コマッタ珈琲店

イカタコ

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歓迎会

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 「おつかれー。お、2人で来たのか」
 今日は店休日。だが、真理愛ちゃんの歓迎会の日である。
 「おつかれ。喜多山さんに"一緒に行こう"って誘われたからね」
 これを"てえてえ"なんて言ったら、俺は逢莉子にキモがられるんだろうなあ...。
 「遥太さんお疲れ様です。今日は歓迎会ありがとうございます」
 「いえいえ! 今日は楽しんでってね」

    ◇    ◇    ◇

 「それじゃあ、真理愛ちゃんが新しいバイトとして加入したことに感謝し、乾杯!」
 「「 かんぱい! 」」
 ピザをデリバリーしてもらい、2人ともお酒を呑むとのことで予め2人の好みを聞いておいて用意した。
 「遥太。喜多山さんに手出したら、アンタのこと思いっきしひっぱたくから」
 「なんだよ急に」
 「アタシたちがお酒呑んで酔ったら、何しでかすか分からないからね」
 「逢莉子が俺んちで呑んだ時、手出したことないだろー」
 逢莉子は大学1年の頃から時々ウチの空き部屋に泊まって学校に通ったりしているが、1度も手を出したことなどない。
 「遥太、ヘタレだもんね。でも、今日こそ何かしでかすかもしれないじゃん」
 「真理愛ちゃんに嫌われたくないから、そんなことしませんよーだ」
 「きっも。あっそ」
 ほんっと、口悪くなったよな逢莉子
 真理愛ちゃんがウチでバイト始めてからの気がする。
 「遥太さんが私にセクハラしてきたら、兄には内緒にしておいてあげますけど親には相談しますね」
 「だからしないってば! 今日は純粋に歓迎会を楽しんでくれよふたりとも!」
 「はいはい、そーですね」
 「そういえば、伏木さんってどうして遥太さんのところでバイトしようと思ったの?」
 「え、アタシ? アタシはただ、ここでバイト募集かけてたから大学近いし時給そこそこだからいいかなってだけ」
 「当時の逢莉子、可愛かったんだよ? 真面目に仕事覚えて、お客さんからの人気もあったんだから」
 「は? なんで過去形なの? 今でも真面目にバイトしてるし、お客さんウケも良いじゃん」
 「まあ、そうなんだけどさ。最近俺への当たりキツいじゃんかよー」
 「それは...遥太が喜多山さんに鼻の下伸ばして不真面目にならないか心配だから、厳しくしてるんでしょうが」
 「伸ばしてねえし! 誤解招くようなこと言うなよー!」
 せっかくバイトとして入ってくれた有望株に対して、イメージダウンになるようなことは避けたいのだが...真理愛は俺のこと悪いようにばかり言うな...。
 「遥太さん、彼女いないんですか?」
 「いないよ。今はお店の経営に集中したいからね」
 「そうですか。伏木さんは、彼氏いないの?」
 「いないけど。どうしたの?」
 「前にも言ったと思うけど、伏木さんって学校の時と雰囲気違うよね。伏木さん、学校で男子と全然話さないのに、遥太さんには積極的だなって」
 「前にも言ったでしょー。遥太はいじり甲斐があるの」
 「そっか。それだけ?」
 「なに? "それだけ?"って」
 「遥太さんとの関係は、それ以上でもそれ以下でもないのかなって」
 なんだかすごい細かく聞いてるな...。
 そんなに俺と逢莉子の関係が気になってるのか?
 「当たり前でしょ。アタシと遥太は、店長とバイトの関係でしかないから」
 「そっか。それならよかった」
 「"それならよかった"って...なにがいいわけ?」
 たしかに。もしかして真理愛ちゃん...。
 「2人が恋愛関係のなか、一緒に働くのは気まずそうだなって思ったから」
 なるほど、そういうことか。
 「心配しなくて大丈夫だよ。遥太は仕事のことばっかりで、恋愛感情ないから」
 「否定できない自分がいるな」
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