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【肆】
しおりを挟む「姫の結婚相手には、三位中将を、と考えているのだが―――」
改まったように父上から、初めてその話を告げられた時。
時期としたら、ちょうど姉の婚儀が済んだ直後…くらいの頃だったろうか。次に控える私の裳着の儀に向けて、相変わらず麗景殿がバタバタしていた時期のことだ。
そんな中、私に折り入って話があるからと、わざわざ父上が麗景殿までお渡りになられた。
会うなり唐突に、しかも突飛なまでに持ち出されたものだから、一瞬お話の内容を理解できず、驚きに目を二~三回ほどぱちくりっとさせて。
その後、ようやく理解して飲み込んだと同時、即座に自分の表情が嫌そう~に顰められていったのが、我ながら目に見えるようだった。――ああ、ちょうど檜扇を開いていて良かったわ。
「三位中将と云えば、確か右の大臣のご子息でいらっしゃる右近の中将、保晃さま―――」
「そうだよ。右大臣の方から、二の姫宮を息子に是非、と、申し出をいただいたものでね」
とはいえど、返した声の抑揚からしてガラリと一変した私の表情に気付いていないだろう筈はないのに、しゃあしゃあと何事も無いように、父上は続ける。
――確かに……怜悧で策士との噂に名高い右大臣ならば、こういう話を持ち出してくるとしてもおかしくはないかもしれないわ。
いよいよ来ちゃったか、とばかりに事態を飲み込むも。しかし、ささやかな抵抗とばかりにチロリと上目遣いに父上を見つめ、拗ねたように告げてみた。
「ですが、わたくし……まだ裳着も済ませてはおりませんのよ?」
「しかし年齢だけで云うなら、もう姫は充分に大人だろう? 本来なら裳着だって、二年は前に済ませている筈だったのだからね。――そのことは本当に申し訳なく思っているよ。それもこれも全て、私の事情に巻き込んでしまった所為なのだからね。その償いのためにも、どうだろう、この話を受けてくれないだろうか? これは姫にとっても、またとない良縁だと思うのだよ」
「…………」
「もう右大臣とも話は付いていてね。姫の裳着が済み次第、具体的に事を進めようかと考えているところだ」
――結局、そういう話に決まっちゃっているワケですか……。
確かに父上の言うとおり、私にとって…というよりはむしろ父上にとって最高に有意義な『またとない良縁』であることには、違いないだろう。
ならば、そこに私の意志などは関係ない。
おもむろに、はっとひとつ息を吐いてから。「父上がそうお決めになられたのでしたら…」と、諦めたように返事を返した。
「わたくしに否やはございませんわ。どうぞ良きようにお計らいくださりませ」
「姫ならば、そう言ってくれるだろうと思っていたよ」
そしてにっこりと笑む父を見つめ、絶対に確信犯だと、こっそり檜扇の陰で再びタメ息。
――不遇な親王時代を過ごしてきた所為か、父上は妙にしたたかだ。
私が何を考えて手放しに喜びの返事を返せないのか、おそらく全てをお見通しでいらっしゃるくせに……そんなこと全く知りもしないような素振りで、丸ごと笑みに包み隠してしまわれる。
だからこの時も、ますます檜扇に隠れて苦りきった表情を浮かべる私のことなど気付きもしない風で、「本当に、なかなかの良縁だろう?」と、どことなく楽しげにも自慢げにも窺がえる口振りでもって、言葉を続けた。
「右大臣家ともなれば、皇女の降嫁先としても相応しい、立派な名家であることだし」
「左様ですわね。なまじの宮家へ嫁ぐよりは、ずっと有意義かとも存じますわ」
「何より、相手があの中将の君なら、安心して可愛い姫を任せられるというものだしね」
「………はい?」
全くもって信じられないような言葉が聞こえた。――と、咄嗟に頭が真っ白になる。思考停止。
「あの、父上……? いま、何ておっしゃいまして……?」
「おや、もしや姫は、三位中将のことを知らなかったかな?」
「お噂だけなら存じ上げてはおりますけれど……」
「では、聞いているだろう? 彼が、どんなに有能で有望な、素晴らしい若公達であるのか」
「――ええ、それももちろん存じてはおりますが……」
「ならば、何の心配も要らないというものだよ。噂に違わぬ、本当に良く出来た若者だからね。実際、彼ほどよく働いてくれて、なおかつ頼れる人材は、そうそう居ない。間近で相対する帝の私が言うのだから、間違いはないよ」
「…………」
「大丈夫。彼だったら、きっと姫も気に入るはずだから」
そして有無を言わせない満面のニッコリ笑顔。
―――こン…の、タヌキ親父ーーーーっっ!!!!!
