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第二章。
新国ライラ・カラム建国。
しおりを挟む正式に新国ライラ・カラム国の建国記念と戴冠式が行われることになった。
カラムの名前も改まり、カラム・ライラ=カラム・カルナヴァル・サルジオと複雑さを増した。
僕達も立役者として招待をされ、様々な要人が集められた公の場で、僕がサールジオの庇護下にある神子だと伝えられた。
この大陸では権力は絶対であり、それを侵すものは反逆罪に問われるようだ。
それが他大陸であっても侵されれば戦争になるらしい。
だから僕の身辺はとりあえず安全になったのかもしれない。
しかし、気分がイイ!
僕は神子としてこの国を救ったヒーロー扱いだ。
そして何より、この美しさ!!
歓声が…気持ちいい!アイドルにでもなった気分だ。
そして本来ならば偉そうな人が腰をかけるであろう席に、僕達は座らされている。
これからカラムと共に国を治めていく彼等は、僕達と並んでいる。
皆若いのだ。若き王を支える若きブレイン達に武官達。
きっと良い国になるだろうな。
式も佳境を迎えたところで、僕とロイも祝辞を求められた。
聞いていない!孔明の罠か!!
焦る僕を尻目に、ロイは淡々と祝辞を述べた。
なんてデキル男だ…コノヤロウ。
「新国ライラ・カラム、ならび若き王カラム、若きブレイン達にナイト達、全ての国民達に幸があらんことを…」
それっぽい事を並べ、誤魔化したのだ魔法で!!
「ピュアリフィケイション」
それも国全体を包むほどの大魔法だ!
神聖な儀式に神秘的な魔法。
上空からはらはらりと、淡く灯った結晶が舞い落ちる。
まるで砂漠に降る雪のようだ。
我ながらナイスなアイデアで切り抜けられただろう。
カラムは僕の手をとり、どさくさに紛れて手の甲に唇を落とした。
横に立つロイは、見てみぬふりかそっぽを向いている。
「本当にありがとう、感謝する」
カラムはぽつりと、僕等にだけ届く声で呟いた。
仕方ないな…今日だけは不敬を許してやろう。
「いいってことよ」
鳴り止まない歓声の中、僕は国民達に大きく手を振って答えた。
王宮が未建設のために宴はなく、建国記念の祭が盛大に催され、僕等も連日楽しんだ。
相変わらず行き交う人達に拝まれたりもしたけれど、馴染みになったバーレストランにも行けたし、一通り別れの挨拶も済ませた。
明日はいよいよライラ・カラム国を出立する。
旅の準備から補給品などは、全てカラムに用意立てられた。
そして新たな身分証が発行され、シフォーリアのセス公爵に加え、サールジオのカラム国王の後楯が追加された。
と言っても…、次の中継地点を過ぎれば行き着くのは神殿だ。
ただ身分を気にせず過ごせるのは楽だ。
次の国でも寛げるだろう。
何せ…、次の中継地点であるファジュル国、ファジュル国王とは式典でも挨拶を交わした。
王宮への熱烈歓迎を受け世話になることになった。
広いお風呂もあるらしい。
それに、そろそろ魔物の出没する領域へ足を踏み入れる。
そのこともあり、ファジュル王は僕と繋がりを求めているのかもしれない。
早く神殿に行き、アイテムイベントリの開放をしなくては…。
そしてイルネージュを…。
ライラ・カラム国で過ごす最後の夜は、僕等のドームにカラムを招待して、3人で軽く呑んだ。
信じられないことに、この身体は酒も弱い…。
早々に潰れた僕は2人の間で交わされた会話はわからない。
だけど、出会った頃のバチバチ感はなくなっている…んじゃないかなと思う。
翌朝、国中の人達に見送られる中、僕達は出立した。
カラムは少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべて、そんな表情もできたのかと新たな一面を発見した。
「色々あったなぁ…」
「まさか国潰しに加担して、建国まで見守ることになるとはな…、人生何が起こるかわからない」
「そうだよ、何が起こるかなんてわからない」
それが嬉しいことでも、悲しいことでも。
さぁ…最後の拠点、ファジュル国へ。
いざ。
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