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HYPNOTIC POISON [ヒプノティックプワゾン]5
しおりを挟む「一ノ瀬夫妻、なんか、面白かったね」
あれから一ノ瀬夫妻と一緒に焼肉を食べていた。ご主人はずっと仕事モードを保っていたっぽかったけど、時折奥さんに対する視線や声が甘くて。寧ろそっちでご馳走様な気分になっていた。
「一ノ瀬リーダー、普段は厳しいんだけど。なんだかんだ面倒見てくれるんだよ」
「満紘、一ノ瀬さん好きでしょ」
「兄貴がいたらあんな感じなんだろうな…って思ったことはある。でも、あと2週間しかいないんだよ」
「2週間?」
さっきまで楽しそうに話していた満紘は急にしょぼんとした。
「一ノ瀬リーダーは本社の人なんだ。前任…というか、高瀬リーダーって方が今、体調崩されてて。そのピンチヒッターで来てくださってるんだよ」
だからか。奥さんとは週末にしか会えない、みたいな事を話していたのは。
「なあ梨愛」
「ん?」
「俺が本社に行くことになったら……どうする?」
「えっ?ほ、本社、とは……?」
「本社は東京にあるんだ。一ノ瀬リーダーが、本社に一人連れてくるよう上から指示を受けてるらしくて」
「満紘が、東京に行くって……こと?」
「俺が希望すれば、推薦してくれるって」
「そ、う、なんだ……」
急過ぎて、頭、真っ白。息が、上手く吸えない。満紘が、いなくなる、なんて……。そんなの、嫌だ。嫌だけど。満紘の出世とか、将来にはきっと大事なことなのは考えなくてもわかる。
「梨愛。ついてきてくれる?」
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