…と、面と向かって叫べたら、どんなに気が晴れただろうか。
しかし、まがりなりにも帝であらせられる御方相手に、ましてや女房たちの衆目も多い麗景殿に在っては、到底、そんなことなど出来ようはずもなく。
やや頬は引き攣らせながらではあったが、お愛想に微笑んで「それは楽しみですわ」と返す自分は、裳着など済ませておらずとも間違いなく正真正銘のオトナだと、思わず自画自賛してしまった。
本当に……まごうことなく、父上ほどしたたかな食わせ者も、そうそういらっしゃられないだろう。
あの三位中将が、どんだけ不誠実にも極まりない女遊びで噂になっていようとも、父上は、そのことまでを確実に知っていらっしゃるハズなのに、その上でシカトぶっこくおつもりであらせられるのだ。
…なーにが『安心して可愛い姫を任せられる』よ!
…そんなこと言いながら、その実それって、笑顔で『可愛い姫』当人を虎穴へ放り込むに等しい行為じゃないのよ!
…幾ら右大臣と手を結びたいからって、『可愛い姫』に、その仕打ち!?
…そんな男に任せられたその後の私の身上なんて、この際どうでもいいってワケ!?
――その即座に、私の中にコレッポッチだけ残っていた“乗り気”らしきものが更に地の底にまで急降下して浮上不能となってくれたことは、もはや言うまでも無い。
その時の私は、どうしても父上がこの縁談を進めたいがために、口先だけでそう言っているのだと思っていた。
見ず知らずの人間に嫁さなければならない私を少しでも安心させるために使った方便だろう、と。
しかし、それが父上の真実のお気持ちだと解ったのは……ほんの、つい昨日のことだった。
「姫と三位中将との縁談だが……もしかしたら破談になるかもしれないのだよ―――」
わざわざ再び麗景殿までお渡り下さった父上が、少し困ったような表情でもって、それを告げたのである。
座敷から奈津以外の女房を皆追い出し、厳重に人払いして、そこまで用心深く何を言い出すのだろうかと身構えたらば……まあ確かに、“破談”などという私にとって不名誉ともなりかねない単語を噂好きな女房連中に聞かせるわけにはいかない、という、父上なりの気遣いではあったのだろうが。
当の私からしてみれば、それはまさに手放しで喜びたいタナボタ的特大幸運。
とはいえ……見るからに落胆している風な父上の前で、それをあからさまに表すのも気が引けて、とりあえず檜扇を広げ今にもニヤけそうになる口許を隠しつつ調子を合わせると、「それは、どういうわけですの?」と、おざなりながらも問うてみた。――すると……、
「当の中将の方が、ね……どうもイマイチ乗り気になってくれていないようでね……」
――それ聞いて思わずアタマの血管ブチ切れそうになったアタシを、一体誰が責められるとでもっっ……!!?
私が…仮にも実の娘である私が全く乗り気じゃなくても、破談の“は”の字さえ出してなんてくれなかったクセに……なのに、相手が乗り気じゃなければアッサリ破談!? なんだそれ!?
カチーンときた怒りのあまり、檜扇の裏側に隠れつつ絶句し口許をひくひくさせた私のことなんて、何のその。
相変わらず落胆したような様子で、ぽつぽつと父上が語ったことによれば―――。
そもそも、この縁談をノリノリで進めていたのは、あくまでも父上と右大臣の間だけのこと、だったのだという。
――どうりで……確かに振り返って考えてみれば、お話をいただいてから当の本人が一度として挨拶にさえ来ないというのも奇妙なことだった。当人まで話が伝わっていなかったと考えれば、毎回代筆で送り付けられてくるお文にも納得できる。おおかたのとこ、気を利かせてたつもりらしい右大臣の差し金でしょ。予想に違わず、ね。
そのことまでをもシッカリご承知であった父上としてみたら、やはり当の中将本人とも面と向かってお話を通したかったようなのだが、なかなかその機会にも恵まれなくて。
結局、これまで当人たる中将とは、このことについて言葉の一つさえ交わし合ったことも無かったのだという。
それが先日、ふとした折にその機会を持つことが出来、この件について彼の意向を改めて問うてみたところ……返ってきたのは、『私もかねがね奏上申し上げようと考えておりました』という、思いもよらない返答。
『そのお話をいただけましたのは、身に余るほどこの上もない光栄であると、心得てはおりますが……しかし、二の姫宮さまと歳もかけ離れている私では、お相手として相応しくないかと―――』
「――てことで、それで彼が、『私よりも歳も近く話も合うでしょうから』とか何とか尤もらしい理由まで付けて、弟君である右大臣の末の君を『適役かと存じます』って薦めてくれたのだけれども……」
「別にいーんじゃありませんの、それはそれでっ? どちらにしても右大臣家のご子息でいらっしゃるワケでしょうっ?」
返す私はニベも無い。…つか、やさぐれてるあまり、そんなことどうでもいい。思考することすら放棄。
「そもそも右大臣にしたって、わたくしをご子息に嫁がせることが目的なんでしょうから。それが若君だろうが末の君であろうが、相手が自分の息子であれば文句なんか言いませんでしょっ?」
「まあ…それはそう、なんだけどね……」
しかし父上は、相変わらずの落胆した苦り顔。なんだか知らないが、それを見ているとイラッときてたまらなくなる。
「なら、何をそう渋っていらっしゃいますの? ただわたくしの結婚相手が変わるというだけで、別に右大臣と結べるはずの誼が絶えるワケでもございませんでしょうに?」
「確かに、その通りではあるんだが……」
「それなら、父上がそこまでお悩みになる必要など無いのではなくてっ?」
「――だって、さあ……」
つか、仮にも帝ともあろう人が拗ねた子供みたいに『だって』とか言うなよ! ――と、思わず眩暈を覚えたと同時。
「だって嫌だなー。いくら右大臣の息子っていっても、よく知らないガキんちょに可愛い姫をくれてやるのは」
「―――はいぃ……?」
眩暈ついでに、思わず檜扇まで取り落として身体が傾ぐ。
――なにを世迷言ホザいてんだよ、このバカ親父……?
