ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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La petite Robe noire[ラ・プティート・ローブ・ノワール] 3

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「で、何?」
「え、何って?」
「悩み。あるんだろ?」
あるにはあるけど。でも高橋さんのことは満紘に話すような内容ではない。

「別に…満紘が知らなくてもいいことだよ」
「何だよそれ」
少し低い声でボソッと呟き、缶ビールを煽る。予想外の満紘の反応に面食らった私は、満紘相手に少し焦ってしまったのかもしれない。

「いやその、満紘に言いたくないってことじゃ、なくて。言う程のことでもないっていうか。」
「でも言ってくれないんだろ?」
更に不機嫌モードが続く。何なの、もう。

「その…興味無い人から毎日メッセージが来てて。それがちょっとうんざり、というか…」
「え、メッセージ…?」
「こないだ、新庄ちゃんに誘われて飲み会に行ってたの」
「…それ、男と出会う感じのやつ?」
「そう。そこで連絡先交換した人なんだけど」

…何でそこで無言になるかな。

「ねぇ、満紘…?」
「聞いてるよ」

聞いてるなら何か言ってくれればいいのに。言って欲しそうだったから言っただけなのに。どうして不機嫌になった満紘に気を遣わないといけないのだろう?

沈黙が続く。…なんか、居心地悪いな。折角の夜景も、うっすらと見える星空も、美味しい缶チューハイも台無しじゃん。部屋に入って飲み直そうかな。



「そいつ、梨愛に何か言ってきてんの?」
「え?」
「気があるからメッセージ送りつけてくるんだろ」
「よくわかんない。毎日メルマガみたいな、意味不明な報告メッセージの攻撃を受けてるだけだし」
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