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Summer panic 3

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コンコン…遠慮がちなノックが医局に響く。
はい、と返事するとイノシシ舎の飼育員、田村さんが入ってきた。

「あの…ブーちゃんの様子が、ですね」

瀬崎先生、時緒、私の3人が顔を見合わせる。

「行こうか」
時緒と私は静かに頷いて立った。



「──5頭…いるかな」
瀬崎先生が触診する。いよいよ、かな。初の出産立ち会いに緊張が走る。

「瀬崎先生!うららの様子がおかしいんです!」
ゾウ舎の田中さんが駆け込んできた。
「うらら、もですか。昨日はミッキーも熱出してたし…」
グローブを外しながら瀬崎先生が考え込む。
「山崎先生、山吹先生」
キリッと顔を上げて私達の顔を見た。
「ゾウ舎、昨日から体調不良の子が多いの。ここ、2人に任せたい」
「はい」
覚悟を決めた表情で時緒が答えた。私も、覚悟を決めないと。

「はい。瀬崎先生、行ってあげてください」
「2人ともありがとう。何かあったら連絡を。携帯持って行くので」


足早に去る瀬崎先生を見送る。振り返ると時緒がブーちゃんのお腹に手を当てていた。
「頑張れよ。もうすぐ、だからな」



その瞬間は、それからすぐに訪れた。4頭スムーズに出て来ることができた。が、あと1頭が…なかなか出て来ない。

「時間、ちょっと経ってるね…」
「まずいな…このままだと酸素濃度が減っていくぞ」
「手、突っ込んでみようか」
グローブを手に装着する。時緒がブーちゃんを押さえる。
「行きます」
手をブーちゃんの体内にそっと入れる。体内を傷付けないように、そっと。

…いた!

「赤ちゃん、出します」
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