、足を止めるとぐるりと振り向いた。
金色に光る瞳が俺の姿を映し出す。
後ろで暴れまわっているブラックベアを気にも留めなくなったブラックベア二体に内心「ひどい奴らだなあ」と思いつつも、俺はこの状況をどうやって切り抜けようか考えていた。
「くっ……魔力がない状態で戦うのは流石にキツすぎる」
しかも、剣もちょっと前に移動の邪魔になるという理由で消してしまったせいで戦うとしたら素手になってしまう。
「壁を上って逃げるか?」
壁は垂直で足をかけられる場所はほとんどないが、それが一番生き残る可能性が高いだろう。
「極限状態の人間をなめるなよ……」
俺は覚悟を決めると、横にある壁を登り始めた。だが、足場になる場所がほとんどないせいで、二メートルほど登ったところで足を踏み外して落ちてしまった。
その様子を見ていたブラックベアがゆっくりと近づいてくる。
そして、残り一メートルのところで止まった。
「くっ……俺はまだ死ねない」
俺は誰に何と言われようと、あいつらに復讐すると決めたんだ。少なくともそれを成し遂げるまでは死ねない。
「来るなよ……」
俺は少しでも生き延びる為にゆっくりと後ずさりした。
そう。まだ可能性はある。このまま膠着状態が続いて俺の魔力が回復するかもしれない。
もしかしたら興味を失って去ってくれるかもしれない。
俺はそう願った。
だが、現実は残酷だった。
「グルァ!」
ブラックベアは威嚇をすると、俺めがけて突進してきた。
「がはっ」
俺はその衝撃で後ろに飛ばされ、壁に叩きつけられた。
鎧のおかげで大した怪我はしなかったが、その鎧も今の攻撃で完全に破壊されてしまった。
「グルル……」
二体のブラックベアは俺にゆっくりと近づいてきた。
「お、終わり、なのか……」
俺は悲壮感のある表情を浮かべると、ブラックベアの瞳を見つめた。
そして、俺に右手を振り下ろした。俺は、一粒の涙を流した後に目を閉じた。
――だが、いつまで経っても攻撃は来なかった。
恐る恐る目を開けると、そこにはあと少しの所で怯えたように震えたブラックベアがいた。そして、その直後に一目散に逃げだした。
「た、助かったのか……ん?」
近くで地響きがする。そして、それはだんだん大きくなっいく。
「な、何だ!?」
すると、奥から何かが近づいてきて、俺の前で止まった。
真っ暗なせいで、見えるのは深紅の瞳だけだ。
俺はその正体を知る為に恐る恐る〈創造〉で緑光石を作った。
俺は今、岩陰に隠れている。何故隠れているのかというと、ここから二十メートルほど離れた場所にブラックベアという体長五メートルほどの金色の瞳を持つ黒い熊が三体もいるからだ。
幸いなことにまだ見つかっていない為、さっきのブラックウルフのように鉄粒子を口に入れて倒したいところなのだが、それは出来ない。何故なら、ここまで上がってくる過程で〈創造〉で壁を砂にして穴を開けたり、〈操作〉で飛んだりしていたせいでそれを実行出来るだけの魔力が残っていないからだ。
(頼む……早くここから去ってくれ……)
ブラックベアは危険度Sランクの魔物だ。
その為、今の俺が戦ったらもって十秒といったところだ。
俺は早く去ってくれることを手を合わせて、祈った。
(早く去れ……て、何でこっちに来るんだよ!)
ブラックベア三体はゆっくりとこっちに近づいてくる。まだ気づかれてはいないようだが、このままでは見つかってしまう可能性が非常に高い。
(くっどうすれば……あ、いいこと思いついた!)
