ボッチによるクラスの姫討伐作戦

イカタコ

文字の大きさ
4 / 5

リルは拓人と仲良くなりたい。

しおりを挟む
 リルと知り合って以来、彼女は俺に毎日のように絡んでくるようになった。
 それもあってか、五十鈴さんとの時間は徐々に減ってるような気がした。
 五十鈴さんには悪いけど、このまま平凡な学校生活に変わっていけばいいのに...。
 「本田、ちょっときて」
 なんて思っていたところに、五十鈴さんが来てそのまま教室の外へ連れ出された。

 「最近市之宮と仲良いけど、どういうつもりなの?」
 「どういうつもりと言われましても...」
 これは...怒ってるな...。
 リルと仲良くして、五十鈴さんが放っておくわけがないか...俺、考えが甘いな...。
 「アイツはクラス内カーストナンバー2の存在なのよ。豊田に指示されて動いてるに決まってる。だから、アイツの罠に引っかからないようにしなさいよ」
 「リルは自分の意思で行動してるように思えるけどな」
 リルは嘘をつくタイプに見えない。
 というのも、彼女は思ってることをハッキリと口に出してる場面が多いからだ。
 「その"リル"って呼び方やめてほしいのだけど。聞いてて反吐が出る」
 「ひどくない?! 俺は本人から呼び方を指定されたがためにこうしてるだけなのに...」
 「アイツ、なんのつもりで本田に絡んできてるのかしら...。やっぱり、本田を豊田側に引き込むのが狙いなのかしら...」
 「豊田さんと五十鈴さんと交流のある俺に興味を持ったらしいよ」
 「アイツが単独で動くようには思えない。本田はボロを出さないようにしながら、アイツの目的を調べてちょうだい」
 「わかったよ...」
 朝から気が重くなるなあ...。
 リルが良い子であることを祈ろう...。

    ◇    ◇    ◇

 「本田くん、ちょっといいかな?」
 授業前の休憩時間、後ろの女子に声をかけられた。
 「はい、なんでしょう?」
 「今日のお昼、私とリルと3人で食べない? 場所は、3人になれる場所で」
 うおー! まさかこんな日が来るなんて。
 クラス内カースト上位2人の女子と昼メシですか? 俺、すでにクラス内カースト上位になったんじゃないですか?
 「なにか、お話があるとかですか?」
 「お話? フツーに楽しくお話しながらとは思ったけど...。てか、なんで敬語?」
 「ああ、ごめんつい...。ちょっと五十鈴さんに確認してからでもいいかな?」
 「うん、いいよ」
 いま、一瞬冷たい表情したような...。

 「五十鈴さん、ちょっと」
 「なによ。どうせ、豊田たちと昼食べるとかでしょ?」
 「なんでそれを?!」
 「アタシを誰だと思ってるわけ? それくらい予測できるわよ」
 すげえなこの人...いまのこのやりとりだけで強者感出てるぞ...ボッチだけど。
 「今日は豊田さんとリルと食べる感じでいいですか?」
 「楽しんでらっしゃい。にしても、やっぱり"リル"って呼んでるのは気持ち悪い」
 「ひっでえなあ...とりあえず、またね」
 「放課後電話で説教ね」
 マジかよ...なんか俺、五十鈴さんと豊田さんの板挟みに遭ってる気が...。

    ◇    ◇    ◇

 「リルー、よかったね。本田くんと一緒にお昼食べれて」
 昼休みを迎えて、俺たち3人は中庭で昼食を共にすることにした。
 「ヒメには感謝だよー。たーくんとお昼一緒に食べてみたかったし!」
 「俺なんかと昼休み一緒に居たいと思うなんて、変わってるなあって思うけど...」
 しかも、クラス内カースト上位の子なんだからなおさら。豊田さんは、べつに俺と一緒に昼休み過ごしたいとは思ってないだろうけど...。
 「べつにフツーじゃない? たーくんは自分のこと過小評価してるねー。ヒメも言ってたけど、面白いと思うよー?」
 「面白いが褒め言葉なのか、微妙...」
 「褒めてるよ? 面白くない男って、いくらでもいるし」
 あぁ...そう言われると、面白いと思われるのは良いことなのかもしれない...。
 「リルー。そういうこと言うと、本田くんに引かれるよ?」
 豊田さんもハッキリ言うなあ...。
 「え、なんで? リル、たーくんのことは面白いと思ってるよ?」
 「そうなんだけど...ていうか、こないだ一緒にマック行ったなら、本田くんはすでにリルの本性見てそう...」
 「え? たーくん、リルのことどう思ってるの?」
 おいおい...そこで俺の意見求めるか...。
 「べつに、良いんじゃないかな? 本音で話ができる人ってのは少ないし」
 「だよねー! やっぱり、リルとたーくんは相性良いと思う!」
 喜んでくれたようでよかった。まあ、俺としては本当の気持ちではあるからな。
 五十鈴さんはクラスメイトのことを「自分の意見を持ってない」って言ってたけど、リルはそんなことないと思う。
 「本田くんと相性良いみたいだし、今度2人でデートすれば?」
 「ええ?!」
 豊田さん? なにを言ってるのかな?
 嬉しい話だが、急だなあ。
 「たーくんさえよければ、こんど一緒に観たいアニメ映画があるんだよね...」
 リルは恥ずかしそうにしながら、少し小さな声でそう話した。
 「映画いいじゃん! 本田くんもリルもアニメ好きなら、2人とも楽しめるんじゃない?」
 「豊田さん? どうして俺がアニメ好きだと知ってるの?」
 「リルが自慢してきたよ? 本田くんにコスプレ可愛いって言ってもらえたって」
 「リル...よりにもよって、それを豊田さんに自慢したのか...」
 「だって嬉しかったんだもん! ヒメにマウント取れた気分!」
 マウントって...五十鈴さんがクラスのトップと呼ぶ女子にそれを言えるのがすごい気がするが...。
 「本田くんに可愛いって言ってもらえてよかったね」
 なんだろう...豊田さん、目が笑ってない気がする...。
 なんだか不穏な空気が漂い始めたところで、クラス内カースト上位の女子2人との昼休みが終わった。