しかしそのバカ親父は、そんな私の様子など何処吹く風、おもむろに手の笏をコチラに向けてビシッと突きつけてきたかと思えば、「考えてもみてごらんよ?」と、いたって真剣な表情で言葉を続ける。
「いくら姫と歳が近い、って言ったって……確か右大臣の末の君は、ウチの東宮と同い年だったはずだよ? つまり、姫よりも年下で、まだ元服したて一~二年のヒヨッコじゃないか。あの右大臣の息子ならば優秀であることには違いないだろうが、それでも、今はまだ位も低いし、東宮付きの蔵人として良く仕えてはくれているみたいだけど、どれほど官吏として能があるものかもまだ未知数だし……というか見たカンジ、良くも悪くも“良家のお坊ちゃん”さが全面に滲み出てるんだよねーあの子は。お父君が権勢を誇っているうちは順調に出世は出来るだろうけど、それが限界、って気がしないでもないんだよね。東宮の良き友人であってくれることには大歓迎というものだが、姫の背の君とすることを考えたら……とてもじゃないが、まだまだだね。到底、姫を任せるには足りないよ。人間としての器がね」
――お父上さま……それは、世に言う“親バカ”というヤツでしてよ……?
いくら父とはいえ、まがりなりにも今上の帝であらせられる御方相手に、到底そんな暴言など吐けようはずもなく。
呆れ果てたあまりに何の言葉も出てこず、今にも傾ぎ過ぎて畳に衝突してしまいそうになる自分の身体を頑張って上へ上へと保っていることで精一杯。
確かに、言ってること自体は正しい。間違いなく正しい。私も、その蔵人の君を東宮御所にて何度かお見かけしているが、父上同様の印象を持っている。さすが腐っても帝なだけのことはあるわ、ナイス観察眼。――とはいえ……、
――仮にも現人神と目される帝ともあろう御方が、こんなバカ親っぷり全開で、いいのかよ本当に……!
「ち、父上……?」
「だから、その点やはり、私は中将が最適だと思うのだよ」
額に手を当てタメ息まじりに、とりあえず何か言葉をかけようとした私を。
まるでわざと遮ろうとでもするかのように、更に父上は言葉を継ぐ。
「三位中将は、…そりゃ、姫と四つ五つくらいは軽く歳も離れてるかもしれないが、今日日そこまでの年齢差でもないだろう? それに、姫より余計に生きてる分、それだけ人間も出来ている、ってことじゃないか。私は帝として即位する前から彼のことを見知っているが、彼ほど忠義に篤く、また謙虚で誠実な男は、そうそう居るものじゃないよ。何よりも、人間としての器が大きい。おまけに、当代きっての出世頭だ。同世代の若者と比べても明らかに一足先を歩んでいるのだからね。彼が官吏として有能であることも皆が充分に承知しているし、既に出世の道が開けているも同然。かつ、人の上に立つ立場となるにも申し分ない才覚の持ち主だ。――とくれば、姫を任せるに充分すぎるほどじゃないか。身に受ける妬み嫉みも多いゆえ誤解を受けることも多々あるが、過言でなく彼は、帝である私が信頼を置くに足る素晴らしい人物なのだよ。まさに能吏と名高い父君の名に恥じぬ傑物だ。彼以上に安心して姫を任せられる人物など、全く思い浮かばないね」
傾ぐ身体が、そこでピタッと止まって硬直した。
そして、自分の耳を疑った。
――いま何て言ったの父上……?
