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第二章。

砂漠のオアシス、カルナヴァル王国。

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氷塊事件から約1日半で最初の中継地点であるオアシス、カルナヴァル王国へ到着した。
超ラクダとソリは、守衛と世話係のいる巨大な屋根付き厩舎へ預けた。

さて…僕達の旅の設定が決まった。

「アキラはツェペシュ公爵家の遠縁にあたる令嬢だ。見聞を広げるために従者を共に旅をしている、だ」
「れ…、令嬢?」
「あぁ…、女性であれば顔をヴェールで隠し通せる上に、相手がどんな身分であれ見せる必要はない」
「王様にもか?」
「国王でもだ。だから極力、出来る限り…目立たずに淑やかに振舞え」

という、単純に見えて少し面倒臭いことになった。
ボロは出せない…ぐぬぬ。

そう言えば…カルナヴァルという言葉をどこかで聞いたことがあるような…気もしないでもないという考えも、いざカルナヴァルの街並みに足を踏み入れてしまえば…見事にぶっ飛んでしまった。

そこは世界観を裏切ることなく、建築物もまさにイスラーム建築を元にしたアラビアーンな雰囲気だ!
そこかしこで奏でられるアラブ音楽も、マッチングマッチで気分は高揚してしまう!!

行き交う人々は褐色の肌に衣装も装飾もキラビヤカだ!
そしてなにより…女性にいたっては露出も多くて…ペロペロボディーちゃんだらけだ…。
目のやり場に困る…と思いつつも…、次から次へとすれ違う美女達を凝視してしまう。

「…んんん、けしからん!!」
「…何がだ」

そんな僕をロイは訝しげに見ている。

「ロイは褐色美女に興味はないのか?」
「…ない」
「色白のが好みか?僕はペロペロボディーちゃんならどっちでもいいな!」
「お前…やっぱり女が好きか…」
「そりゃ、男だからな。当たり前だろう」

そう、僕は男だ。
でもこの慎まやかなマイサンで、女性が満足してくれるとも思えない。
あぁ、神様…どうぞ僕にでっかいイチモツを授けてください…。

「なぁ…アキラ…」

ロイが何か言いかけたところで、僕の興味はすでに他へ向いていた。
ここは見たことのない様々な物で溢れている。
目移りも激しくなってしまう。

「ロイ!これ!これなんだ!?あれは!?」
「待て…アキラ…、少し落ち着け…」
「あぁ…、凄いな凄いなアラビアン…。堪能できないのが…残念だ…」
「全てが終われば…、どこへでも連れて行ってやる」
「本当か?」
「あぁ、セスがいるからな、資金は潤沢だ」
「ふはっ、悪いヤツだな!」

マーケットを眺めながら歩いていると、音楽が一層派手な音に変わり、人々の行き交う流れも急激に激しくなった。
もう、もみくちゃレベルだ。

「な…なんだ?!」
「おい、離れるなよ」

というロイの声が僕に届かず、派手な曲はあたりを響かせて、人波にのまれてしまった。

「うぉ…、なんだこれ…、祭りか??」

僕は人の波から抜け出すべくロイの手を引いて、少し先に見えた細道に逃げ込んだ。

「はぁはぁ…。どえらい目にあった…、なぁ、ロイ?」

振り返った僕は、とても戸惑った。
相手は小首を傾げている。

「…ん?」
「…え?誰だ?」
「君こそ」

僕が掴んでいたのはロイの腕ではなく、やたら派手な服装に宝飾品を身に着けた、褐色肌を惜しみなくさらけだした美丈夫だった。


ロイは、ロイはどこだ!!!
そして、こいつは誰だ!!!

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