    ◇    ◇    ◇

 「それは意外すぎるわね。市之宮が豊田に強気な発言をするなんて...。てっきり豊田が市之宮に指示してるのかと思ってたけど、自分の意思で動いてそうね」
 1日が終わり帰宅し、五十鈴さんへ電話で報告タイム。
 五十鈴さんは昼休みの内容を聞いて、だいぶ驚いた様子だった。
 「リルはそういう子だと思うよ。最後の頃なんて豊田さんの目が笑ってなくて怖かったもん」
 「だからクラス内カースト上位に居られるってのはあるのかもしれないわね。市之宮も人気あるでしょうから」
 「五十鈴さんとしては、これからどうするの? なんか作戦あります?」
 「そうね...市之宮が本田に積極的に来るなら、アタシもそろそろ変えていかなきゃダメそうね」
 「と、言いますと...?」
 「まず、これから本田のことは"拓人"と呼ぶわね。そして、アタシのことは"明日香"って呼びなさい」
 「ああ、うん。わかったよ」
 リルへの対抗措置ね。苗字だと、よそよそしいところあるからね。
 「あの2人の前でも、アタシのことは明日香って言いなさい。それで2人の様子を見るようにして」
 「わかったよ。明日香」
 単純なことかもしれないけど、あの2人ならなにかしら反応するだろうな。
 「今まで家族以外に名前で呼ばれたことないし、わざわざ呼ばれると変な気分ね」
 「わざわざ」って...下の名前で呼ぶように言ったのは明日香なのに...。
 「明日香モテそうだけどね」
 「それはどうも。でも、今まで付き合ったことはないわ。恋愛に興味ないし」
 そんな感じはする...。
 そして、リルに同じこと言った時は喜んでたけど、明日香の反応はこれはこれで正直な反応ってかんじだな...。
 「恋愛に興味ないのに俺と下の名前で呼び合うのは、なんだか申し訳ない気がしないでもない」
 「どうして? アタシは、拓人のこと今のところ少なからず良いと思ってるわ。協力してほしいと思えない人を選ぶ気にはならないし」
 「そう言ってもらえると、なんだか嬉しいな」
 わりとマジで嬉しい。明日香はリル同様に正直者な感じがするだけに、本当に俺のことをそう思ってくれてるのだろうと。
 「そういう拓人は、アタシと仲良いと思われるのはどう思うの? アタシから協力してもらっておいてこういうこと言うのはどうかと思うけど、周りからの目は気になるんじゃないかなって...」
 意外な質問だった。
 明日香が俺のこと気にかけてくれるなんて、やっぱりこの人は俺の考えを尊重してくれる人なのかもしれない。
 「明日香のクラスでの立場はいまだに分かってないところがあるけど、俺としてはありがたい話かな。まさか転校してきてこんなことになるとは思わなかったけど、なんだかんだ明日香のおかげで充実した学校生活送れてるし」
 「それならよかった。そう言ってくれるだけで、拓人に協力してもらえてよかったと思えるわね。これから迷惑かけちゃうことがあるかもしれないけど、アタシに協力してくれると助かる」
 明日香のこういう素直なところは、思わず惚れてしまいそうになる。
 リルのあざとい感じとは違うなあ。
 「ああ、こちらこそよろしく」
 なんだか協力とは別でお互いに良い関係を築けそうな、そんな放課後の電話タイムとなったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...