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2.
しおりを挟む曲がったことが嫌いで頑固なこの私の性格は父譲りだと思う。その私の頑固さに付き合ってくれる怜は、私の母と通づるところがあるのかもしれない。
女の子は父親に似た人を好きになるという。私は違った。父に性格が似た私は、むしろ母に性格が近い人と今日結婚する。不思議なものだ。
怜はどうなんだろう?怜が義父と義母のどちらに性格が近いのか、これから知るところだ。長い時間をかけて、知っていくんだろうな。
扉が開かれた。母がベールダウンをする。母が親族席に着くのを待って、父と共にバージンロードを歩き出した。
ステンドグラスから光が差し込むこの聖堂。その、一番良い場所に立って私を待っているのが怜。光に照らされ私を待つその姿は、清々しい程に神々しい。
ああ神様、彼を私の夫として出会わせてくれて本当にありがとうございます。私、怜を一生推します。推しの側に一生いられるなんて、私は何て幸せなのだろう。
父の腕からそっと手を抜く。怜の隣に私が立つ。結婚式が始まった。
式はつつがなく終わった。現在、披露宴の真っ最中だ。次は紗香による、私に捧げるスピーチだ。
「唯とは小さな頃から家が近所で……」
うん、ネットで見たことある感じの定型文。それを私のエピソードに置き換えた感じだ。紗香の中では過去最高の出来栄えなのかもしれない。もっとも、紗香が他の人の結婚式のスピーチを任されたという話は全く聞いたことが無いけど。
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