何か今、あの三位中将を信じられないホドものっすごく褒め称える御言葉が、“これでもか!”ってくらい、聞こえてきたような気がするんだけど……?
「あ…あの、父上……?」
「ああ、本当に……あの三位中将が二の姫を快く貰い受けてくれたなら、どんなにか心持ちも楽になるだろうに……」
「だから父上ッッ……!」
先の中将賛辞の続きとばかりに嘆いては、これみよがしに落胆のタメ息を吐く、――そんな父上を、今度は私がムリヤリのように遮って。
「――それ、本気でおっしゃってますの……?」
ものすごーっく真剣な表情で、改まって、それを訊いた。
「わたくしに対する方便ではなく……本気で父上は、あの三位中将の人柄を、そこまで買っておいででいらっしゃいますの……?」
それを聞いたなり父上は、一瞬だけ、びっくりされたように私を見つめた眼を軽く瞠られたものの。
「…何故、私が姫に方便など使わなければならないのかな?」
しかし次にはもう、優しく穏やかに、微笑みを浮かべていた。
――だから、本当に……! 全部わかってるクセして空っトボけるのも、いい加減にして欲しいのよ……!
その煙に巻くかのような微笑みに向かい、改めて私は告げる。正反対なまでに、どこまでも真剣な表情を崩さずに。
「良くも悪しくも三位中将のお噂を聞き知っているわたくしに対するお気遣い、ということでしたら無用ですわ。わたくしは、もう子供ではございませんのよ? 相手がどんな御方であろうと、嫁すことに否やを申し立てたりはいたしませんわ。父上自らがお決めくださったことでしたら尚のことです。どうぞ、ご心配あそばされますな」
「…どうやら姫は、とんでもなく大きな誤解をしているようだね」
私の言葉を最後の最後まで余さず聞くだけ聞き尽くしてからようやく、そう父上は呟いた。相変わらず穏やかな微笑みを浮かべたままで、だけど、ほんの少しだけ吐息混じりで。
「方便まで使われなければ誉れに与ることも出来ぬような男なぞ、仮にも父親である私が、愛娘の夫にと薦めるはずもないだろうに」
「ならば父上、あの方のお噂は何だというのです?」
「埒も無いことだよ。色男は常に、あること無いこと噂の種とされるものだからね。それに女性の噂など、男にとっては勲章というものじゃないか。多少は大目に見てもいいんじゃないかな」
やっぱり件の噂までシッカリ知ってたんじゃないの、このタヌキ親父! ――と内心で悪態を垂れつつ、「そんなことおっしゃられましても…」と、殊更に眉根を寄せてムッツリ口調で返答を返した。
「しかし、世の中には限度というものがございますわ。三位中将のお噂は、あまりにも不誠実でいらっしゃって……」
――だが今度は、父上は私にそれを皆まで言わせてくれず。
おもむろに「いいかい、二の姫?」と、あたかも窘めるかの如きピシャリとした口調で、遮られた。
「噂というものは、所詮他人の口から語られたものに過ぎないのだよ。他人が語る事実と、自分の目で見て確かめた真実ならば、私は後者を正しいものと信じるよ。誰が何と言おうとね」
やけにキッパリと言い切られた父上の言は……中将の噂を肯定こそされていないものの、だが否定もされていなかった。
たとえ彼が、後宮で噂される通り、女遊びと夜歩きの激しい方でいらっしゃったとしても。――それでも父は、やはり『女性の噂など、男にとっては勲章』だと気にも留めず、相変わらず『信頼を置くに足る素晴らしい人物』だと、おっしゃるのだろう。
今の御言葉は、そういうことだ。きっと。
――それほどの人物なの? あの、三位中将が?
戸惑いと混乱の思考に沈み黙りこくってしまった私に、「姫」と、父上は優しく語りかけた。まるで諭すかのように。
「そなたは本当に頭が良い。物事をよく見通すことに長けている。だが、それゆえに……女としては要らぬものまで、良く見えてしまうのかもしれぬな」
「父上……?」
「知らぬでよいものまで見通して……その上で、この父を案じてくれているのは、良く分かっているよ。だが、もう少し私を信じてみてはくれないだろうか? 確かに、姫を通じて右大臣と誼を結べるに越したことは無いが、それゆえに、姫に無理強いをさせたいわけでは決して無いのだから」
「……別に、わたくし何も無理などしてはおりませんわ」
「ならば良いが……何につけても、他人のために自分を殺すことだけは控えなさい。姫は姫らしく、思うがままに在ればよい」
「父上……」
「願うのは単に、姫の幸せ、ただそれだけなのだからね―――」
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