ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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「碧ちゃん、お酒強いんだね」
「それ程でも」
お酒が弱い方では決してない。職場ではザルと言われるけど、先輩方はワクなんだから私なんざまだまだだ。

「朔さんは?お酒結構飲まれるんですか?」
「それ程でも」
たぶん相当飲むんだろうな。
「今度は俺も飲みたいな。1人で酔うより2人で酔った方が楽しいだろ」
「確かに。1人で酔っ払うと飲んでない人の冷静な視線が痛いんですよ」
「俺の視線も痛いの?」
「…そうでもないかも」 
お酒が苦手な人と付き合っていたことがある。飲まないから運転してもらえて良いんだけど、それと引き換えに冷静な視線を喰らう。それでは飲んでいても楽しくないので、その彼の前では飲まなくなっていった。





「──これは、どういうこと…?」
見慣れない部屋。訪れた事の無い、誰かの部屋。服は…来てる。脱いだ感じも脱がされた形跡も無い。ただ、誰のか分からないベッドの上で寝ていた時点でかなりの緊急事態だ。

朔さんと焼肉屋でビールを飲んで、お肉を食べて、サラダも食べた。デザートも食べていた記憶もあるけど、朔さんの車からの助手席に座った後の記憶が無い。

状況から考えると恐らくここは朔さんの家だ。でもその朔さんの気配が…。

部屋のドアが開く音がした。身を硬くしたまま、ベッドの上で動けない。

「碧ちゃん、具合どう?」
コンビニの袋を手に下げた朔さんが寝室のドアを開けた。
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