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夜間飛行 2
しおりを挟む時緒さんの名前を出さずに、かいつまんで話す。要領を得ない私の話を、満紘は静かに黙って聞いてくれた。
「じゃあ解決するまで……その二人は不便な生活を強いられるんだな」
「うん。そうなるんだと思う」
状況は私にとっては余りにも急で。実感も理解も追いついてない。もしかしたら満紘の方が事態を理解してるのかもしれない。
「ねぇ満紘」
「ん?」
「満紘、頭良かったんだね」
「はい?」
この、英ちゃんの緊迫した状況に的外れな、呑気な言葉が口をついた。満紘も満紘で、目が点になっていた。
「梨愛?何でそんな話?」
「だって私、英ちゃん達のこと、理解が追いつかなくて。満紘の方が先に理解してるっぽくて、なんか悔しい」
「よしよし」
唐突に満紘は私の頭を撫でた。
「梨愛は俺に惚れ直したってことでいい?」
「そんなこと言ってな」
「言ってるよ。しょうがないな。俺も何か力になれることがあったら協力してやるよ」
何故だろう。何だか言い負かされた気分。私は微妙に悔しいのに、満紘にこにこしてるし。でも満紘が協力してくれるっていうのは、やっぱり心強い。
「──産業スパイって、言ってたな」
「うん。英ちゃんの彼氏さんが産業スパイってわけじゃないんだけど。やらかしたのは後輩くんらしくて」
不意に真顔で思案してる満紘が何を考えていたのか。この時の私は全然深く考えていなかった。
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