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翻弄(澄麗 act4)
しおりを挟む最近九条くんがそっけない。
仕事上必要な会話はしているんだけど。でも前みたいに身体の一部がくっついたり、何かとメッセージのやり取りをしたり、ということが減った。何だか、仲良くなる前に戻った感じ。
私がこないだ変な事言ったから?「夢に出てきた」だなんて言ってしまったから、気持ち悪いと思われてしまったんだろうか?
昨日なんて私がデスクワークしてる真横で咲穂先生と親しげに喋ってたし。咲穂先生は可愛らしい感じの、2年目の先生。九条先生が私じゃない人との会話であの嬉しそうな表情が出てくるなんて珍しい、だなんて呑気に思っちゃった。
距離を取ろうとしてるのかな。それならそれで、しょうがない。仲良くなった後に距離を置かれるって寂しいけど、追いかけてもしんどいのは、もう嫌という程学習済みで。
「えっ…。これ……!」
算数教材室に模型を取りに行く為、そのドアを開けた。算数教材室は少人数教室から出入り出来るようになっている。ドアを開けてすぐの台に子どもが書いたであろう、落書きがあった。
咄嗟にスマホで証拠写真を撮る。他の職員にも伝えないと…!模型を探すのは後にして、算数教材室を出たそのとき、数歩先に沢田先生が見えた。
「沢田先生!」
ガタイの良い後ろ姿に声を掛ける。振り向いた彼にそのまま続ける。
「情報共有、お願いします」
沢田先生の側に早足で向かい、スマホの画面を見せる。
「これ、いつ見つけた…?」
いつもより固い声が鼓膜を揺らす。
「つい、さっき。ていうか、今。私、3時間目空きだったから算数教材室に模型取りに行ってたの。で、算数教材室のドア開けてすぐの台にこれが…」
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