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J’adore[ジャドール]2
しおりを挟む「先輩、そんなにデレデレする人だったんですね」
新庄ちゃんの極めて冷静な目が私を見つめる。
「デレデレなんて」
「してますよ。さっきから手、止まりっぱなしで。一人でニヤニヤしっぱなしだし。どんだけ幸せなんですか」
「語ってもいい?」
「アルコール入ってなければお断りですね」
「アルコールの時間は彼氏が」
「はいはい、さっさと手、進めてください」
夏に向けての販促品が届いた。段ボールの山から取り出して、お客さまにお渡しできるよう分類していた。
「透明袋に入れるだけじゃな…。リボンシールまだあったっけ?」
「春に使ったあの可愛いやつですよね。お客さまに好評で使いまくってたんですよ」
リボンがちゃんと布製で、センスの良いシールだった。評判良ければ、そりゃ使うよね。
「今回シールか何か、ありそ?」
「んー…無さげですね…」
シールで何か変わるなんて…。最初はそう思っていた。でも、実際可愛いシールを付けた販促品の方が、受け取ったときのお客さまの表情の華やかさが違う。
たかがシール、されどシールだ。小学生の頃、キラキラシールを先生にノートに貼ってもらったときの嬉しさ。きっとそれに近いものがあるんだと思う。
そのシールを貼って販促品を配布していた当時、お客さまのリピート率が少し上がった。あわよくば、今回もシールにあやかりたかったのだけど…無いものはしょうがない。
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