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3.
しおりを挟む「別れました」
「マジか」
そんな気はしていた。ここしばらく、かすみんの口から綾瀬くんの名前が出ることは極端に少なかった。
「……カラオケでも行く?」
「一人カラオケ行き過ぎて店員さんに顔覚えられちゃいましたよ」
さすがかすみん。誰かと違って、彼氏と別れたというのに、ストレス発散を周りに迷惑かけずにするとは。出来た子だけど、出来過ぎてるから人に頼ることを知らなくて心配になる。
「私の胸貸そうか?」
「号泣したくなったらお願いします。あ、泡盛追加で」
……たぶん大丈夫だな。って思われがちなところ、私も身に覚えがある。やっぱり心配だな。
「今日は顔色がいいな」
「かすみんとジーマーミ豆腐めっちゃ食べてきた」
めっちゃ食べたのは私だ。かすみんが食べたジーマーミ豆腐は一人前。
「……なんかさ、唯」
「ん?」
珍しく怜が不機嫌。あれ?何かやらかしたかな?
「俺じゃない人とご飯食べに行くと、元気になって帰ってくるな」
「え。そう?」
それは外で食べてるからでは……?怜じゃない人が相手だとある程度気を張るしね。
「俺とじゃ、美味しく食べれないのかなって」
あー……。いじけてるわけね。
「聞こえたー?今、パパいじけてたよー?」
「え、ちょ!」
お腹の子向かって大きめな声でチクる私に怜が慌てる。
「何吹き込んでんの」
「だって怜……。こないだも言ったでしょ?外では気を張ってるから大丈夫なだけだって。怜が相手だと私の身体は安心し切っちゃうからつわりが戻るみたいなの」
「安心……」
「そう。だから怜が気に病むことじゃないんだよ?」
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