ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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「今は、気分はどう?」
どう?って。押し倒された直後ですけれども。辛うじてポーカーフェイスは保っているけれど、今頃になって心臓が煩い。

「気分…ですか」
「気持ち悪いとか。吐き気とか無ければ、朝メシ一緒に食べよう」
朝メシ……。え、もう朝なの⁉︎窓の外は薄暗く、朝陽が差していた。もうとっくに夜明けだった。私、一晩朔さんのベッドを占領していたんだ。その事実に驚愕しつつも、朔さんに対して申し訳ない気持ちになってきた。

「あの、ご迷惑お掛けして…」
「迷惑なんかじゃないよ。平和な事件なら俺大歓迎」
にこにこと笑いながら物騒なことを口にする彼は、やっぱり危険な仕事をしている人なのだと実感した。




「しじみの味噌汁を考えた人って天才ですね」
「酔っ払いの胃には最高だろ?」
「もうちょい言い方ありません?」
「俺のベッド一晩占領した酔っ払い様とか?」
「すんませんでした」
辛口の応酬に閉口しながらおにぎりにかぶりついた。
「でも酔っ払いの胃に優しいラインナップ、よくご存知ですね」
「運転じゃなきゃ俺も飲んでたしね。飲んだ日は帰りにコンビニ寄ってこんな感じで買ってるんだ」
昨日はどうだったんだろう。この酔っ払い専用朝ご飯セットはどのタイミングで買ったのかによって、ことを予想していたかどうかがわかる。

「これを買いに行ったのはついさっきだよ」

一瞬、心を読まれたのかと思った。

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