ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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花の下にて春集まらむ 4

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「その、すごく燃え上がったんだよね」
静かな微笑みを浮かべた碧は、ストロングチューハイの缶のプルタブを見つめた。

「本当に…好きだったんだけど、彼、イタリアの画家に弟子入りしてさ。そのままイタリアで生活することになって」
「碧、すっごい悩んでたもんね」
「彼には画家として生きるっていう夢が、私には教師になるって夢があったから…。でもイタリアで教師になるっていうのは現実的じゃなくて。結局それぞれ自分の道を選んだの」
想い合ってるのに、でも道が重ならない…。そういう思いは、私もしたことがある。

「そっか…切ないね…。なかなか割り切れるものでもないし」
「そう、切ない。多分私、一生好きなんだと思う。それでも違う人と恋愛したり、結婚したりするんだろうけど」
「自分から冷めない限り、吹っ切るのってなかなか難しいよね」
深く頷いているのはさっきまでの肴、英だ。
「で、吹っ切れてないわけね、英さん?」
「え、なんで私に話が戻んの?碧のその熱い恋の話を聞こうよ」
「いや私過去形の話だし」
「想いは現在進行形でしょ?」
「仕方無く共存してるだけだよ。リアルに現在進行形の英の話、もっと聞きたい」
「それ賛成。ほら英ちゃん、軟骨の唐揚げいかが?」
美しく微笑んで英にさせて強引に軟骨の唐揚げを食べさせる。道行く男性グループの一人がこちらを羨ましそうに見ているのは、そのが羨ましいからだろうか?
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