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第一章
第三十話 予兆
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暫く雑談をした後、俺は彼らと別れ、部屋に戻った。そして、鍵をかける。
「は~……眠み~」
そう言って、俺はバタリとベッドにダイブする。
昼間に散々昼寝をしたはずなんだけどなぁ……
「はぁ……寝ようぜ」
そう言って、俺はネムを抱き寄せる。
そして、ぼんやりと様々なことを思いだす。
「……色々あったが、これで俺は自由な平民となった。これからいろんなことしようぜ。ネム……皆……」
「きゅきゅ!」
『『『きゅきゅきゅ!』』』
ネム以外の、他のスライムからの声も、”繋がり”を通して聞こえて来た。
うん。頑張ろう。
スライムたちの力を総動員すれば、困難が待ち受けてようが、意外と何とかなりそうだ。
◇ ◇ ◇
あくる日の夜。
シュレインの森、その最深部にて。
「ふぅ。いやー大変大変」
そこで、1人の若い女性がおちゃらけたような口調でそう言った。
そんな彼女の目の前に広がるのは畑。何を栽培しているのかは、勿論知っている。
これは――キルの葉だ。
ここ一面に広がっている背の低い植物。その全てが、悪名高いキルの葉なのだ。
しかも、ここで栽培されているのはただのキルの葉ではない。
品種改良が施され、より凶悪なものへと変わっている。
「うん。みーんな、しっかり育っているみたいだね。でも、侯爵君にそろそろこの効果が出てきちゃう頃なんだよな~」
彼女はそう言って、頭を掻く。
(うーん。これで資金はだいぶ回収できたし、キルの葉そのものも回収できた。なら、ここはもう用済みかな?)
彼女はそう、思案する。
仲間への相談――は、必要ない。いずれここを壊すことは、既に会議で決めていたからだ。
そして、その判断は彼女に委ねられている。
「ふむ……うん。これ、壊しちゃおっと」
ニヤリ、とどこか無邪気に、されどあくどい。そんな笑みを浮かべた彼女はパチンと指を鳴らす。
直後、周囲一帯を覆っていた認識阻害の結界が――消滅した。
「よし。次は……ほれっ!……と」
彼女は懐から何かが入った包み紙を取り出すと、それに火をつけ、煙を出す。
その後、それを金属製の入れ物に入れ、適当な場所に放り投げる。
これは魔物寄せの香だ。これを焚けば、体内に魔石を宿す者――すなわち魔物が寄ってくる。
「これでよしっと。あのクソ侯爵君もろとも、シュレインは壊れてもらうよ。あーでもあそこって強い冒険者がそこそこいるから無理かな~。ま、でもいい実験になるっしょ」
彼女はそう言って、無邪気に笑みを浮かべると、くるりと背を向けた。
そして、ふあぁと欠伸をする。
「かーえろっと。最近寝不足だし~。……かの空間へ送れ」
直後、彼女の体はその場から忽然と姿を消した。
そして――
「……グルルルゥ?」
魔物がガサガサと草木を掻き分け、麻薬畑に侵入し始めた。
「は~……眠み~」
そう言って、俺はバタリとベッドにダイブする。
昼間に散々昼寝をしたはずなんだけどなぁ……
「はぁ……寝ようぜ」
そう言って、俺はネムを抱き寄せる。
そして、ぼんやりと様々なことを思いだす。
「……色々あったが、これで俺は自由な平民となった。これからいろんなことしようぜ。ネム……皆……」
「きゅきゅ!」
『『『きゅきゅきゅ!』』』
ネム以外の、他のスライムからの声も、”繋がり”を通して聞こえて来た。
うん。頑張ろう。
スライムたちの力を総動員すれば、困難が待ち受けてようが、意外と何とかなりそうだ。
◇ ◇ ◇
あくる日の夜。
シュレインの森、その最深部にて。
「ふぅ。いやー大変大変」
そこで、1人の若い女性がおちゃらけたような口調でそう言った。
そんな彼女の目の前に広がるのは畑。何を栽培しているのかは、勿論知っている。
これは――キルの葉だ。
ここ一面に広がっている背の低い植物。その全てが、悪名高いキルの葉なのだ。
しかも、ここで栽培されているのはただのキルの葉ではない。
品種改良が施され、より凶悪なものへと変わっている。
「うん。みーんな、しっかり育っているみたいだね。でも、侯爵君にそろそろこの効果が出てきちゃう頃なんだよな~」
彼女はそう言って、頭を掻く。
(うーん。これで資金はだいぶ回収できたし、キルの葉そのものも回収できた。なら、ここはもう用済みかな?)
彼女はそう、思案する。
仲間への相談――は、必要ない。いずれここを壊すことは、既に会議で決めていたからだ。
そして、その判断は彼女に委ねられている。
「ふむ……うん。これ、壊しちゃおっと」
ニヤリ、とどこか無邪気に、されどあくどい。そんな笑みを浮かべた彼女はパチンと指を鳴らす。
直後、周囲一帯を覆っていた認識阻害の結界が――消滅した。
「よし。次は……ほれっ!……と」
彼女は懐から何かが入った包み紙を取り出すと、それに火をつけ、煙を出す。
その後、それを金属製の入れ物に入れ、適当な場所に放り投げる。
これは魔物寄せの香だ。これを焚けば、体内に魔石を宿す者――すなわち魔物が寄ってくる。
「これでよしっと。あのクソ侯爵君もろとも、シュレインは壊れてもらうよ。あーでもあそこって強い冒険者がそこそこいるから無理かな~。ま、でもいい実験になるっしょ」
彼女はそう言って、無邪気に笑みを浮かべると、くるりと背を向けた。
そして、ふあぁと欠伸をする。
「かーえろっと。最近寝不足だし~。……かの空間へ送れ」
直後、彼女の体はその場から忽然と姿を消した。
そして――
「……グルルルゥ?」
魔物がガサガサと草木を掻き分け、麻薬畑に侵入し始めた。
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