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Ouragan [ウラゴン〜暴風雨〜] 2
しおりを挟む潜入先でどんなことをしているのかは、もう聞かなかった。ただ、クロセ製薬の件が落ち着いたら本社行きの話が本格化するとは話していた。満紘はこのクロセ製薬の件で力を試されているのかもしれない。はっきりとは言わないけど、きっとそうなんだと思う。
私が満紘にしてあげられることって、多分ほとんど無い。それでも何かしてあげたくて満紘に聞いてみたけど、「梨愛はいつも通りにしていてくれればいいよ」としか言われなかった。本当にそれしか私にできることが無いのなら、その言葉通り、いつも通りに過ごすしか私に出来ることは無い。
いつもと変わらず出勤して、お昼休みに近くのコンビニに行ったときだった。いつもなら、新庄ちゃんとランチに出るところだった。今日は私も新庄ちゃんも忙しかった。外国人の観光客が増えたおかげか、店頭でのタッチアップをお望みのお客様が最近増えている。私も新庄ちゃんも、お昼ご飯はコンビニで済ませよう、という話になっていた。
ツナおにぎりとチキンサラダと黒烏龍茶を手に入れ、コンビニから出て1分程歩いていた。信号待ちで足を止めたとき、初めて真横にその人がいることに気づいた。
目を合わせてはいけない。絶対に。本能がそう叫んだ。
「おねえさん、俺と何回か、目え合ったよね?」
私の身体の何もかもが固まった。聞こえない振りをするしかない。それ以外に今の私は何も出来ない。刺激しない。身を守れ。
「なあ、無視すんなよ」
何も聞こえない。そう、関わってはいけない。
「なあ!無視すんなって!」
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