いい考えが思いついた俺は、早速それを実践するために〈創造〉で三センチメートルほどの薬石をいう石を作ると、粉末状にした。
薬石というのは火山でよく取れる石で、粉末状にして料理にかけることでスパイシーな味にすることが出来る。そして、これは目に入るとものすごく痛いのだ。
俺はそれを利用して、ブラックベアの内の一体の目に入れ、暴れさせる。そして、他二体が苦しんでいるブラックベアを気にかけている隙にここから逃げるというわけだ。
(さあ、頼む……)
俺は粉末状にした薬石を〈操作〉でブラックベアの目に移動させた。
ブラックベアに見つからないように緑光石は破壊してあるので、明かりとして頼りになるのはブラックベアの金色に光る瞳だけだ。
(くっ……入るか……)
予想以上に入れるのが難しくて苦戦したが、何とか一体に入れることが出来た。すると……
「グガアアア!!」
ブラックベアは暴れ出した。計画通りだ。
ただ、一つ計画通りに行かなかったことがある。それは暴れ出したブラックベアが俺の方に向かってくるのだ。
更に運の悪いことに、いきなり暴走した仲間を心配している二体のブラックベアもその後に続いてこっちに走ってくる。
「まじかよ。ふざけるな!」
俺は岩陰から飛び出すと、悪態をつきながら猛スピードで逃げ出した。
「頼む……追いかけてくるなよ……」
そう祈りながら後ろを振り返ると、ブラックベアは俺の後ろをついてきていた。だが、この感じからして三体とも俺を視認しているというわけではなさそうだ。
「だったら飛ぶか!」
俺は残りの魔力を全てで〈操作〉を使い、上に飛んだ。
その直後、ブラックベア三体は俺の真下を通過した。
「……セーフ」
俺は安心して「ふぅー」と息を吐いた。
その直後、俺は魔力切れを起こして地面に落下した。
この時、俺は〈創造〉で作った鉄の鎧を着ている。
その為、地面に落ちた瞬間に「ガシャン」と、大きな音が洞窟内に鳴り響いた。
「グル?」
その音に二頭のブラックべアが反応し、足を止めるとぐるりと振り向いた。
金色に光る瞳が俺の姿を映し出す。
後ろで暴れまわっているブラックベアを気にも留めなくなったブラックベア二体に内心「ひどい奴らだなあ」と思いつつも、俺はこの状況をどうやって切り抜けようか考えていた。
「くっ……魔力がない状態で戦うのは流石にキツすぎる」
しかも、剣もちょっと前に移動の邪魔になるという理由で消してしまったせいで戦うとしたら素手になってしまう。
「壁を上って逃げるか?」
壁は垂直で足をかけられる場所はほとんどないが、それが一番生き残る可能性が高いだろう。
「極限状態の人間をなめるなよ……」
俺は覚悟を決めると、横にある壁を登り始めた。だが、足場になる場所がほとんどないせいで、二メートルほど登ったところで足を踏み外して落ちてしまった。
その様子を見ていたブラックベアがゆっくりと近づいてくる。
そして、残り一メートルのところで止まった。
「くっ……俺はまだ死ねない」
俺は誰に何と言われようと、あいつらに復讐すると決めたんだ。少なくともそれを成し遂げるまでは死ねない。
「来るなよ……」
俺は少しでも生き延びる為にゆっくりと後ずさりした。
そう。まだ可能性はある。このまま膠着状態が続いて俺の魔力が回復するかもしれない。
もしかしたら興味を失って去ってくれるかもしれない。
俺はそう願った。
だが、現実は残酷だった。
「グルァ!」
ブラックベアは威嚇をすると、俺めがけて突進してきた。
「がはっ」
俺はその衝撃で後ろに飛ばされ、壁に叩きつけられた。
鎧のおかげで大した怪我はしなかったが、その鎧も今の攻撃で完全に破壊されてしまった。
「グルル……」
二体のブラックベアは俺にゆっくりと近づいてきた。
「お、終わり、なのか……」
俺は悲壮感のある表情を浮かべると、ブラックベアの瞳を見つめた。
そして、俺に右手を振り下ろした。俺は、一粒の涙を流した後に目を閉じた。
――だが、いつまで経っても攻撃は来なかった。
恐る恐る目を開けると、そこにはあと少しの所で怯えたように震えたブラックベアがいた。そして、その直後に一目散に逃げだした。
「た、助かったのか……ん?」
近くで地響きがする。そして、それはだんだん大きくなっいく。
「な、何だ!?」
すると、奥から何かが近づいてきて、俺の前で止まった。
真っ暗なせいで、見えるのは深紅の瞳だけだ。
俺はその正体を知る為に恐る恐る〈創造〉で緑光石を作った。
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この作品も見ていただければ幸いです。作業厨から始まる異世界転生~レベル上げ?それなら三百年程やりました~
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