ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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沼 3

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朔さんが目を見開いた。一瞬、沈黙が訪れる。


「碧ちゃん…?」

「朔さん、2軒目は…やめておきましょう?」
「なんで?」
酔っ払って上機嫌だった彼は口を尖らせた。
「俺、碧ちゃんとまだ飲みたい。飲み足りないの」
私が取った方の手に指を絡める。
「なあ、もうちょっと飲もう?俺、まだ碧ちゃんと話してないこと、沢山ある」

──話してないこと?それは、英の彼氏さんに関係することも含めて?

私より高い身長を屈め、私と目線を合わせる。

「もうちょっと、俺に付き合って?」
朔さん、酔うと甘えるキャラになる人なのね。

「……朔さん、今自分の脚がふらついてる自覚、あります?」
「脚?ふらついてなんかないだろ」
うん、自覚無し確定。だったら…

「朔さんのおうちで飲み直しません?」
「えっ…?」
さっきまで甘えモードだった朔さんの顔が一瞬強張る。
「コンビニでお酒とおつまみ買いましょ。あ、スイーツも食べたい」
「スイーツ…」

わかっている。女の私の方から「家に行きたい」だなんて言い出すのがどれだけはしたないことか。でも朔さんがよくわからない輩に襲撃されるのは嫌なの。そして英の彼氏さんの件も出来ればはっきりしておきたい。

朔さんと梨愛は昔から甘い物が好きだった。というのも、早乙女家のお母様は元パティシエで。遊びに行くと美味しいスイーツをほぼ毎回ご馳走になっていた。
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