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累卵の危うき 6
しおりを挟むやっと解放されて晩御飯を作り終えたのは、匠の家に到着してからだいぶ時間が経ってからだった。研修、早く終わったのに。碧も気を遣って早めに話を切り上げてくれたのに。晩御飯を作っている最中も、彼は何かと邪魔しに来た。包丁を使っているときに色々揉もうとしてきた時には流石に本気で怒った。叱られてシュンとしている匠は大型犬みたいで可愛いと思ってしまったのは内緒だ。
「できたよ。どうぞ」
「いただきます」
今日は暑かったし、時間も無かった。結果、今日の献立はサラダうどんになった。めんつゆと胡麻ドレの相性って最高だと思う。納豆と刻み沢庵を入れた私は天才だと思う。
「ねえ、匠」
「ん?」
「お兄さんと、その……よく会うの?」
「兄貴?よく会うってわけじゃないけど。何で?」
「えっ…と。その、仲良いのかな、なんて」
やっぱハードル高い。あなたのお兄さんが犯罪に巻き込まれてる可能性がとっても大きくて、碧の彼氏が警察官で、お兄さんをマークしてるだなんて、やっぱり言えないよ。
「澄麗」
「ん?」
「何が言いたい?」
真っ直ぐなその瞳に見つめられると、動けなくなる。仕事中にも何度か喰らったことがあるこの視線、彼氏彼女になった今でも攻撃力は絶大だ。
「えっ」
「何か聞きたいこと、あるんだよな」
「えっ。えっ…と」
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