ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良

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Prologue 2

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山吹英やまぶきはなとは中1のとき、同じクラスだった。気が優しく、可愛らしい子だ。クラスのカーストの上にいると思い込んでいる、残念な図々しい女子達とは上手に距離を置く、世渡り上手な面があった。私はそんな英を羨ましく思った事がある。

「英…?」
澄麗すみれ、久しぶり」
英は1つ隣のドア近くに座っていたらしい。
「折角座ってたのに」
「そんなに長くはならないでしょ。…本屋さん?」
斜め掛けのショルダーバッグには私の購入した本は入らなかったのだ。
「ん。紀伊國屋行ってた。英は?どっかお出かけ?」
英の手には華奢な女子御用達ブランドのショッピングバッグがあった。
「買い物。しばらく忙しくて。久しぶりに服買ったんだ」
「いいじゃん。私最近服買ってないかも…。本屋行ったついでに地下街ぶらついたけどピンと来なくて」
「あるよね。服は沢山あるのに欲しいやつが1着も無いってやつ」
「そう。今日それだった」

久しぶりの再会。話に花が咲く。しばらく英と立ち話をしていたけど、電車が動く気配は一向に無い。

「──長いね。英、やっぱり座ってれば良かったのに」
「うん、長い。でも、澄麗と喋ってる方が楽しかったからいい」
「え、私を口説いてんの英さん?」
「私、口説くの上手いから」
軽口を叩いても尚、電車が動く気配は無い。苛ついた乗客の視線を感じて、私達は声を落とした。
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