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花の下にて春集まらむ 5
しおりを挟む──side 英
何故今私は、酒の肴の中心になってしまったんだろう…?
先週の金曜日、勤務が終わって帰ろうとしていたら時緒に声を掛けられた。言われるがままに時緒の車に乗って、流れでご飯を一緒に食べた。金曜だからと、お酒を飲みたがった時緒は車の運転があった。結局時緒の家で飲むことになった。元彼と元カノが同じ部屋でお酒を飲む。…やはり、することは一つだった。
後悔はしていない。時緒に対し、私はまだ気持ちがある。でも、流されるままに抱かれるって、都合の良い女の標本のようなものだ。そんなこと、誰かに言えるわけがない。ただこの手強い3人を前に、自白しないで誤魔化すという技は通用するのだろうか…?
「──で、気持ちはまだあるの?」
折角碧の過去話になったのに。あっさりと過去の恋愛について語ってくれた碧は私に向き合い、梨愛ちゃんは私に軟骨の唐揚げを勧める。うっかり口を開けてしまったけど、コンビニの軟骨の唐揚げは案外美味しかった。澄麗に助けを求めようと視線を向けるも…そもそも澄麗に助けを求めようとすること自体が間違いだった。私の恋愛話を聞きたくてしょうがないって顔に書いてある。漫画だったらワクワクって書いてあるだろうな。もうこれは万事休すなのかもしれない。
「気持ちは……正直、ある」
「やっぱりね」
澄麗も碧と同じぐらい飲める人なのかもしれない。澄麗が手にしているのはYEBISUで。私にはビールの美味しさはわかんないけど、幸せそうに飲んでいるからには美味しいのだろう。
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