ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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夜間飛行 8

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私を助けてくれた男子高校生3人とともに、駅長室で手当てを受ける。女性の駅員さんが私の右足首に湿布を貼ってくれた。

「湿布は気休めなので、病院に行かれた方がいいと思います」
「病院っていうかさあ、おねえさん、何で落ちたの?」
「おねえさんのスマホも靴の片方も悲惨じゃん?」
私の身体は無事だったけど、スマホとパンプスの片方は電車に轢かれてしまった。この子達がいなければ、私は同じ運命を辿ったのかと思うとゾッとした。

「列に並んでスマホをいじってたら……背中に、何か強い力が……」
「それ落とされたんじゃん、おねえさん」
「それ警察に電話するやつじゃん」
「事件じゃん」
「俺たち、被害者助けたヒーローってやつ?すごくね?亜樹あきちゃんに話したら惚れ直すんじゃね」
「うるせぇ」
優輝ゆうきイジるには亜樹ちゃんの名前出すに限るな」
「君たち、一旦落ち着いて。そうですね。早乙女さん、警察に通報しますがよろしいですね?」
もっとしゃべりたそうな男子高校生の口を閉じさせた、口髭が印象的な駅長さんは立ち上がると、電話のプッシュボタンを押した。

「──はい、女性が駅のホームで何者かに突き飛ばされて落ちてしまいました。……いえ、その場にいた高校生が助けてくれたので……足首を捻挫されています。女性のお名前は、早乙女梨愛さん……」

しばらくして、制服の警官とスーツを着た刑事が……って!
「え、朔?」
「梨愛⁉︎突き落とされたって⁉︎」
「おねえさん、知り合い?」
男子高校生のうち、優輝と呼ばれていた男の子が目を丸くした。

「君たちだね。私の妹を救出してくれたのは。後日感謝状を……」
「え!お兄さんなんですか⁉︎」
「なあ優輝、感謝状って、受験に何か有利になるかな?」
「お前、それ今じゃねえだろ」
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