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第一章。
矛盾と悪循環のアホループ。
しおりを挟む「とりあえず僕はカーマイル神殿とやらに行こうと思う」
やっとのことで招待を受けた昼食で、美味しいご飯を貪り終えた僕は、希望を伝えた。
「そこに行かなければ何も始めることができないだろ?」
同席していた魔術師とセスは少しだけ難しい顔をする。
「どうしても入国審査が…国王に知られれば、お前は間違いなく…」
顔も知らない国王にどうこうされる想像は冗談にしろ恐ろしい。
ゾゾゾだ。
「冗談はやめろ……」
難しいままの表情を浮かべている2人を見れば、あながち冗談でもなさそうだ。
怖いから本気でやめてくれ。
「あぁ…わかったぞ。それは地上ルートだろう?空を飛べば問題ないんじゃ?」
2人の顔はやはり浮かない。
「アイテムイベントリがなければ…」
「攻略は無理だね」
この際だから言い切っておいた、魔術師には申し訳ないが僕はとても気が楽になった。
「最悪…僕も国を滅ぼしちゃうぞって言えば良いんじゃ?」
「できれば…避けたい。今回のことで国王が怒り狂い国家予算から神殿を除外すると…、神殿の最高位にあたる神官の説得で一度の猶予は与えられた。次はない」
「それ神殿は被害しか被ってないんじゃ…、と言うか…、国王ってバカなのか…」
イルネージュを放置すれば自国にも多大な危険が及び、神子を召喚すれば自国で娶り、どんな理由にしろ自国を守る神子のいる神殿への国家予算を削ろうとするとは…矛盾と悪循環のループだ。
「自国は神殿の神子がいる以上、ある程度は守られている。しかし根本的な解決にはなにひとつ繋がっていない」
「八方塞がりじゃないか…、他に神殿は?」
「サールジオにあるにはあるが」
「あるのかよ…」
そちらはそちらで何か障害がありそうだ。
「神官がいない。神殿として機能をしていない」
「は?」
「サールジオは砂漠に覆われる大陸で、移動が困難な上に国が少ない。オアシスごとに国を構えているが…、それに…」
「おい魔術師、お前は神殿から派遣されたって言ったよな?なら神殿のマニュアルくらい頭に入ってるだろ?」
「あぁ…」
「アイテムイベントリの開き方もわかるんじゃないのか?」
セスは魔術師をちらりと見てから、頷いた。
「元は、神官希望でした。しかし何分品性が欠けておりましてね」
「………」
「なら、魔術師が神官の役割を担えば良い。それに道中で何が起こっても僕が守るし。MP足りなきゃお前から吸えばいいだろ」
「頼もしくて…卑猥な神子様でいらっしゃる」
「神子よ…お前な…」
とんでもないことを口走った気もするけれど、とにかくアイテムイベントリを開きたい。
課金衣装を着ていたということは、課金アイテムが削除されている可能性は少ないと思う。
「決まりでいいな?ちなみに僕は無一文だ!旅支度と路銀はツェペシュ公爵の償いとやらで誠意を見せてくれ」
「かしこまりました」
そして僕は目の前に置かれたデザートに手を付けた。
「はぁ…おいひ…」
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