ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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甘美 6

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「九条先生、どういうつもりなんだろ。澄麗と彼女、二股かけようってなら私成敗しちゃうけど」
険しい顔をしながらダージリンのティーパックを三角コーナーに移した。

「待って、碧」
「澄麗はさ、今の状態が心地良いのかもしれないけど。でも目の前で友達が二股かけられようとしているのを黙って見ていられる私じゃないわけよ」
うん、知ってる。曲がったことが大嫌いな性格は中学の頃から変わらない。

「今の状況を楽しむのかどうかは澄麗の自由だけど。気持ちが入らないように気をつけた方がいいと思うよ」
碧が言い終わった辺りで給湯室に2年担任の沢田先生がやって来た。
「お疲れさまです」
「お疲れさまです」
テンプレと化した挨拶を交わす。沢田先生は今年度一緒にこの学校に異動した、大学の同期だ。体育会系で、身長も筋肉も迫力がある。
「よく考えて。私、行くね」
自席へ戻る碧を茫然と見送り、自分のマグカップに紅茶ラテの粉末を入れた。

「それ、美味しい?」
「ん?紅茶ラテ?美味しいよ」
「今度俺、買ってみようかな」
「沢田先生、甘いの飲むんだ。イメージに合わないって言われない?」
くすくす笑って言うと、給湯室に近づく九条くんと目が合った。いつも通りのポーカーフェイスからは、表情は読み取れない。

「俺、結構甘いもの好きなんだよ。パフェとか」
「え、パフェ好きなんだ」
「お疲れさまです」
聞き取れるかどうか分からないくらいの小さな声。それもいつもより低い声が九条くんの口から放たれた。
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