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翻弄 3
しおりを挟む何だか、腑抜けだな、私。
今の私には、腑抜けという言葉が合っていると思う。身体の一部が抜け落ちてしまっているようだ。
仕事中はスイッチが入っているから大丈夫。でも、家に帰るとぼんやりしている事が多い。家事が捗らない。ご飯を作るのに前より時間がかかるようになってしまった。
原因は分かり切っている。いつからだろう?寝ても覚めても九条くんの顔が浮かんでしまうのは。これでは完全に恋じゃん。
そうか、今の私って腑抜けじゃなくて恋煩いなのか。私が恋煩いって。恋自体、もうする事なんて無いと思っていたのに。
人間は学習しない生き物だって誰かが言ってた。私も例外では無いみたいだ。あんなに嫌な、辛い思いをしたのに。もう恋をすることは無い、そう思っていたのに。
あれから、落書きの件については教務の長田先生にも伝えた。写真はAirDropを使って仕事用のiPadに入れて、職員用のクラウドに入れておいた。子ども達を帰らせて職員室に戻ると、落書き騒ぎについて沢田先生と管理職が話していた。
「将人のノートの字と全く一緒だな」
溜め息混じりの教務、長田先生が手元のノートとiPadを見比べる。
「もう、3回目ですよね」
「親に伝える段階、だとは思うが…受け入れてくれるだろうか?」
「親なら、受け入れるべきです」
「そうなんだけどね。すんなり受け入れられるかどうかは別でさ。感情的になる可能性の方が高い」
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