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邂逅 9
しおりを挟む「理由を亜樹に話したらそう言うと思った。だから理由は言えなかった」
涙が溢れ出て止まらない。
優輝が指で拭ってくれても、どんどん溢れてくる。
「亜樹、全国行きたがってたろ?それには俺が側にいたら中途半端になると思った。でも亜樹はそんな理由で俺を突き放すことはしない。だから、俺から離れたんだ」
「全国、行けたろ?」
寂しそうに笑って話す優輝を目の前に、私は言葉が纏まらない。
「あの当時は部活があったから別れた。でも今なら…亜樹、もう一度俺と付き合って欲しい」
「部活…だけ?」
「え?」
「別れた理由は、部活だけ…?」
「部員の男達に嫉妬したのは…正直ある。それも含めて、だよ。俺のくだらない嫉妬で亜樹を苦しめるのは嫌だったんだ」
優輝の胸にしがみついた。
彼の腕の力が更に強くなる。
「亜樹…返事を聞かせて?」
「私…また、振られるのは嫌だよ?」
「俺が離さないからそれは無い」
「…もう離れるのは、嫌だよ?」
「頼まれても、もう離さない」
「私も…忘れられなかった。私と、付き合っ…」
言い終わる前に唇が重なった。
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