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出口を探して 2
しおりを挟む学校の斜向かいに鷺山市内でも人気のラーメン屋がある。沢田先生や九条先生は車を出してこだわりのラーメン屋に行くことが多いみたいだけど、ここのラーメン屋も十分美味しい。
「──で、どうした?」
ここ数日の非常事態を何と説明するべきか。澄麗と九条先生も関わることだから、簡単にペラペラと話すわけにもいかないし。
「その……ここ数日、私の周りが騒がしいと言いますか」
「ほお」
佐々木先生のラーメンのトッピングはいつも『全部のせ』だ。悩まなくていいから、という理由らしい。
「私は当事者ではないんですけど。私の友達が今ピンチで。それも一人だけじゃなくて、複数」
「そうか」
ラーメンの湯気が佐々木先生の眼鏡のレンズを豪快に曇らせる。気にせず麺を啜るその姿もまた豪快。
「その、友達のピンチをその子達本人からじゃなくて、違う人から聞かされたんですよ。それもちょっと納得がいかないっていうか」
「替え玉、お願いします」
「ちょっと前まで平和に女子会やってたんですけどね。って先生、替え玉早くないです?」
「これが普通。葉月さんは喋ってたから今日はペース遅いな」
通常なら食べるペースは早い私が、まさかの麺が伸びそうになっていた。慌てて食べていたら咳き込んだ。
「葉月さん、落ち着いて。ここのラーメンは伸びても美味しいから」
「いやラーメンは伸びる前に味わうもの……ごほっ」
「だから慌てるなって」
さりげなくカウンターに置いてあった水のピッチャーから、私のガラスコップに水を注いでくれた。佐々木先生のプライベートは、たまにしか聞かないけど奥さんに優しいんだろうな。
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