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「でも今頃、時緒さんから匠にしてるでしょ。英から朔さんの話が出たから、時緒さんは匠の家に来たんだし」
「そうか……。どんな反応、するかな」
「わかんない。匠には、この件については俺に任せてくれって言われたの」
「え、めっちゃ頼りになる彼氏じゃん」
一瞬、澄麗が寂しげな表情をして、またチーズを細く裂いた。

「頼りになるっていうよりは……。この場合は、探るなって言われたんだと思う。やっぱり、デリケートな話だと思うから。私達が色々動くよりは、匠は自分で時緒さんから事情を聞きたいんじゃないかな」
デリケート……。私が時緒にしてしまったことは、やっぱり彼を傷つけてしまったのかもしれない。

「私達……。もうダメなのかな」
力無くポツリと呟くと、澄麗はゆっくりとさけるチーズを裂いて考え込んだ。

「安心感……かな」
「安心感?」
「時緒さん、今ものすごくキャパオーバーでしょ?人生最大のピンチに近いんじゃないかな。そこで英が大丈夫だよ、私は味方だよって言ってあげるのが、時緒さんに安心感を与えてあげられるんじゃない?」
「でも時緒……聞いてくれるかな。大丈夫だよって簡単に言うのって無責任な気がするっていうか」
「無責任だよ。でもさ、根拠が無くても自分がピンチのときに大丈夫って言われると、何となく安心しない?」
安心、か。今の時緒には安心というものが必要なのは間違いないかもしれない。
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