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色なき風 7
しおりを挟む「どゆこと…?花火大会の日ではあるんでしょ…?」
「うん…、あの日、香織が帰った後、家に帰るのも何となく嫌で…。」
「ああ、美和のお母さん厳しいしね…。」
「で、予備校残って勉強してたんだけど、花火の音が大き過ぎて勉強にならなくて。」
「うん。」
「諦めて予備校出て歩道橋歩いてたら花火めっちゃ見えてさ。」
「うん。」
「ちょっとの間、花火に見とれてたら予備校から一ノ瀬くんが出てきて」
「あらー」
香織が頬に手を当てる。
「ちょっと話して、そのまま一緒に花火見てたんだけど…」
「見てたんだけど…?」
「……。」
「何?告られた?」
「キス…」
蚊の鳴くような声。
「え?」
「キス…された…」
香織は頬に手を当てたまま口を大きく開けた。
「キースー!されたんだー!で?」
「で?って?」
「いやその先。付き合ってるの?」
「たぶん…付き合ってない。」
「へ?何で?」
「告られてないし。私も告ってもないし。一ノ瀬くん学校最近あんまり来ないし。会えてないから…」
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