27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある？

20.

「うん。まあ、そうなんだけど」
にやりと悪い顔をした翔に髪を引っ張られながらも私から視線を外さない。

「もう切ったの？」
「……そ、そのうちに」
「目、すっごい泳いでんな。……翔、もう離そうか」
不服そうな翔の手首を掴んで髪の毛を解放させた怜は私をソファに招いた。切れ長の瞳が私の目をじっと覗いた。結婚して夫となったというのに、子どもも生まれて父となったのに、私への不意打ちの攻撃は、彼の無意識の中で未だに続いていた。

「切ろとも言わないし切るなとも言わないけどさ。……女子会行って、唯は嫌な思いはしないんだな？」
「ちゃんと、言うべきことは言うよ。──何よ、その疑惑の眼差しは」
「唯は、冷たくなりきれないところがあるから。……心配なんだよ」
「それは、怜が過保護なだけでしょ」
「あの余興の準備だってさ。俺には理不尽の極みに見えたけど？唯が縁を切ることを目指してやってるって言うから俺黙ってたけど」

そうでした。あまりの理不尽さに、準備がなかなか捗らなくて。怜に愚痴を言わずには、あの余興の準備は成し遂げられなかった。

「女子会に行くことが唯の気晴らしに本当になるんだったら、快く送り出すけどさ。ストレス溜めに行くんだったら」
「ちゃんと、なんとかするから」
怜の言葉を遮って、強引に止めた。毎日の忙しさにかまけて、紗香との問題とちゃんと向き合うことから目を背けていた。

でもそれは、怜が黙って見守ってくれていたから成り立っていたことで。彼に心配かけるのは違う。いよいよ何とかするべき時は近づいているのかもしれない。